事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

半沢直樹その2

2016-12-31 | テレビ番組

PART1はこちら

半沢は東京中央銀行(三菱東京UFJ銀行がモデルだとか)大阪西支店の融資課長。彼がこの銀行の前身、産業中央銀行(イケイケの三和銀行がモデル)に入行したのは、かつて町工場を経営する父親(笑福亭鶴瓶)を自死に追いやった、まさしくその産業中央銀行に復讐(あるいは変革)するためであり、そのときの非情な行員が現在は常務となっている大和田(香川照之)。

半沢が以降にとる行動はファナティックと言ってもいいくらいなので、視聴者全員の賛同は得られそうにない、という計算があったからか、父親の首つりシーンはほぼ毎週のようにくりかえされ、彼の行動を正当化する。

同様に、半沢の行動のきっかけとなる部分は、くどいくらいにフラッシュバックされる。視聴者にとってこれほど楽なことはない。

真田丸は逆だ。回想シーンはほとんどなく、物語を前へ前へと進めていく。真田幸村が歴史の表舞台に出てくるまでは、だから草刈正雄(真田昌幸)、小日向文世(豊臣秀吉)、山本耕史(石田三成)といった推進役が必要だった。いったいこの大河の主役はだれなんだ、と揶揄されることも多かったのはそのためだ。

優劣を語っているのではなくて、作法の問題なのだと思う。ひねくれ者の三谷幸喜のことだから、大ヒット作である「半沢直樹」を意識していなかったはずはないし、だからこそ(「新選組!」のときもそうだったが)フラッシュバックを自らに禁じたのだろう。同じようにはしたくなかったわけだ。

つづいて演技。これはもう、どっちが時代劇なんですかと言いたくなるくらい、「半沢直樹」は大仰な演技に終始している。特に、小悪党がすばらしいのだ。

上司の腰ぎんちゃくを憎々しげに宮川(「家族ゲーム」の長男)一朗太、手塚(「天空の蜂」の刑事)とおる、緋田(「ごめんね青春!」の教頭)康人が演じていてはまり役。

そして大悪党もまた……以下次号

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真田丸総集編 真田丸アカデミー賞

2016-12-30 | 大河ドラマ

最終回の視聴率は14.7%とほぼ変化なし。通期では高視聴率と報じられているけれど、マスコミは総がかりで(少なくとも「新選組!」のときに比べれば)好意的だったので多少割り引いて考えるべきかも。もっともっとみんなに見てほしい大河だった。

そして本日は総集編。通常回がすべて二文字タイトルで、総集編は四文字四部構成と来た。4時間いっきに見て、娘はやはり最終場面で泣き、わたしも納得の大河だったと再認識。

正直にいえば、三谷幸喜が真田幸村を題材にするというのは、期待半分不安半分だった。また、敗者のお話なのかと。特に、主演が山南敬助役だった堺雅人ですから。もうあのつらすぎる切腹シーンの再現は……

だからというわけではないだろうけれども、真田丸はナレ死の連続(だからこの大河で最も多くのキャラを殺したのは出浦でも秀吉でもなく、有働アナだ)。臨終そのものはほとんど描かれず、それどころか関ヶ原も合戦シーンなし。おみそれしました。

さあそれでは龍馬伝につづいて真田丸アカデミー賞を勝手に開催しましょう。

助演男優賞……腹黒本多正信の近藤正臣、狂気秀吉の小日向文世、太鼓腹家康の内野聖陽など、多くの名演はあったけれども、ここはやはりくじ引き昌幸の草刈正雄でしょ。総集編でもくっきりと彼の出演シーンだけは画面の温度が違うんだもの。

助演女優賞……最大の悪役となったダースベイダー大蔵卿の峯村リエ、秀吉とどっちが狂っているんだ淀君の竹内結子、家康と狸っぷりがタメ斉藤由貴もいいけれど、大泉洋をすっかり普通の人に見せた前妻&侍女の長野里美でいきましょう。こんな女優がいたのか。

主演女優賞&男優賞……うぜー女として突っ走り、しかし最後には視聴者みんなの支持をあつめたきり(ドラマの勘所でターボを効かせていたのは彼女だった)の長澤まさみと、レシーバーとして、くせの強い役者たちの演技をすべて受けて立った堺雅人に脱帽。

こんなにすごい音楽がつまってたのかとか、この生け花はしかしとんでもないんじゃないかとかがわかって総集編チェック正解。お正月にはBSでやるんですってよ。ぜひ!


