事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言09年12月号~夫婦放談

2009-12-31 | うんちく・小ネタ

09年11月号「一回どう?」はこちら

Impressionsj 「一つの試みとして、4月公開『シャッターアイランド』で、より分かりやすい、伝わりやすい業界初の“超日本語吹替版”を制作して、新しい洋画ファン獲得の足掛かりにしたい」
パラマウントピクチャーズジャパンのラインナップ発表会にて高田和人マーケティング本部シニアマネージャーが。

……いつか誰かがこんな発想になるんじゃないかと思ってた。洋画の(特にハリウッドの)興行収入が下がり続け、しかし邦画が絶好調であることで“わかりやすい”“伝わりやすい”吹替に……要するに寒いギャグとかをオリジナルにこだわらずに入れていこうってことだろ?芸人も多数起用して。賭けてもいい。そんなことをやっていたら洋画興行は破滅するぞ。

「なにが夫婦放談だって(笑)」
山下達郎竹内まりやがFMの放送で同時に。「サンデーソングブック」でこの企画をやり始めて、もう十数年になるのだとか。それで驚いてはいけない。大滝詠一との放談は二十年以上!。どうかいつまでも。どうか死が二人を分かつまで。

「(スーザン・)ボイル? 目玉は日本にいる人間で作らなきゃ」
和田アキ子の紅白に関する発言。もうみんな気づいていることと思う。芸能マスコミは“便利だから”和田という装置を使ってさまざまな意思表示を行っているだけだ。そして和田自身はみずからが文字通りゴッドにでもなった気でいる。本気で(“事務所の意向”なんてものにふりまわされず)芸能ニュースをやろうと思うメディアはないのか?

10年1月号「内閣の弱点」につづく

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うまい店ピンポイント~ラーメンの町東京篇「蒙古タンメン中本」

2009-12-30 | 食・レシピ

「四十番」特集はこちら

Nakamoto03 今回は特別にラーメンの町出張篇。

 先日東京に行ったときに、ここだけは行かねばならぬ!と気合いを入れていた場所が。それは「蒙古タンメン中本」。

 いつも読んでいる某放送作家の日記サイトで「みずからタブーにしている」くらいおいしいと評価されているし、近ごろはコンビニでカップ麺として発売もされている有名店。

 訪問地が小田急沿線だから新宿店を選択。東京駅から中央線で新宿駅に向かい、西口を出て西武新宿駅方面に向かうと……ありました、蒙古タンメン中本新宿店。

 ビル地下におりていくと、午前11時すぎの段階ですでに行列が。普通、そんなパターンだとギブアップする根性なしのわたしだけど、わざわざ東京まで出てきているんだからと列に並ぶ。食べ終えた客たちが、鼻水タラタラだったり頭から湯気を出している。この店は激辛で有名なのだ。40分ほど待たされて(自分にとってラーメン屋で待った時間では最長記録)、やっと席につく。でも店外を見ればまた列が長くなっているのでまだしも待たなかった方なんだろうな。

 オーダーしたのは基本中の基本「蒙古タンメン」。なるほど麺の上にはうっすらと赤い餡がのぞく。食べてみる。

 あれ?

 普通じゃん!いや確かに辛いことは辛いし、他では食べられないオリジナルな味。でも、それがさほど美味しさにつながっているとは思えないのだった。コクがないし、トッピングされている野菜がほとんど煮くずれしているのはわざとなの?

 汗をふきふき外に出る。行列している連中のなかには「池袋の大勝軒じゃ2時間は待ったなあ」とかましている人もいる。諸君、山形に来い。こちらではもっともっとおいしいラーメンがほとんど行列なしに食べられるぞ!

