事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2022年2月号 Pink Floyd - Wish You Were Here

2023-02-28 | ニュース

Pink Floyd - Wish You Were Here

2023年1月号「追悼北上次郎」はこちら

「もうたくさんだ」

国連安全保障理事会で、ピンク・フロイドのメンバーだったロジャー・ウォーターズがオンラインでウクライナとロシアの即時停戦を訴えた。

「(人々は)自分のせいでないにもかかわらず、悲惨で命にかかわる状況に置かれている。ウクライナでは、それは前線で死に直面する兵士たちかもしれないし、『今日どうやって子供たちを食べさせればいいのか』という恐ろしい問題に直面している母親や父親かもしれない」

しかしこの演説はロシア側の要請だったことでウォーターズは批判を浴びることとなってしまった。

わたしはでも、ロシアとウクライナの国連大使のやりとりがおみごとだと思った。

ロシアのポリャンスキー国連次席大使はウォーターズに

「ここにあなたがいてくれればよかったのに」

と呼びかけた。これはもちろんピンク・フロイドのWish You Were Hereからの引用。対してウクライナのキスリツァ国連大使は

「彼がロシアの偽情報やプロパガンダという壁の『レンガ』になる役割を引き受けた姿を見るのは、かつてのファンにとってどれほど悲しいことか」

こっちは大ヒット曲Another Brick In The Wall からの引用。やるもんだ。

ピンク・フロイドは、兄が「原子心母」を買っていたのでなじみ深い。「おせっかい」に入っていた「吹けよ風、呼べよ嵐」が、プロレスラーのブッチャーの登場曲になったのには笑った。

そしてつくづくと思う。国連のお偉方たちが、ピンク・フロイドを聴いていた世代なのかと。どうしてロック世代が仲良くできないかなあ。

すしテロ篇につづく

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どうする家康 第8回「三河一揆でどうする!」

2023-02-27 | 大河ドラマ

第7回「わしの家」はこちら

一向宗の信徒による一揆のために、家康は窮地に追いやられる。っていうかこれからのちも彼は窮地の連続なのだが(関ヶ原だって楽勝だったわけではない)。

宗教と政治、という古くて新しい(タイムリーなネタでもある)問題がここにはあるけれども、もうひとつ政治家としての家康に教訓を与えたのは、税金のとり方はとても難しいということだろう。本證寺から年貢を取り立てようと軽く考えていた家康は手ひどいしっぺ返しを食らう。

家康のイメージが暗いのは、例の

「百姓は生かさぬよう、殺さぬよう」

という言葉(本多正信が言ったという説もあるらしい)が、いかにも悪辣に聞こえるからだ。しかし後半部分に注目すれば、百姓から搾り取るのもたいがいにしないと、という意味だったともとれる。

戦闘には素人であるはずの一向宗の宗徒たちは、意外に戦上手でもある。さては有能な軍師がいるのであろうと服部半蔵(山田孝之)に探索を命じるのだが、ここはコント。

「遅い!どこにおった」

「わが家に」

「忍びであるなら常にその辺におって呼ばれたらさっと現れよ!」

あははははは。時代劇の約束ごとを根底からひっくり返すセリフ。さすが、「キサラギ」や「エイプリルフールズ」「コンフィデンスマンJP」で客を手玉にとった古沢良太脚本だけのことはある。

のべつまくなしに身の回りに忍者がいるというのも現実にはしんどいことではあるだろう(笑)。

さて、一向宗側の軍師が、なんと本多正信(松山ケンイチ)だった衝撃。ま、史実だけど、こっからどうひっくり返すかだなあ。松本まりかは相変わらず魅力的。

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マイベスト2022 このミステリーがすごい!篇

2023-02-25 | ミステリ

2022年版はこちら

「このミステリーがすごい!」のランキングもそろそろ紹介してもいいかな。国内篇で読んでいたのは

第3位「捜査線上の夕映え」有栖川有栖著 文藝春秋

第6位「爆発物処理班の遭遇したスピン」佐藤究著 講談社

第7位「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬著 早川書房

第11位「此の世の果ての殺人」荒木あかね著 講談社

他に「invertⅡ」「時計屋探偵の冒険」「裂けた明日」「偽装同盟」「脱北航路」。1位の「爆弾」(呉勝浩)はいずれ“日本の警察”シリーズでやることになるでしょう。