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「半沢直樹」 (2013 TBS)

2016-12-30 | テレビ番組

「真田丸」が終わってしまった。この虚ろな心をどうやって埋めよう。ということで堺雅人主演の作品を見て自らを慰めることにする。まずは「半沢直樹」。最終回の視聴率が42.2%という馬鹿げた数字を叩き出したお化け番組。

もっとも、大河以外のドラマをリアルタイムで見る習慣がないので(ほんと、マジでレコーダーぐらい買おうよ)「へー、すごいなあ」と思いつつも一度も見ていませんでした。今ごろ見た人間に語られたくはないでしょうが、まあ聞いて。

このドラマにおける最大の疑問は、その視聴率がなぜこんなに高かったのか、だろう。もちろん、「家政婦のミタ」(こちらも見たことないです。すみません)と同様に、ブームがブームを呼び、火がついたらもう手がつけられなくなった……のと同じパターンだろうとは思う。

でも、「半沢直樹」はドラマ不況のさなかに、初回から19.4%もの視聴率をゲットしている。お堅い経済ドラマというくくりで視聴者はとらえていなかったことがわかる。なんらかの「面白そう」と感じさせるパッケージングを身につけていたわけだ。主演の半沢直樹に堺雅人、その妻に上戸彩、敵役が香川照之、キャストのトメが北大路欣也という布陣はむしろ地味なくらいなのに。

原作は池井戸潤の「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」。その、半沢の同期を演ずるのは及川光博と滝藤賢一。地味でしょ。「マンハッタンラブストーリー」のベッシーと、「SCOOP!」で泣かせた滝藤をつかまえて地味もないものだが。

その脚本と演出作法は、ともに「真田丸」と真逆なのに気づく。対比して、考えてみよう。まずは“回想”だ。以下次号

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「消滅」 恩田陸著 中央公論新社

2016-12-29 | ミステリ

恩田陸って、読めばいつも面白いじゃないですか。「六番目の小夜子」「ドミノ」「ねじの回転」いつも堪能。でもどうも手に取りづらくもある。「夜のピクニック」が、わたし向きではなかったことが影響したかも。

で、「消滅」。読売新聞に連載されたたいそう分厚い本だけれど、空港に孤立する11人プラス1匹の犬、というダイ・ハードっぽい設定にひかれた。きっとそういうタイプの小説もきっちりこの人はしあげてくるんだろうなあ……

その予想はある程度当たり、ある程度はずれた。とにかく圧倒的に読ませる面白さは予想どおり。しかし大型台風と通信障害によって孤立した特定の人物と犬のサバイバル、という方面では全然なかった。

濃いキャラのなかにひとり、ロボット(というくくりは乱暴だけど)がいて、くわえて異能の持ち主が登場するからだ。そんな条件のなかにおける「このなかにひとり、犯人がいます」的なミステリ色強し。これはこれでけっこうでした。犯人じゃなくてテロリストという表現になっているのがラストで効いてきます。

タイトルの英題はVanishing Point。消滅点。いろんな意味がこめられているけれど、わたしの世代にはアメリカン・ニューシネマの傑作にして、タイトルのかっこよさナンバーワンだった「バニシングポイント」を想起させます。ほぼ同世代の恩田は絶対に意識したはず。

あの映画ではラストで主人公は文字通り消滅するんだけれど、こちらで消滅するのは……

空港、ヒューマノイド、国家規模のテロ、ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジを連想させるキャラ。こんな大風呂敷を広げながら、オープニングとラストで語られるのは小さなラーメン屋。小憎らしいほどうまい。やはり、恩田陸はもっともっと読まなければならない作家のようです。

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「ローグ・ワン」Rogue One: A Star Wars Story

2016-12-28 | 洋画


エピソード7特集はこちら

人はだいたい、自分がなりたいようになる。少なくともそうなろうと努力する。わたしは年末に

地元の映画館で(といってもクルマで40分もかかる)

・スターウォーズの新作を見て(観客はわたしを入れても2名だったが)

・ドイツ車にのって(13年落ちで15万キロ走ってるゴルフだけど)

・ダッフルコートを着ている(ユニクロ)

……若いころに、そういう中年になれたらいいな、というおおよその姿にはなれていると、このスピンオフを見て思った。急に思ってしまった。まあ、理想からはかけ離れてはいるけれど、こんなものかな。

というのも、長年このシリーズにつき合ってきて、だからこそしみじみ味わえる年寄り向けのお楽しみが仕込んであったから。設定が、第一作、エピソード4の10分前までの物語なのでなおさら。エピソード3.9。というか3.999くらい。

・デススターとともに死んだ設定の故ピーター・カッシングが動いてる!(CGらしい)

