事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2019年1月号PART3 空虚感を抱えたイエスマン

2019-01-31 | 社会・経済

Love Will Keep Us Alive

PART2「武器としての投稿」はこちら

「こんな糞みたいなシステムの中で出世することなんか、赤子の手をひねるように簡単だぜ」という虚無的に笑ってみせると、額に汗し、口角泡を飛ばしてシステムに正面から抗っている愚直な「左翼」とか「リベラル」とか「人権派」より数段賢そうに見える。だったら、そっちの方がいいか。

内田樹は常に卓見を吐く。しかしそのなかでもこの「空虚感を抱えたイエスマン」はひときわ素晴らしい。若い世代の方が現政権を支持するという、およそ昔なら考えられない事態をズバリと解説して見せた。卓見はなお続く。

原発が時代遅れのテクノロジーだとは熟知しているが「それ以外に何か経済合理性にかなう代案があるとも思えぬ」と苦笑し、日銀による官製相場が毒性の強い政策だと知りつつも「国民の税金をオレの個人口座に付け替えてくれるなら安倍=黒田体制にはできるだけ長く続いて欲しい」と嘯く。この世界がろくでもないものであることをオレはよく知っているし、オレは誰よりこの世界を嫌っているけれども、それはこの腐った世界のシンプルな仕組みから自己利益を引き出すことを止める理由にはならない。

わたしが今20代後半から30代前半の世代だとすれば、ひょっとしたら空虚感を抱えたイエスマンになっていたかもしれないという恐怖をも呼び起こす。若い世代の性向についてもうひとりが卓見を。

「高輪」よりも「高輪ゲートウェイ」のほうがセンスいい!という理由で反対する人はほぼゼロなんですよ。署名に反対してる人はほぼみんな「抗議するほどのことか?」とか「民間企業が決めたことに逆らうなよ」的な感じなのね。ここ数年の、こういう「お上や大組織に逆らうヤツを、庶民側が嘲笑して偉くなった気になる」という空気に逆らいたいって気持ち、確実にある。

コラムニストの能町みね子のtweet。彼女もまた、空虚感を抱えたイエスマンたちへの嫌悪を。まじめな主張を冷笑することで、自分が何者でもないことを忘れ、いっぱしの人物になったかのように誤解する。若者の特権というには、あまりに底が浅い。

本日の1曲はイーグルスの「Love Will Keep Us Alive」
生粋のファンは怒るだろうなあ。でもいい歌だし、あのアルバムもけっこう聴かせたじゃないですか。ああ怒られそうだ(笑)

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今月の名言2019年1月号PART2 武器としての投稿

2019-01-30 | 受験・学校

Herbie Hancock - The Eye of the Hurricane

PART1「紅白歌合戦」はこちら

「体罰なんか最初からひたすら絶対にノーだってずっと言ってんだろ! 誰が擁護しようがオレは絶対に体罰なんか認めねえわ!!!」

かねてより体罰反対を唱えていた武井壮のtweet。東京都立町田総合高校において、生徒の意図的な挑発のせいで暴行にいたった50代の教師をめぐる問題。ここまで生徒が悪質だと、きれるのも仕方がないのかな……と誰でも感じるだろう。しかし、その上でなおかつ武井の主張はまっとうだとわたしは思う。

この問題は動画サイトに投稿されたことで(生徒たちはそれが目的だったようだが)火がついた。ということは、だからこそ体罰を教育的指導の一環だとする考えは戦略的にも捨てるべきだ。教師は教室のなかで圧倒的な強者だった。しかし生徒は『投稿』という名の反撃手段を得たのである。そのことを肝に銘じるべき。前にも言ったけど、体罰はどうしたって愚者の指導法だ。じゃあ教師は両手両足を縛られているようなものじゃないかって?縛られていなかったら殴るんですか。

「民間教育産業が教具や教材制作をして、学校への補完機能を果たしていた時代は過ぎ去り、学校の門を超えて、教室の中に入り込み、さらに教壇にも立ち始めている。」

おなじみ、小野田正利さんの「モンスターペアレント論を超えて」より。静かに、静かに民間の業者は教室のなかに入ってきた。だいたい、国がお墨付きを与えたようなものだろう。意味のない学テを民間業者に委託することで、次第に彼らと教師の位置関係は逆転を始めている。