問題は海外篇で

第2位「殺しへのライン」アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫

しか読んでいないんですよ。ホロヴィッツのベストワン五連覇が阻まれた作品だけど、わたしにはこれまでの彼の作品のなかでいちばん面白かったけどな。文法を使ったタイトルはすぐに行き詰まるに決まってる、なんて独白も笑えたし。悠然とクリスティを踏襲するあたり、すごい。

うれしかったのは新潮文庫でドナルド・E・ウェストレイクの旧作が刊行され始めたこと。さっそく買わなくては。

必ず読むことになるのは

第5位「優等生は探偵に向かない」ホリー・ジャクソン著 創元推理文庫

で、これは前作の「自由研究には向かない殺人」を書店員にお願いしてすでに購入しているからです。

にしても、翻訳ミステリを読まなくなったなあ。っていうか中国や台湾のミステリをおれは待ち望んでいるんだけど。

国内興行収入篇につづく

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マイベスト2022 キネ旬外国映画篇

2023-02-24 | 洋画

邦画篇はこちら

続いては外国映画篇。

第1位「リコリス・ピザ」(ポール・トーマス・アンダーソン ビターズ・エンド=PARCO)

第2位「トップガン マーヴェリック」(ジョセフ・コシンスキー 東和)

第3位「パラレル・マザーズ」(ペドロ・アルモドバル キノフィルムズ)

第4位「クライ・マッチョ」(クリント・イーストウッド WB)

第5位「アネット」(レオス・カラックス ユーロスペース)

第6位「コーダ あいのうた」(シアン・ヘダー ギャガ)

第7位「ベルファスト」(ケネス・ブラナー PARCO ユニバーサル)

第8位「ウエスト・サイド・ストーリー」(スティーヴン・スピルバーグ ディズニー)

第9位「戦争と女の顔」(カンテミール・バラーゴフ アット・エンタテインメント)

第10位「あなたの顔の前に」(ホン・サンス ミモザフィルムズ)

ついにポール・トーマス・アンダーソンの映画がベストワンかあ。ロバート・アルトマン直系の、くせの強い作風はかなり客を選ぶはずだが、この「リコリス・ピザ」はどうなんだろう。わたしは熱狂すると思います。

トップガン マーヴェリック」と「コーダ あいのうた」は観ておいてよかったなあ。そうでもないと邦洋のベストテンを一本も観ていない年になってしまうところだった。

実は「ウエストサイド物語」の良さがさっぱりわからなかったわたしだけど、スピルバーグが撮った「ウエスト・サイド・ストーリー」は観たかったんだよねえ。

意外だったのは「シン・ウルトラマン」や「RRR」が下位に沈んでいることで、そのへんもキネ旬ですかね。ああ映画評論家の山根貞男さんも亡くなっている。舌鋒鋭くキネ旬誌上で切り込んだ彼も、読売の映画記者としてすばらしかった河原畑寧さんまで……

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マイベスト2022 キネ旬邦画篇

2023-02-22 | 邦画

2021年版はこちら

さあ恒例のマイベストの開始だっ!と無理矢理テンションを高めようとしていますが、やはりどうにも気勢が上がらない。だってわたし、去年はほとんど映画館に行っていないから。

コロナのせいにしているけれど、気持ちがふさいでいるので祝祭の場である映画館に行くことがなかなかできない。 でもキネ旬ベストテンはいつもどおり発表される。もうばらしていいですよね。

邦画篇。

第1位「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱 ハピネットファントム)

第2位「ある男」(石川慶 松竹)

第3位「夜明けまでバス停で」(高橋伴明 渋谷プロダクション)

第4位「こちらあみ子」(森井勇佑 アークエンタテインメント)

第5位「冬薔薇」(阪本順治 キノフィルムズ)

第6位「土を喰らう十二ヶ月」(中江裕司 日活)

第7位「ハケンアニメ!」(吉野耕平 東映)

第8位「PLAN 75」(早川千絵 ハピネットファントム)

第9位「さがす」(片山慎三 アスミック・エース)