と地元愛を発揮したところで次回からは鶴岡篇に突入。最初は「文下(ほうだし)食堂

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「新参者」 東野圭吾著 講談社

2009-12-30 | ミステリ

Newkidintown 島田荘司に御手洗潔と吉敷竹史がいるように、東野圭吾には湯川学と加賀恭一郎が。トリッキーな本格の時は生意気な天才探偵、静かに語るミステリの場合は人情の機微に通じた苦労人。作家として人気キャラをこうやって確立できたらこわいものはない。

このミス2010でベストワンになったことに、東野自身が驚いているのは韜晦でもなんでもないだろう。

小さな謎の重なりの上に、ほんの少しひねったラストをおき、読者をうならせる。ミステリファンの喝采よりも、直木賞作家としての腕の冴えを味わってほしかったのだと思う。完成度高いもんなあ。

セリフの硬さはあいかわらずだけれど、人形町(確かに、あそこはいい町だ)を知り尽くすことで、犯罪の真相をあばく以上のことをしてみせる加賀恭一郎。ベストワン納得。

ただ、この路線も東野の独壇場になったのではミステリ界はしんどい。読みおえて誰でもが思ったはず。宮部みゆきは何をしているんだー、と。

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「怪談」KWAIDAN (1965 東宝)

2009-12-29 | 邦画

Kwaidanp 原作:小泉八雲 
脚本:水木洋子
監督:小林正樹 
撮影:宮島義勇
音楽:武満 徹

小林正樹ってすごい。有名な(有名すぎる)「怪談」を、映画界では傍流である新劇人を数多く起用し、アヴァンギャルドな美術を駆使して重厚な作品に仕立てている。あまりに前衛的なことも災いしてか、興行的には苦戦したようだし、評論家うけもよくなかったようだ。しかし、巨匠の本気ぶりに圧倒される思い。

この作品は四篇からなる。

「黒髪」
糟糠の妻(新珠三千代)を捨てて出世のために入り婿となって東へ下る男(三国連太郎)。しかし新しい妻(渡辺美佐子)の冷たさもあって黒髪豊かな前妻への思いはつのり、ふたたび都へ帰ってくるとそこには……。男のわがままと女の献身が壮絶な悲劇を呼ぶ。憎悪の鶴の恩返しというか浦島太郎地獄版というか。乾いて埃っぽい陋屋のセットがすごい。そこにたたえられた水の黒さ。

「雪女」
これほど有名な怪談もなかろうけれど、その美しさゆえに雪女(岸恵子)が殺すにしのびなかった少年を仲代達矢、ってのは当時から無理があったんじゃないかなあ。なぜ秘密を守れなかったのかと激昂する雪女よりも、いつまでもいつまでも歳をとらない働き者の美しい妻という存在が静かに怖い。

「耳無し芳一」
中村賀津雄のジャンキーぶりがすばらしい。考えてみれば悪霊から守るために般若心経を身体中に書き記すというのは映像的にもたまらない設定(耳だけ書き忘れるおとぼけぶりも)。しかし夜な夜な訪れる悪霊が、壇ノ浦の死者たち(義経が林与一、建礼門院が村松英子)だったとは知りませんでした。そして、こんな残酷なお話がハッピーエンドだったなんて。

「茶碗の中」
人間の魂を飲み込んでしまった男に何が起るか。四篇のなかでもっとも怖い。演ずる中村翫右衛門の、いかにも食えない感じがいいし、ストーリーがなにしろ理不尽なあたりも普遍性がある。佐藤慶、天本英世が歌舞伎界の重鎮に挑む構図。そしてこの話のオチがうまい。滝沢修杉村春子と中村鴈治郎が……

正直、女優見たさにレンタルしたんだけど「黒髪」の新珠三千代と「雪女」の岸恵子の美しさには震えが来る。大画面で見るべきだったなあ。

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続・意外なふたり~師弟の愛憎

2009-12-29 | うんちく・小ネタ

「美男の系譜」はこちら

♯98 蓮實重彦(元東大総長) & 寺脇研(元文科省官僚)

51zgwmq2zzl 東大時代、蓮實は寺脇の担任だったのだそうだ。寺脇がその事実を明かしたのはつい先日のこと。

同じ映画評論の道を歩みながら、めざした方向は微妙に違っているように思える。

影響力は(立教での教え子たちも含めて)蓮實の方が爆発的だったわけだけれど、ひたすらキネ旬読者であったわたしは寺脇の文章の方を100倍は読んでいる。

東大総長という遠い世界よりも、ゆとり教育がらみで市町村立小中学校にとっては寺脇の方がなじみ深いし。

しかしまさかどちらも官の世界でここまでキャリアアップするとは。映画関係は出世街道ですか。あるいは東大ではそっちの方面もちゃんと履修させているとか。

師弟シリーズはつづきます

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刑事コロンボを全部観る~Vol.12「アリバイのダイヤル」The Most Crucial Game