「戦争をなくすこと、世界の問題と関わることも、女優の大事な仕事」

おだやかな表情が急激に転調する演技をもう見ることはできない。市原悦子が生前に語っていたこと。彼女は集団的自衛権に怒り、反原発の運動にもかかわっていた。やはり過激な人だったのだ。

PART3「空虚感を抱えたイエスマン」につづく

本日の1曲はハービー・ハンコックの「The Eye of the Hurricane」
iPodでシャッフルしていたらこれが出てきて震えが来た。動画サイトはこんな平和利用もできます。

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追悼橋本治。

2019-01-29 | ニュース

狼狽している。

なんなんだと。確かに身体を悪くしていることは作品で語られていたけれども、それにしたって……

この欠落がいかに大きいか。

毎日、新聞やテレビを見ながらわたしも含めて「この国はダメだなあ」と安易に言うけれども、なぜダメなのかをきちんと知らせてくれる人だったのに。

記号としての橋本治はわかりやすい。東大バリケードの看板、桃尻娘、美術史、そして歴史や現状を大づかみにして提供する誰よりも有能な人。

だれけども、誰にもその尻尾をつかませなかったわけで……

草薙の剣」という傑作を最後に提供してくれたことが救いではある。2018年のベストワンに決めたばかりなのに。

玲奈、醒井、木川田!きみたちを生み出した天才は逝ってしまったぞ。

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今月の名言2019年1月号 紅白歌合戦

2019-01-29 | 音楽

2018年12月号PART2「千円の生活」はこちら

「平成最後の紅白の大トリ曲が昭和53年発売の勝手にシンドバッドとは誰が予想したであろうか」

……Twitterから。なるほど、そんな考え方もあるのか。わたしは紅白を見ないので、桑田と松任谷由実のからみも見逃している。ちょっと残念。しかしこれは必然だったのではないだろうか。サザンには長年カウントダウンライブをTBSでやっていた歴史がある。大晦日が似合うバンドだしね。Twitterでは他に、

「結局、平成30年の歌謡コンテンツで昭和のレベルを超えたやつはいなかったという強烈なメッセージが余韻として残された気がする」

わたしは昭和半分、平成半分の人生をほぼ過ごしてきたので言わせてもらえば、確かに昭和の曲の方がインパクトは大きい。それは、“みんなが同じ曲を聴いていた”からだと思う。ジャンルが細分化され、数年の世代差で聴く音楽が違ってしまう現在、巨大なヒット曲が生まれにくくなっているのは誰しも感じているはずだ。

それに、桑田やユーミンの曲は、時代を乗り越えて生き残ったエバーグリーンなので、平成の曲はその意味でも分が悪い。

加えて、この30年のなかで、小室哲哉やエイベックスに代表される音楽が席巻した時期があったでしょう。あの頃からわたしは日本の音楽から距離を置き始めたのだった。苦手なんだよね、あの酒臭さが。

それにしても、こんな時代にまだ紅白歌合戦(なんてアナクロな名前!)が40%もの視聴率をかせぐなんて。実は日本の音楽シーンは、むかしからまったく変わっていないのかもしれない。

あ、それ以上に選択されたのが「勝手にシンドバッド」だったとは。青学の学生バンドだったサザンが「ザ・ベストテン」でさんざん黒柳徹子に甘えたあの頃を知っている世代からするとやはり感慨深い。だって3枚目のシングル「いとしのエリー」がなかったらあのバンドは……。

誰も訊いてませんがわたしにとってのサザンのベストチューンは「Bye Bye My Love (U are the one)」です。

PART2「武器としての投稿」につづく

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「ダ・フォース(上・下)」ドン・ウィンズロウ著 ハーパーBOOKS

2019-01-28 | ミステリ

わたしの娘は、映画の登場人物が“なにかになりすます”ストーリーがダメだ。正体がばれるという緊張感に耐えきれないのだろう。「インファナル・アフェア」を強引に見せたら虐待かしら。

父親であるわたしはどうかというと、悪徳刑事ものがダメだ。正義を守るために必要な作業かもしれないが、「それ、ダメでしょ」と。わたしが地方公務員として清廉だからではなく、そんなめんどくさいことをやっている方がつらくね?と思うほど根性なしだから。わたしに汚職はできません。