第10位「千夜、一夜」(久保田直 ビターズ・エンド)

……もちろん1本も観ておりません。「ケイコ~」の評判は知ってたんだけどなあ。

まあ、それは確実に鶴岡まちなかキネマの不在が影響しているんだけど、まもなく再開。期待しちゃうな。主演女優賞が岸井ゆきので男優賞が沢田研二というアンサンブルがいい。

外国映画篇につづく

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「裂けた明日」佐々木譲著 新潮社

2023-02-21 | ミステリ

「沈黙法廷」はこちら

と思えばこちらは内戦状態の日本を舞台にした逃走劇。外交センスのない保守政権が、同盟国アメリカは絶対に日本を攻撃しないと慢心した結果、わがまま放題のふるまいをしたら、あっという間に敗戦。多国籍軍の駐留を許すことになる。

それに反駁した“北”と呼ばれる盛岡政府(このネーミングはリアル)から逃れる母と娘。その逃亡を助ける70代の退職公務員。

東京に逃げ込むために、ありとあらゆる手を駆使する3人。スマホを徹底的に利用するあたりの展開もおみごとだ。福島や東京の地図を見ながらだともっと楽しめるはず。南武線はいまそういうことになってるのか。むかしは典型的な田舎の電車だったけどなあ。

静かな筆致だが、それだけにラストの叙情は必要だったか微妙。

あ、そうか。これも某西部劇のラストをいただいているんだ。

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「モスル あるSWAT部隊の戦い」Mosul(2019 ポニーキャニオン)

2023-02-20 | 洋画

雑誌「ニューヨーカー」に載った記事を、「アベンジャーズ」のルッソ兄弟が映画化権を買い取り、「キングダム 見えざる敵」(大好きでした)「消されたヘッドライン」「21ブリッジ」などの脚本を書いたマシュー・マイケル・カーナハンが監督も。どんだけおれの好みまっただ中なんだ。

イラク第二の都市モスル。ISによって蹂躙されたなかを、警察官だった男たちがある目的のために命令を無視して突き進む……

これまで見てきたコンバットシーンのなかで、ベストはなんだろう。

スピルバーグの「プライベート・ライアン」のオープニング?

キューブリックの「フルメタル・ジャケット」の見えない狙撃手?

ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが共演したマイケル・マンの「ヒート」の弾着?

おっと忘れてはいけないヴィルヌーヴの「ボーダーライン」もある。

これらの作品に比肩するほど、すごい描写がつづきます「モスル」。背景となるのが内戦なのでひときわ陰惨でもある。キャラが立ちまくった兵士たちが、意表をついた順番で死んでいくあたり、現実の戦争とはこういうものなのだろうと思わせてくれる。

特に、妙に整とん好きな隊長がいい感じ。普通の人が、こうやって戦闘で才を見せるあたり、そういえば「プライベート・ライアン」のトム・ハンクスは国語教師だったことを思い起こさせる。ああ戦争はいやだなあ。

全篇アラビア語。いわゆるスターはひとりもいない。それでも、見なければならない映画だと思います。特に今。ああ、「ヒート」もまた見なきゃ。

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どうする家康 第7回「わしの家」

2023-02-19 | 大河ドラマ

第6回「続・瀬名奪回作戦」はこちら

家康が苦しめられた一向宗のお話。為政者にとって宗教がまことに微妙な存在であることは現在もそのとおり。それを利用するにしろ(あれはさすがにひどい)、なで斬りにするにしろ。

信長はなで斬り派の急先鋒だったのだろうけれど、家康にしたってかなり苦労したのはさすがに承知している。一向宗の熱狂に、彼は対峙することになるので。

ぶっちゃけた話をすると、わたしは曹洞宗のお寺の檀徒。禅宗の一派であるここのやり方に疑問を抱いたことはなかった。でも妻と結婚したとき、むこうの宗派が浄土真宗だったことにはとまどった。

え、仏壇にお水をあげないの?

え、お線香を折るの?