・「彼女」とだけ形容される女性が、若き日と同じルックスで登場!(そっくりさん+メイク+CGだとか)

・ダースベイダーの声がジェームズ・アール・ジョーンズとはっ!(まだ彼は生きてるってば)

「星間戦争」というタイトルなのだから、戦争映画であることは宣言されているわけだけれども、しかし今回はなかなか陰惨な話ではある。主戦場はまるで「地獄の黙示録」におけるキルゴア中佐の爆撃現場。ナパームの匂いがしそうだ。

前半はまどろっこしくてどうなることかと思ったけれど、最後の最後にダースベイダーが驚愕の強さを見せつけてくれるのでうれしくなる。ロボット三原則をことごとく破っているK-2SOが、西部劇のガンマンのように動くのも笑わせる。

うちに帰ったら、“彼女”であるレイア姫を演じていたキャリー・フィッシャーの訃報。怒涛の人生を送った彼女は、なりたい自分になれたんだろうか。

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明細書を見ろ!2016年12月差額号 差額支給日を推理するPART3

2016-12-27 | 明細書を見ろ!(事務だより)

PART2はこちら

推理する、と胸をはっておいて、結果ははずれでしたね。12月21日の採択、予想では6日後の27日支給でしたが、結局は御用納めの日に支給。まあ、現金で受け取る人がいないので痛くもかゆくもないんですが。

県からのメールも遅くなり、クミアイのFAX情報が第一報。でも実は、給与端末には21日の午後に給与明細書のデータがすでに送信されていたのです。だったらもうちょっと早く支給してほしいところ。でも、いろんな大人の事情があるのでしょう。よく知らないけれど。

事務屋の立場からすると、県議会の採択が21日までに行われないと、年内の支給がきびしくなるという前例みたいになってしまうのが懸念されます。わたしたちだって県民なのだから、事情を斟酌して給与条例だけでも早めに採択してくれないのかなあ。まあ、山形県議会は現在まことに微妙な時期なので、へたな動きを県庁の側は見せられないのでしょうが。

とりあえず差額はすでに振り込まれています。メインは勤勉手当の0.1ヶ月分。若手はそれなりに給与の伸びも貢献していますが、中高齢層は……。

画像は「真田丸」(NHK)
脚本:三谷幸喜 主演:堺雅人

呆然。50週にわたってリアルタイムで見続けてきた傑作大河終了。これから日曜夜はなにをして過ごせばいいんだーっ!堺雅人カムバーック!あ、「半沢直樹」や「リーガル・ハイ」をDVDで見ればいいのか。そうかそうかそうに決まった。

2017年1月号「源泉徴収票を見ろ!」につづく

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「猫に知られるなかれ」 深町秋生著 ハルキ文庫

2016-12-25 | ミステリ

作者の深町秋生は、山形県出身(南陽市)、山形県在住(山辺町)、専修大学出身。ここまでかぶってれば応援しなければなりますまい。というか、そんな思い込みも不要なほどこの小説は面白かった。

GHQによる占領下、屈辱的な生活を送る敗戦直後の日本人。そのなかに、米兵を怖れもせずに歯向う荒くれ男がいた。彼は戦中にスパイ狩りの名手として知られていた。そんな彼、永倉を、陸軍中野学校出身で変装の名人である藤江がスカウトする。行く先はCATと呼ばれる得体のしれない組織、フィクサー緒方竹虎(!!)が、憂国の思いで立案したものだった……

誰が読んでも柳広司のD機関シリーズとの類似に気づくはず。どちらも中野学校がモデルなので当然のことなのだろうが、向こうに結城という神(と同時に悪魔)がいれば、こちらには藤江がいて、敵の上の上を行く。

時代設定がいい。焼け野原となった東京と現代の比較だけでも楽しいし、なによりすべてを失いはしたけれども、敗戦の絶望のなかから、しかし復興への意欲をつかみかけている登場人物たちを、誰しもが好きになるはずだ。続編希望

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「阿蘭陀西鶴」 朝井まかて著 講談社

2016-12-24 | 本と雑誌

こ、これは傑作。教科書でしか知らない井原西鶴が、芸術に魅入られ、娘(と亡き妻)を溺愛する血肉の通った人間として感じとれる。

全盲の娘が、父親の破天荒さとあざとさを憎み、しかし次第に理解していくあたりはおみごと。いやーすごいです。やるなー朝井まかて

これ、一種の心中ものですよね。

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「真田幸村の謀略」 (1979 東映)

2016-12-23 | 邦画

 