2009-12-28 | テレビ番組

Vol.11「悪の温室」はこちら

Themostcrucialgame  今回の犯人はフットボールチームのGM(ゼネラルマネージャー)。チームを愛し、スポーツを愛するこの男(ロバート・カルプ再登場)にとって、スポーツの喜びを解しない二代目ボンボンオーナーは目障りな存在だった。事故死に見せかけて彼を排除することでチームの実権をにぎろうとするが……

 GMとオーナーの仲が悪いのはどこもいっしょですね(笑)。犯人の計画は一見したところ精緻に思える。自分のチームの試合中に、自分専用の部屋(常に実況中継が流れている)からアイスクリーム販売車で抜け出し(ラジオで試合経過は聴き続けている)、途中でオーナーに電話を入れ(バックにラジオを流す)、プールにいる彼を氷で(アイスクリームの車を選んだわけがここでわかる)撲殺する。凶器は水に流れ、警察は単純に事故死だと判断するはず……

 後半にいたって判明するのは、オーナーの電話が盗聴されている事態を利用した犯罪だということだ。これは考えてある。ただ、いくら二日酔いだからといってもオーナーが延々とプールに入っていると確信できる楽天性はうらやましい。

 コロンボが事故死ではなくて犯罪ではないかと考えるのは、プールサイドの水をなめてみる(!)という仰天するような行動に出て塩素の有無を確かめたから。彼が不審に思わなければ乾いていただろうから結果的にファインプレー。

Themostcrucialgame02  決め手になったのはGMがかけた電話に「入っていた音」ではなくて「入っていなかった音」なのはおみごと。しかし、その音がゲームにからんでいればもっと皮肉でよかっただろうに。たとえば“二分前の警告”とか。無理だけど。それに、当時のロス警察は通話記録をチェックするという権利もなかったのかなあ。

Vol.13「ロンドンの傘」につづく

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「内儀(かみ)さんだけはしくじるな」古今亭八朝、岡本和明編 文藝春秋

2009-12-27 | 芸能ネタ

Hachidaimebunraku 目白、柏木、黒門町……つまりそれぞれ五代目柳家小さん、六代目三遊亭圓生、八代目桂文楽の弟子たちが、名人の奥さんを中心に内弟子時代を語る。

こんなもん面白くないわけがない。花柳界との関係がまだ強い時代のことだから、奥方はそちら出身のことが多く、芸人も徹底して遊び続ける。小さんの奥さんはそのことに嫉妬し、圓生の奥さんは知らぬふりを決めこむ。文楽の奥さんは自らが桂文楽の妻であることの誇りで矜持を保とうとする。

そして同時に、破天荒な弟子たち(ハンパじゃないです)の母親として、時に理不尽で、時に聖母として君臨する。師匠をしくじっても内儀さんだけはしくじるな、と言われる所以。なるほど。

小さんはともかく、圓生と文楽は気難しい人だと思っていたので、語られるエピソードがひたすらおかしい。噺家ってぇのはしかし……。

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「アバター」ふたたび

2009-12-26 | 洋画

PART1はこちら

Avatar2_2  「アバター」のストーリーは、乱暴な言い方をすれば蛮族のトップに白人がすえられる、むかしながらのハリウッド的おとぎ話にすぎない。

 ベトナムや中東にこれまでアメリカがやってきたことを断罪するような(もちろんそれはネイティブ・アメリカンへの仕打ちも含んでいる)、無邪気な政治映画だともいえる。逆に、そんなおとぎ話や生硬な政治的プロパガンダを成立させるために、ここまで手のかかる仕込みが必要なのか、とも。

 生硬、と切って捨てるのはいかがなものか、という向きもあろうかと思う。しかしキャメロンが複雑なのは、未開人(青い猿、と先住民であるナヴァ族を呼ぶなど)を侮蔑するアメリカ海兵隊が実に魅力的に描かれていることでむしろわかる。

 もちろんそれは「パブリック・エネミーズ」で、「デリンジャーはシャーリー・テンプルの映画なんか観ない」という名文句をつぶやき、ラストのいちばんおいしいところをさらったスティーブン・ラングが隊長を演じているだけではない。常に汚い言葉を吐き、みずからの野蛮さを誇る“海兵隊魂”が、圧倒的な強さを表現しているからこそ、実は大量殺戮でもあるナヴァの逆襲の正当化にも貢献しているわけだ。