そしていちばん驚いたのは、和尚さんがまことに世俗的だったことだ。妻の父の法事の時に若いその和尚とずっと飲んだ(わたしの方が世俗的であることはもちろんですよ)。西と東の本願寺でいろいろとあるらしいけれども、彼はあけすけに語った。

「研修所にはですね、いろんな人がいました。刺青が入っている人とか」

そんな背景が十分にうかがえる今回の展開。民が求めているものを為政者がどう処理するか。これからそんな話になっていくんだろう。

腹心の部下に裏切られる展開は前半の山場だろうな。

あの松嶋菜々子が、姑として有村架純をたしなめる展開に苦笑。ああもう大河とはこんな時代に入ったんだ。

第8回「三河一揆でどうする!」につづく

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明細書を見ろ!2023年2月号 センセイの不祥事3

2023-02-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2023年1月号「センセイの不祥事2」はこちら

ストレスを「悪いストレス」と感じやすいのは

・仕事を抱え込む

・こだわりが強い

・自尊心が強い

・責任感が強い

人に多いとか。うーん、誰でもある程度は当たっているんじゃないかな。

そして心身症になりやすい人とは「弱音を吐けない人」だとか。盛大に愚痴った方がいいのかな。それはそれできついかも、まわりが。

さて、ここからがこの研修のだいじなところ。コーピングという初めてのことばを知る。要素は三つ。

・Rest(休息・休養・睡眠)

・Recreation(趣味・気晴らし)

・Relax(ストレッチ・リラクゼーション)

……当たり前のことのようだけれど、これらを意図的に自分の生活に取り入れることがコーピング(対処)なのだそうです。

ストレスに対処するにはさまざまな方法があるけれど、自分に合った行動を見つけ出すことが重要なのだという。ペットと遊んだり、友人と電話で話したり……とにかく小さなことでいいので、質より量!という感じで試してみるのがいいそうだ。

だけど、本当の絶不調のときは、むしろ新しいことを始めるのはリスキーなんですって。講師の古澤さんは

「あたし実はお酒が大好きで(笑)よく飲むんですけど、ガバガバ飲むよりじっくりと飲んだほうがいいんですよ。わかってるんですけどねえ」

確かに、そんなふうに見えるところが頼もしい。 最後に、こんな言葉が身に沁みた。

「心身が不調なときは、自分に対して厳しくなることは避けて」

なるほど。

「何かを成し遂げたときに、人は“がんばった”と思いがちですが、その日一日を過ごすだけでとてもたくさんのエネルギーを消費していることを忘れないで」

ああ、いい話だったなあ。なんか、こういう話を聞いただけで、メンヘラなわたしも少し救われたような気持ちになりました。

古澤さんは質問に答えてからこうつけ加えた。

「こんな話を聞いたからって、急にやさしくなったりするのはやめた方がいいですよ。あ、メンタル研修受けてきたなってばれちゃいますから(笑)」

画像は「此の世の果ての殺人」荒木あかね著 講談社

史上最年少の江戸川乱歩賞作家となった荒木。なんとまだ23才。審査員全員が激賞。他の候補作は運が悪かったとまで言われています。二か月後に小惑星が衝突する地球。そんなときに自動車学校に通う主人公と、正義感あふれる(あふれ過ぎ)教官の女性ふたりが連続殺人の謎を解く……めちゃめちゃ面白くて一気読みしました。恐るべき23才。

2023年3月号「お答えできません。」につづく

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「沈黙法廷」佐々木譲著 新潮社

2023-02-17 | ミステリ

「闇の聖域」はこちら

60代の、妻を亡くした孤独な男。社交的な彼は、友人たちを招いて自宅でパーティをよく開く。そのため、家事代行業の女性を雇い、準備や後片付けを依頼している。

彼は定期的にデリヘル嬢を呼ぶなど、まだ枯れてはいない。お風呂掃除をする代行業の女性の肩に彼はふれる。激しい拒絶に彼は驚く……

マッサージチェアに座った彼の絞殺体が発見される。警察は代行業の女性を逮捕する。しかし物的証拠が存在しない。

警察、検察、弁護士それぞれの動きが静かに語られる。近ごろ波乱万丈のお話が多かった佐々木譲の、こちらが本領なのだと思う。

かたくなに意思表示をしない容疑者は、果たして雇い主を殺したのか。

おっとWOWOWでドラマ化されているのか。主演は永作博美。おお、こちらも観なくては。

「裂けた明日」につづく

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