真田丸」つながりというわけではないけれど、いろんな事情があって拝見。時代劇復活大作「柳生一族の陰謀」の次にシリアスな「赤穂城断絶」をもってきて失敗した東映が、もういちど荒唐無稽なお話で勝負しようとした形跡がありあり。

立川文庫の真田十勇士ものを下敷きにしているので講談調。大河「真田丸」が意図的に離れようとしたストーリーを採用している。もっとも、脚本が笠原(仁義なき戦い)和夫で監督が中島(「狂った野獣」)貞夫なのだから、おおいにひねってある。なにしろ猿飛佐助(あおい輝彦)が異星人で、三好清海入道(秋野暢子)がお姫様ですから。

もっとも大きな改変は、「瀬降り物語」などで中島貞夫がライフワークにしている「サンカ」と呼ばれる山の民(根津甚八←役者じゃなくてキャラの名前ね)や朝鮮人(真田広之)など、虐げられた存在が結束して徳川家康(萬屋錦之介)が象徴する権力に対抗するお話になっている。

サンカの生活は、いけない葉っぱをやっていたり、女性が全裸で水浴びしていたり、確かに魅力的だ。萬屋錦之介は、赤穂城断絶において最初にオファーされたのが吉良上野介役だったのが納得できる悪役ぶり。気持ちよさそうに演じています。

真田幸村を演ずるのは松方弘樹で、父親は片岡千恵蔵。大河の堺雅人と草刈正雄が、いかに軟弱なキャスティングだったかと(笑)。

豪華キャストはそれにとどまらず、加藤清正が丹波哲郎、霧隠才蔵が寺田農、穴山小助が火野正平(すごくいい)、比丘尼のトップに丹阿弥谷津子で林羅山が金子信雄(かなり山守親分が入った演技)の夫婦、後藤又兵衛が成田三樹夫、淀君はなんと高峰三枝子。東映の本気度がわかります。

個人的には幸村の正妻役の萩尾みどりがうれしかった。大好きなんですよ。

「柳生一族の陰謀」で、柳生宗矩(錦之介)の眼前で家光が柳生十兵衛によって首が切られるという驚愕のラストを持ってきたのだから、幸村によって徳川家康の首が吹っ飛ぶオチはむしろ普通に思える。真田丸ロスに悩む方は、一度ごらんになるといいと思いますよ。かなりエッチなので覚悟はしてね。さすが東映時代劇です。

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わたし怒ってます カジノ2

2016-12-22 | 社会・経済

PART1はこちら

はっきりとわたしはこの法案に反対だ。おっとご立派なことで、と揶揄されそうだけれど、ご立派さのかけらもないわたしですら(確かに、ギャンブルだけはやらないが)、この法案の筋の悪さは指摘できる。

前から推進議連は、カジノをつくることで経済が活性化すると楽天的なアドバルーンを上げつづけているけれど、ほんとうにそうか。確かにギャンブルについては、確実に金が動く。それも法外な額が。しかしその金がどこにいくのかだ。

胴元に決まっている

すべてのギャンブルは胴元が勝つような仕組みになっている。そうでもないとそのカジノ、簡単につぶれちゃいますしね。そして胴元に金が集まることで税収が生まれる……つまりは国家の胴元化。それはそうだろうけれど、敗者たちのふところは当然うすら寒いものになる。

ギャンブルの負けは必要経費と認められないので(笑)、知ったことかという理屈はもちろん成り立つが、経済成長のためにカジノにおける蕩尽をあてにする政治家たちというのも、ずいぶんとさみしい存在ではないか。成長のためなら死んでもいいという理屈か?

それにね、アトランティックシティ(日本と同じように、経済のためにカジノを合法化した)の例を見るまでもなく、もうかる(しかも合法)となればカジノは乱立し、どうしたって過当競争になる。となれば、カジノが逃げて行った地域にはたして何が残るのか。

前にも紹介した、黒川博行「破門」におけるおとぼけコンビのカジノ感は参考になる。

先進国でカジノがないのは日本だけだろう、と桑原はいう。
「けど、日本にはパチンコという博打産業がありますよね。そこらの年寄りやおばちゃんが歩いて行けるところに博打場があるような国は日本だけでしょ」
「パチンコは警察と極道と腐れ議員の米櫃(こめびつ)や。下手に手を出したらやばい」
「どこかの知事がカジノ構想を打ち上げてもあきませんか」
「知事もあほやない。本気で米櫃に手を突っ込む肚はない」
桑原はしたり顔で「わしが知事やったら警察と組む。税金でカジノを作ってアガリは山分けや」

……カジノ経営に色気むんむんなのが、パチンコ業界であることだけでも、わたしたちはこの法案の筋の悪さを感じなければならないのでは。

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