この小説は「犬の力」「ザ・カルテル」のウィンズロウが放つ、正義とはなんなのかというお話。冒頭に殉職した警官の名前が掲載されていて、それがとんでもない量なのにまず驚く。現場で行われていることの苛烈さの象徴。

ニューヨーク市警のエリート捜査官のマローン。彼がFBIに収監されているシーンから開始。救いのない話が展開される。犯罪者、FBI、上司とのやりとりなど「犬の力」「ザ・カルテル」の作者だけあって現実が投影されている(かなりリサーチしている模様)。

マローンは次第に悪に手を染め、しかし同時に悪を懲らしめようともしている。その相克が破綻を呼ぶ……

ラストがいいんですよ。これはぜひとも読んでいただかなくては。もちろん、例によって体調のいいとき限定。吹き飛ばされてしまうからね。しかしもうウィンズロウは、ニール・ケアリーものの繊細な世界には戻ってくれないんだろうなあ。

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いだてん 第4回 小便小僧

2019-01-27 | 大河ドラマ

 

第3回「冒険世界」はこちら

前回の視聴率は予想を上回って13.2%。上回ってこれじゃさみしい。まあ、とにかく悪評も好評もかまびすしいので、ある程度は注目を集めたってことなんでしょうが。

第1回でオールスターキャストを披露したものだから、誰が出てこようがあまり驚きは……おかしいなあ、郷土の誇り、峯田和伸(銀杏BOYZ)はどこに?おおお、車引きの清さんだったの!?そりゃ、気づかないわ。大好きな山本美月はどこに?(きりがない)。

ストーリー的には、予告篇の復習のような回だったので新味はあまり。でも、先週は志ん生の奥さん役で池波志乃、今週は美濃部家をささえた長女の美津子さん役で小泉今日子がいい味。

ビートたけしが志ん生を演ずることに、まだ批判があるようだ。なにを言ってるんだろう。ありようがこれほど似た二人もない。北野武初監督作品「その男、凶暴につき」で、ラジオから流れてくるのは志ん生の道中付けだった。たけしがあの先達を意識していなかったはずがない。

ちなみに、西川美和の「ディア・ドクター」において、亡くなった旦那さんが遺した落語のテープを八千草薫はいつも聴いている設定で、選ばれたのは金原亭馬生でした(くどいようだけど、志ん生の長男で池波志乃のお父さんね)。あの一家は、いまでも日本のエンターテインメントの中心にいる。

足袋屋の主人としてピエール瀧も登場。足袋屋?これからの展開を考えると必然なんだろうけど、どう考えてもTBSの水曜ドラマ「ムー」「ムー一族」を意識してますよね。伊東四朗を起用するわけにはいかなかったか。お手伝い役で樹木希林を登場させて郷ひろみとフニフニさせる度量は見せられなかったのか(無理)。

初期の日本体育が、うさぎ跳びに代表される「二百害あって一利もない」状態だった指摘はするどい。わたし思うんだけど、団塊の世代がまず膝を痛めるのはうさぎ跳びのせいじゃないかと……今回の視聴率はちょっと下がって12%台のような気が。

第5回「雨ニモマケズ」につづく

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「本と鍵の季節」 米澤穂信著 集英社

2019-01-27 | ミステリ

米澤穂信の本領発揮。図書委員の男性ふたりのかけ合いが実にいい。強引な推理合戦は古典部小市民シリーズの一環にも見えて、しかしこのダークな味わいはシリーズ内では成立しなかったろう。

ホームズ役とワトソン役が途中で逆転し、そして……なラストもすばらしい。本、鍵、飲み物などの枠をきっちり設定したあたり、読者サービスも満点。にしてもまさか事件の鍵が爽健美茶とは(笑)

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「アウトレイジ 最終章」(2017 WB)

2019-01-26 | 邦画

おなじみ、登場人物全員が「バカヤロー」「コノヤロー」を連発する北野武流のやくざ映画。1作目のラストで服役、2作目で韓国人実力者にかくまわれた大友(ビートたけし)の物語が、ついに最終章(CODA)。

