事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「アナーキー・イン・ザ・JP」 中森明夫 新潮社

2011-01-31 | 本と雑誌

412sore2h7l_sl500_aa300_ 2010年東京。アナーキスト大杉栄、降臨!
伝説的無政府主義者・大杉栄。その精神が、17歳パンク少年に憑依して復活した! 混沌の21世紀と、激動の明治・大正。100年の時を超えて、パンク少年の心とアナーキストの魂が交信する。
(新潮社サイトより)

主人公の少年に憑依するのがなんと大杉栄。この設定がまずすごい。今さらアナーキストをとりあげるその理由とは……

大杉がインターネットを使って現代をすぐに理解し、福田和也、宮代真司などを論評するというのだから、こりゃ論壇文壇で評判になるに決まっている。“新人類”なる単語をつくりだしたヘタレ野郎(本人談)である中森の本領発揮。

ただ、憑依された少年の地獄めぐりという意味であきらかに「キャッチャー・イン・ザ・ライ」なのだが、平成に上梓されたこの作品まで、コールフィールドと同じように純情が爆発するラストでよかったのかな、という気がする。

最後まで弾けていると、あまりのアナーキーぶりに読者がついてこないだろうという中森なりの計算だったのか。新人類世代ど真ん中のわたしには、杞憂でございますのよ。

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ラジオと二人PART4~日曜日の大御所たち

2011-01-30 | 音楽

Sundaysongbookimg01 PART3~アヴァンティはこちら

日曜日のラジオには大御所がいっぱいだ。

なんといっても午後に松任谷由実山下達郎福山雅治がいて、それぞれ(タイトルが変わったことはあったにしろ)ご長寿番組化している。

恋愛教の教祖ともいうべきユーミン、レア音源なら達郎、オールナイトニッポン当時と時間帯が変わろうがおかまいなし福山と、それぞれラジオと密着している。それに、長寿化しているだけに、ユーミンは三菱自動車、達郎はJACCS、福山はSUZUKIと、スポンサーとゆったりつきあっている感じがさすがだ。

大御所、といえば忘れてはいけないのが達郎のサンデーソングブックにおける「新春放談」と「夫婦放談」。それぞれ大瀧詠一竹内まりやをゲストに迎えるのが定例化しているんだけど、大瀧とのフリートークはNHKの「サウンドストリート」から続いているというから本気でジジ放談化している。

わたしにとって生の大瀧の声を聞けるのはここだけなので、この番組自体がレア音源です。リクエストははがきのみの受付、エンディングではなぜかリスナーへの誕生日おめでとうメッセージが……なんか、山下達郎って永六輔みたいになってない?

あ、サウンドストリートといえば、わたしも熱狂的に聴いていたのだった。佐野元春甲斐よしひろ、坂本龍一、松任谷正隆、萩原健太らがそれぞれマニアックに進行したあの番組で、わたしが好きだったのはPSY・S(サイズ)というバンド(というかチャカという恐ろしい名前のボーカリストとのユニット)の松浦雅也だった。

月に1回、気に入ったミュージシャンとセッションレコーディングを行っていたのだけれど、そのレベルの高さには恐れ入った。バービーボーイズのいまみちともたか(イマサ)との「サイレントソング」はなかでも傑作で、あまりに出来がいいものだからバービーのメンバーが「なんでウチでやんねぇんだよー」ともめ、結局そっちでやったらつまんない曲になってしまったと……ああああこんな話をやってたら終わらない。「あ、安部礼司」の話はまた次回のこころだぁ!

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「二〇〇二年のスロウ・ボート」 古川日出男 文春文庫

2011-01-29 | 本と雑誌

416767974409lzzzzzzz ひょっとしたらわたしが一番好きな村上春樹作品である「中国行きのスロウ・ボート」のリミックス!しかもミキサーは古川!

やっぱり読んでよかった。すばらしい作品だった。こんな形で文学にもリミックス、リメイク、カバーが確かにあっていい。オリジナルのフレーズがみごとにサンプリングされている。

元ネタとは逆に、主人公の性格がどんどん見えなくなっていくあたり、これはこれでいい感じ。失われ、損なわれたはずの三人の恋人たちが……いやー、こういうエンディングもあっていいんじゃないっすか本家も。

次は「二〇一一年の炭鉱の悲劇」をお願いします。どうかひとつ。

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「シーラ号の謎」THE LAST OF SHEILA(1973 WB)