 だいたいね、これはどこかで見た展開だと思えば、まったく「エイリアン2」なのに気づかされる。地球人の方がエイリアンとして襲撃にくるあたりがひねってあるだけで。だいたい、ヘリの女性操縦士の性格(とサングラス)までいっしょだしね。

 正直、架空の生態系を展開してみせた前半は、驚きはするけれどもちょっと退屈。しかし、重機がうなり、油の匂いがむせかえるような後半のたたみかけは、わたしの好きなキャメロンそのもの。パワードスーツをつけた隊長が両手をあげて威嚇するとき“C’mon Bitch!”と言わないのが不思議なくらい。

 およそ日本人好みとは思えないナヴァ族の造形は、ばかでかい身長のためにむしろいじめられてきたであろうキャメロンの意向が反映しているに違いない。ずっと見ていると、ヒロインのネイティリが次第にセクシーに見えてくるあたりはおみごと。モデルは、ドリカムの吉田美和に違いないです。

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「アバター」Avatar (2009 20世紀FOX)

2009-12-25 | 洋画

Avatarp01   かつてスティーブン・スピルバーグが「Watch The Sky(仮)」という映画を極秘裏に製作していたとき、彼は取材にたいして「いま、電気の雲をつくっているんだ」とうれしそうに語っていた。完成したその作品こそ「未知との遭遇」Close Encounter of The Third Kind(第三種接近遭遇)であり、「スター・ウォーズ」でボロ儲けし、その金でILM(Industrial Light And Magic)をつくったジョージ・ルーカスとともに、特撮技術を革命的に変えたのだった。彼らは、自分の作品が業界全体を活性化することに意識的ではあったろうけれど、それよりもまず、技術的なイノベーションに淫してしまうのだろう。

 同じことがジェームズ・キャメロンにも言える。大バクチだった「タイタニック」を興行的にも作品的にも(わたしはちょっと懐疑的)成功させた彼は、その成功をバックに3Dで映画というメディアを変えてみせると豪語。でもわたしはこう思っている。電気技師の息子であり、メカフェチでもあるキャメロンは、撮影技術の変革自体が楽しくて楽しくて仕方がないのだろうと。

 そんなにひねくれずに考えれば、いくら大監督でも三作つづけてコケれば撮れなくなってしまう薄情でシビアな映画界で、大金をつかんだら業界全体のために投資するべきだ、とする気風がハリウッドにはまだ残っているのかもしれない。

 「タイタニックから12年!」と騒がれているけれど、わたしにとってキャメロンとはなんといっても正続「ターミネーター」「エイリアン2」の人だ。

思い起こしてほしい。アクションにつぐアクションで観客を疲労困憊させたあと、さらに“もうひと押し”するサービス精神こそ彼の真骨頂。わたしが「アバター」の初日に映画館にかけつけたのは、あの興奮を味わいたかったからと、実はわたしも技術革命なるものが大好きだからだ。

以下次号

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「追想五断章」 米澤穂信著 集英社

2009-12-24 | ミステリ

4087713040_2 ……ということでボトルネック特集はこちら

結末が読者にゆだねられるリドル・ストーリー。古書店に居候する主人公は、ある女性の依頼を受けて、彼女の父親が著した五つのリドル・ストーリーを探すことになる……

とても魅力的な設定だと思う。その五つのストーリー全体に絶妙の引っかけが用意してあり、しかも戦後の某有名事件との相関が語られる。年末のベストテンで絶賛されるのも当然だと思う。

しかしわたしはちょっと不満だった(米澤穂信に不満をいだくなんて初めてだ)。たとえ真相がつらく哀しいものであっても、主人公の魅力がそれを補うのが米澤流というものではなかったのか。この作品の主人公、芳光は事件やみずからをとりまく環境に苦悩し続けるのだ。

折木(古典部シリーズ)や小鳩(小市民シリーズ)のように、事件がどうあろうと、みずからに影響を与えることを拒み続けるキャラであれば、この作品をもっと楽しむことができただろう。それとも、彼ら十代の無責任さをわたしがうらやましく思っているだけなんだろうか。

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