「バカヤロー」は、要するにアメリカ映画の“Fuck !” “Fuckin’! ”のニュアンスを移入したのだろう。史上最も四文字言葉が連発された「スカーフェイス」あたりがモデルか。

ストーリーは意外にオーソドックスで、中心にいるのは常に金。しのぎや謝罪、お祝いなどに必ず金がつきまとう。堅気の世界とは桁がふたつぐらい違いますが。もはや現代のやくざに任侠というラッピングは無意味だと主張している。このあたりは「仁義なき戦い」で千葉真一(彼の役名も大友だった)の名台詞

「のう親父さん、神農じゃろうと博打うちじゃろうとよ、わしらうまいもん食ってよ、マブいスケ抱くために生まれて来とるんじゃないの。それも銭がなけりゃ何も出来やせんので。ほうじゃけん、銭に体張ろういうんが、どこが悪いの!?」

の精神をまっとうに受け継いでいるかのように見える。しかし、この物語の推進役であるたけしはそこからはみ出る。借りはかならず返すという自分なりのルールで突っ走り、組織と相容れなくなっていく……これは任侠映画的じゃない?まあ、殴り込みに向かうのが高倉健と池部良ではなく、ビートたけしと大森南朋であるあたりが妙味なわけだが。

役者では、西田敏行の顔芸が突出していた。相手の目を見すえたり外したり、うまいなあこの人。塩見三省にしても、病み上がりな感じがうまく役にマッチしていた。

それにしても、公開からわずか1年で、会長役の大杉漣が亡くなり、北野の盟友だったはずの森プロデューサーとはケンカ別れ、仮面夫婦を広言していた幹子夫人とは離婚訴訟……アウトレイジですなあ。

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「ジャスティス・リーグ」Justice League(2017 WB)

2019-01-25 | 洋画


DCコミックスのヒーロー大集合……ってこれはもちろんMARVELがアベンジャーズでやっていることの二番煎じ。だけれども、スーパーマンとバットマンという二大スターがそろっているし、アベンジャーズ超えが将来は期待できるのかも。

マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン」の二作品の直系の続篇。しかし興行成績も評価もふるわなかったようだ。そりゃそうだ。3時間の映画を2時間に短縮したらしいので、コクというものがない。例によって破壊破壊破壊破壊の連続。

でもね、シリーズにワンダーウーマンとアクアマンが登場することでそのあたりはありがたい感じ。だいたい、「ワンダーウーマン」は直系シリーズよりはるかにヒットしたし、いま全米公開中の「アクアマン」もこの映画より稼ぐことは確実だ。ちょっとワーナーとDCは戦略ミスったかも。

でもね、J.K.シモンズがコウモリの影を空に浮かべるシーンなど、ちょいと泣かせる。

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うまい店ピンポイント2019年冬 馬場 にく中華篇

2019-01-25 | 食・レシピ

函太郎篇はこちら

インフルエンザの蔓延は、我が校では収束に向かっているみたいだ。でも先週はえらいことになっていた。で、土曜日に酒田の多くの学校事務職員が集まる会に出たの。それはそれはけっこうな会だった。

でも翌日、わたしは鼻水が止まらない。まあ、それくらいなら。平気で雪の始末をしてました。

ところが。

月曜になってえらいことに。吐き気がとまらず、トイレに駆けこむ。でも給料日だからなあ。現金で受け取る迷惑な職員もいるし……学校に特攻。熱はないからインフルってこたないだろ。でもどんどん調子が悪くなったのでさすがにギブ。年休3時間をとって医者へ。

「……インフルエンザじゃないな」

おじいちゃん先生は結論がはやい。葛根湯を渡されて帰されました。

確かにインフルではなかったようで、でも翌日はお休みをとってずーっとお布団のなか。おかげで5冊も本を読めました。

で、復活。出張に出かけるときに、今日はどこのラーメンをいただこうかなと熟考。7号線を遡上するにしても、ここで味好の焼肉ラーメン風林火山を選択したりはさすがにしない。やさしい酒田らしいラーメンがいただきたいなと。そうなると馬場は最適。でも混んでるだろうな……おっと、12時ジャストぐらいだとスルッと入れました。十分たったら行列でしたが。にく中華。ああおいしい。どうしてこの店がうちの学区から移ってしまったんだあ!

なんと吉野家篇につづく

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