2011-01-28 | 洋画

Thelastofsheiladvdimg01_2 監督:ハーバート・ロス

脚本:スティーヴン・ソンドハイム、アンソニー・パーキンス

出演:ジェームズ・コバーン リチャード・ベンジャミン ジェームズ・メイソン ダイアン・キャノン ラクエル・ウェルチ ジョーン・ハケット

わたしが洋画にめざめたころ、いろんな映画評論がこの映画に言及しているのでイライラさせられた。いったいどんな作品なんだろう、とつくづく。ナイスTSUTAYA。この映画をピックアップしてくれるとは。

いやーしかし意表を突かれたなあ。まず「最初の被害者」にびっくり。ある程度予想していた展開がすべてご破算になってしまった。

前半が壮大な“ヒントの羅列”になっていて、ラストですべて収束させる展開は、おそらくそれまでのミステリ映画にはあまり存在しなかったのではないかと思う。確信ないけど。

で、現在のそういうやり口の映画花盛りの観客からすると、いかにもその収束のシーンが長くて……面白いっ!

シーラという、女性と船の名前が一致した事件で(原題は『シーラの最後』)謎が謎をよぶ。探偵は誰なのか、犯人は誰なのか、そして動機はなんなのか、すべて二転三転する。

しかも、犯罪が映画界においてのみ成立するつくりになっているあたり、公開当時のファンは驚喜しただろう。

「あなたに“死ぬほど”会いたかったのよ」

なんてセリフがあって、こりゃーヒントだろ、と思わせて……

Raquelwelchimg01 DVDの特典映像にはそのセリフを言うダイアン・キャノン、ベンジャミン・フランクリン(いかにもユダヤ人!)、ラクエル・ウェルチのネタバレ音声が入っていて、鈴木杏樹を思い切りセクシーにしたラクエルは

「あ、この衣装は当時のボーイフレンドがデザインしたの。7ヶ月いっしょに住んでたのよ」

「あたしはフランスが大好き。一時期フランス人と結婚してたし」

と余裕の発言をかましていて笑わせてくれたのでした。さーすがラクエル。彼女以外のファッションはなんとジョエル・シューマカーが担当しています。ファッション関係から出てきた人だったのか……

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まだまだタミフル服用中~「刑事定年」(BS朝日)

2011-01-27 | テレビ番組

Keijiteinendvd01_3 あいかわらずタミフルを服用して逼塞中。でもいいこともありました。

昨日の午前中、休みをとってくれた妻が
「このドラマ見たほうがいいわよ。すっごく面白いから」
とわたしの部屋の(アナログ)テレビをつける。チャンネルは山形テレビ。題して「刑事定年」

うーん、テレビ朝日の刑事ドラマかあ……と気がのらないまま見始めてびっくり。ものすごく面白かったのだ。っていうか泣いちゃいましたわたし。

設定は渋い。所轄を定年退職した刑事、猪瀬を柴田恭兵。その妻を浅田美代子。娘が田丸麻紀。「刑事~」と名のりながら、カメラは猪瀬家から一歩も出ない。ほとんどバラエティです。

あ、たまに建築中で、上に伸び続けているスカイツリーが挿入されるか。これって、定年が人生の終わりじゃないってことを強調しているんだと思うけど。

この猪瀬家に、やくざの親分子分、元同僚の刑事などが訪れてドタバタ開始。そして最後にしんみりさせてエンディング。まだ2回しか見てないけどこのペースで最後までいくんでしょう。

本来オンエアされたのはBSなので、制作費もあまりかかっていないはず。ネットで調べたら撮影は全9話で1ヶ月しかかかっていないし(柴田の体調を考えてのことかも)、セットも猪瀬家の1階と2階だけ。

でも脚本がすごくよく出来てるし、演出もていねい。ゲストもわりと豪華なのである。これから國村隼や夏八木勲も出てくるみたい。

わたしの世代にとって何がうれしいかというと、このドラマって徹底的に日テレのドラマっぽいのだ。脚本は鎌田敏夫だし、柴田恭兵の軽いノリ(身体を上下させる動き健在!)は、どう考えても大下の定年後。これに仲村トオルまでからんでくるらしいので、いつ中条静夫が出てきて「ひとみちゃん、お茶」って言い出すか(笑)

え?鎌田敏夫は金妻の人じゃないかって?なーに言ってんですか。彼はなんといっても日テレの青春シリーズや「俺たち~」の看板脚本家ですってば。

きのうの回はパラグアイ人ホステス役でシルビア・グラブってよく知らない女優が出てきて「うわー、なんて綺麗で達者な役者なんだ」と思ったら高嶋政宏の奥さんでした。

家出した妻のことで泣く元同僚のことを「大の男があんなに泣くものかしら」とあきれる女性たちに柴田恭兵が

「あいつは、奥さんとすごした長い時間に泣いてるんだ」

とつぶやくあたり、ジーン。成長したなあユージ。それに、彼の私生活につづいた不幸が、セリフに重みをもたせている。体調もよくないらしいけど、あの軽さを、いつまでもわたしたちに見せてほしい。

山形での地上波放映は来週まで!ぜひ録画して!以上インフルエンザ感染中の事務職員が自宅からお伝えしましたっ!

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「名セリフ!」 鴻上尚史著 文藝春秋

2011-01-26 | 本と雑誌

51pxvm2r0bl_2 「例えばおまえ、わかんないものでも受け入れるだろ。ビッグコミック・スペリオールの、スペリオールの、スペリオールの部分をわからないなりに受け入れるだろ、おまえ。そこが芸術だっていうの。俺、読めないもの、あれ。スペリオール?意味わかるまで気になって読めないもの。この事実が証明するようにいつも損する側だよ。当たり前の人間というものは」

松尾スズキ「マシーン日記」

古今東西の名戯曲から鴻上がセレクトした名セリフ集。シェイクスピアからチェーホフから何でもあり。

うーん、演劇と向き合うと鴻上はどうしてこんなに教条的、常識的にならざるをえないのだろう。鴻上が松尾の戯曲に距離を置いていることでもそれは感じられる。

それどころか、彼は正直に唐十郎、野田秀樹、渡辺えり子(現えり)などの作品はわからないとしている。

演劇観の相違、というだけでは片づかないなにかがここにあるような気が。

わかったふりをするわたしなんかよりもずっとマシだとは思うが、一冊読み終えてしかし最も印象に残ったセリフが松尾のだと告白するのも勇気いります。

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タミフル服用中。

2011-01-26 | 日記・エッセイ・コラム

Tamiflu75 ふううう。
やっと熱が下がりましたー。

ことの始まりは土曜日。
例によって酔っぱらって代行でウチに帰るときに、なじみの運転手がウチに着いた途端、

「いやー、まいっちゃったよ。相方が実はインフルエンザでよ」

「え……」

そして朝方、ゾワワッと震えが……
しまった。来ちゃった?来ちゃったのか?

日曜日はそれでもなんとか動けて、でも次第にボーッとしてくる。
よせばいいのに体温計でチェック。

38℃超してる(T_T)。平熱が36℃ない人間にはつらいっす。

月曜日、娘を送った足で医者へ。

診察開始が9:00なのでちょっと時間がある、とコンビニなどで時間をつぶしていたらそのすきに駐車場はほぼ満杯。

それでも強引にはじっこに駐車したら、切り返しているときに向かいの雪山の雪を抱いてしまい、ガリガリガリっと音がして……気がついたらバンパー下の、あれはなんて言うのかな、カウル?
それがポツンと向かいの道路に落っこっているのでした。ううう。

夏の検診のときに、「男らしいなあ」と喫煙癖と飲酒癖をほめてくれた医者。今回もアバウトです。

「っかしいなあ。原因は何かなあ。あれだろ?何年か前みたいな身体中の痛みはないんだろ?」

「はあ」

そうだ。そんなこともあったっけ。

「とりあえずインフルエンザの検査しとくか」

10分後。

「尿もきれいなもんだし、インフルエンザでもないみたいだな」

「そうですか(^o^)」

「あの、センセ」

看護師のチェック。

「ここ、よーく見ると……」

「おおお、そうだな!そう言われてみればうっすら出てるね!インフルエンザだこりゃ。あぶないあぶない、誤診するとこだった」

そこまで正直に言わなくても。

「じゃあ、そっちで注意とか聞いてくれ」

「あのね、5日間は絶対に学校に行っちゃダメですよ」看護師の厳命。

「えっ!」

「あたりまえでしょう?」と女性看護師たちに総掛かりで責められる。

「はい……」代行のオッサンにも言ってくれよマジで。

「家族とはなるべく離れてね。マスクもみんな着用!」

ということでかの有名なタミフル服用中でございます。調子が出るまでもうちょっとかかるみたい。やれやれ。

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「プロムナード」 道尾秀介著 ポプラ社

2011-01-23 | 本と雑誌

4591118134 ようやく直木賞受賞。今回も逃したら六回連続ノミネートの新記録をつくるところだったからちょっと残念な気もします(笑)。選考委員のなかでは、桐野夏生がどう評価したのか興味あるなあ。林真理子や渡辺淳一はどうでもいいです。

さて、このエッセイ集では、孫引きになるけどあまりに出来のいいアメリカン・ジョークが紹介されているので……

-ある大学の図書館建設に巨額の寄付をした人物が記念講演を行った。その人は学生たちの前で、いかにして自分が巨万の富を築き上げたかを語る。彼は17才のときに道端でリンゴを一個拾った。そのリンゴを綺麗に磨き上げて売り、その金で二個のリンゴを買った。それをまた綺麗に磨いて売り、四個のリンゴを手に入れた。二週間後にはリンゴを入れる籠も買うことができ、さらに半年後にはリンゴを運ぶための車も持つことができた。「そしてこの時です」と彼はつづける。「わたしの祖父が突然この世を去りました。数億ドルの遺産がわたしに転がりこんできたのです」

……ちぇ。こんな面白いジョークをあの道尾経由で知ることになろうとは(笑)

剛爺コーナーの逢坂剛は「困ったヤツだ」と思うだろうけれど、“ミステリ的要素”で作品を評価されることへの道尾の異議申し立ても理解できる。小説には、よくできた小説とそれ以外があるだけではないかと。

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わたしの2010年PART8~予告編っす。

2011-01-22 | 読者レス特集

16327750 PART7「イベント小屋」はこちら

マイベストの最終回はBOOK篇。

1.「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子

2.「弥勒の月」あさのあつこ

3.「WILL」本多孝好

4.「ドーン」平野啓一郎

5.「人生画力対決」西原理恵子

こんなとこかな。あ、伊坂幸太郎の「マリアビートル」がはみだしてしまった。まあいいか、あんなに売れたんだから。

「この1冊」を名のりながら読書系はブログにまかせることが多くってすみません。サイバラもふくめて、魅力的な主人公がそろった感じ。わりと気に入ったラインナップです。あさのあつこの時代ものがこんなにいいとは意表をつかれたなあ。

イベント関係では、冬の山形でずーっと立ち続けたり、酒田の町をカモシカが全力疾走したり、得がたい経験をさせていただいた。

メルマガがらみでいえば、なんといっても十年ぶりにパソコンを更新したのがでかいっす。派生してiPodも買ったし、落語に耽溺する生活も開始。いずれも、まもなく特集しますのでお楽しみに。2011年も「事務職員へのこの1冊」は……

「50才のハローワーク」では銀行員を(まもなく51才のハローワークになるけど)。

ブログには載せられない「部報海賊版」は“実績簿”関係。

「ラジオと二人」では山下達郎やピストン西沢を特集。

実はいちばん読まれている「明細書を見ろ!」では定年延長問題。

そして“わからない”シリーズ最新作「『ゼロの焦点』がわからない」

……などなど、続々と登場します。今年もどうかごひいきに

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わたしの2010年PART7~イベント小屋

2011-01-21 | 読者レス特集

Avatarimg01 PART6「きねしゅん」はこちら

さあ今回は作品の評価よりもわたしの好きな興行成績の結果発表。

第1位 「アバター」(FOX)155.9億円

第2位 「アリス・イン・ワンダーランド」(ディズニー)118.0億円

第3位 「トイ・ストーリー3」(ディズニー)108.0億円

第4位 「借りぐらしのアリエッティ」(東宝)92.5億円

第5位 「The Last Message海猿」(東宝)80.2億円

第6位 「踊る大捜査線THE MOVIE3」(東宝)73.1億円

第7位 「カールじいさんの空飛ぶ家」(ディズニー)50.0億円

第8位 「ONE PIECE FILM Strong World」(東映)48.0億円

第9位 「バイオハザードIV アフターライフ」(ソニー)47.0億円

第10位 「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」(東宝)41.6億円

……前号のキネ旬ベストテンとみごとに一本もかぶってません。まあ、それでもわたしの好きな「トイ・ストーリー3」と「カールじいさん」のピクサーコンビがいるので満足。それにしても、トイ・ストーリーがベストテンに入らないってのは納得できないなあ。

 2010年の興行の特徴は子どもでも指摘できる。3Dだ。トップテンのうち6本が3D。もちろん、300円ほど入場料が高かったりする影響はあるだろう。でも、久しぶりに映画館が“見せ物小屋”と化したイベント性も大きかったはず。おかげで、本気で興行を続けるつもりかと疑問に思っていたイオンシネマ三川まで3D対応。1スクリーンだけってのが泣けるけれど。

 かくして、大枚をはたいて3Dで勝負をかけたジェームズ・キャメロンの大バクチが成功したわけだ。わたしはリスクが大きすぎると思っていたけど、なんともすごいギャンブラーなり。

 問題は、3Dが“普通のこと”になった今年がどうなるかだろうか。夏は「パイレーツ・オブ・カリビアン」とハリポタの新作があるので、大崩れはしないだろうが……

次回は最終回「予告編ざんす」

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