事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言 2015年10月号~傷つける言葉

2015-10-31 | 芸能ネタ

2015年9月号PART2「西日暮里壁新聞アゲイン」はこちら

「期待は裏切るな、予想は超えろ」

ほぼ日刊イトイ新聞の人気企画「連ドラチェック」は、スタッフのあやや、イラストレーターの荒井清和、そして脚本家の森下佳子がそのシーズンの連ドラを語り明かすというもの。

わたしはもうテレビっ子ではないので、ドラマをワンクール見るという習慣は失っているのに、この企画だけは毎回楽しみにしている。

その、座談のなかで出てきた森下のことば。柴咲コウの「○○妻」のエンディングがきつかったという話の流れで。このドラマを書いたのは森下の師匠筋にあたる遊川和彦なので、援護する形になっている。

森下の次の仕事は大河ドラマ。「瑠璃の島」「ごちそうさん」「天皇の料理番」とキャリアを積み重ねてきた彼女にとっては遅いくらいの登板だ。

まあ、低迷していた大河なのに、そのすぐあとに始まる「JIN –仁-」(TBS)で大ヒットをとばされたNHKとしては、そうやすやすとオファーはできなかったというところだろうか。題材は「おんな城主 直虎」主演はその柴咲コウ……ちょっと不安も(笑)。予想を超えてほしいなあ。

「他人を傷つけることばを平気で吐く人がいます。そして、当人はたいていそのことに無自覚……と書くと、みんな、その通りと思うでしょう。どうしてそんなことができるのか、って。実は、ほとんどの人がそうやって、他人を傷つけています。わたしだって、例外じゃありません。自分のことばが、どんなふうに受けとられ、他人を傷つけているのか、気づかない。誰もが他人を傷つける。ただ、そのことを知っているか、知らないか、の違いがあるだけです。」

毎日新聞の人生相談に寄せられた「母の言葉に傷ついている」という五十代の女性への高橋源一郎の回答。まさしく、まさしくと納得。わたしも多くの人を傷つけて生きています。そしてあなたも。

2015年11月号「主計局のルール」につづく

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「バクマン。」 (2015 東宝)

2015-10-29 | 邦画

リズム、リズム、リズム。大根仁の演出はこれにつきる。間(ま)の曲芸というか。

近作「湯けむりスナイパー」「モテキ」「まほろ駅前番外地」「リバースエッジ」に顕著だったのは、登場人物たちの語りと語りの呼吸が絶妙だということだ。ロックのPVを数多く撮っていることもあるだろうし、近ごろめずらしく脚本と監督を兼ねていることも影響しているだろう。この作品でも大根演出は絶好調だ。

“部活も勉強もしてこなかった”ふつうの(でもないのだが)高校生ふたりが、原作と作画をそれぞれ担当して少年ジャンプで連載を開始し、アンケートで1位をゲットできるか……これをジャンプの不滅の(でもいまでは誰も信じていない)スローガン「友情・努力・勝利」をベースに描く。

原作は大場つぐみと小畑健のDeath Noteコンビ。家庭や世間に関わり合うことなく、その道のことだけ始終考え、行動するという日本のスポ根漫画の王道を、マンガそのものの世界で描いている。

主役の佐藤健神木隆之介が激しく魅力的。それに染谷将太が天才漫画少年として(「ラジャーですぅ」に笑った)、桐谷(ちびT)健太、新井(松ヶ根乱射事件)浩文、皆川(あまちゃん)猿時が新進漫画家としてからむ。面白くならないわけがない。みんなで飲みながらトキワ荘の故事にならったり、スラムダンクのやり取りを応用する場面はおかしかったなあ。

編集長リリー・フランキー、編集者山田孝之が、ジャンプのアンケート至上主義を体現。連載を決定する編集会議はリアル。

否定はされているけれども、ジャンプが数多の漫画家を使い捨てにしてきたことは確かだし、わたしはどちらかというと少年マガジン派だったので、リアルタイムでジャンプの盛衰を感じてはいない。あそこに行けばジャンプが土曜日に買える!的な盛り上がりとも無縁。

でも、マンガが自己実現の手法として確立することに(新人をひたすら発掘することで)ジャンプが貢献したことは疑いない。死屍累々たる青年たちの犠牲の上に成り立っていることも含めて、やはり漫画はすばらしいと思わせてくれる傑作。サカナクションの音楽も最高だ。ぜひ。

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「道徳の時間」 呉勝浩著 講談社

2015-10-28 | ミステリ

今年度江戸川乱歩賞受賞作。選考委員会は大荒れだったらしい。有栖川有栖石田衣良、辻村深月がこの作品を推し、逆に池井戸潤と今野敏はボロクソ。

かえって読んでみたくなる。わたしがY町の図書館で借り、そのままS市の図書館に行ったら、同僚がちょうどこの本を借りているところだった。

「予約してたんだ。いつもはあまりミステリは読まないんだけど」

確かに、タイトルはわたしたちの業界にはおなじみで興味がそそられるもんね。

ある事件のために休業状態にあるビデオジャーナリスト。彼が住む町で連続いたずら事件が起こる。現場には

『生物の時間を始めます』

『体育の時間を始めます』

といったメッセージが残されていた。そして地元で影響力を持つ名家出身の陶芸家が死んでいるのが発見される。状況はどうみても自殺。しかしそこには

『道徳の時間を始めます』

というメッセージがあった。殺人なのか?ほかの事件との関係は?

……設定はすばらしいですよね。特に、かつて小学校の講堂で、約300名の衆人環視のなか、ある青年が講師である教育者を刺殺した事件が影響してくるあたり、うまい。

ただし、やっぱりわたしもこのミステリには文句がある。

・主人公のビデオジャーナリストが情緒不安定すぎてついていけない

・背景には、ある動機がひそんでいるが、これはいくらなんでも……

そして

・道徳の時間、という魅力的なタイトルと事件が、あまり関連していない

というのがちょっとなあ……。大好きな有栖川さん、そのあたり、どうなんでしょう?

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長岡に行ってまいりましてよPART2

2015-10-27 | 旅行記

PART1はこちら

長岡は偉人の町でもある。まずは山本五十六でしょ。

で、生家が保存してあって、奥の部屋に行ってびっくり。わたし以上にアタマの大きい人がいてよかったー。

長岡駅のなかには、良寛さんの銅像も。ほー。

河井継之助の記念館があったんだけど時間が合わずに断念。彼の銅像は見当たらなかった。まあ、長岡市民は彼にアンビバレントな思いを抱いているようだが。偉人度が高い町長岡、おそるべし。

 

 

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長岡に行ってまいりましてよPART1

2015-10-26 | 旅行記

ひじょーによんどころのない事情があって長岡に行ってまいりました。電車で行くつもりだったけれどもハンドルを握ったら高速に乗ってた。

長岡はどういうところだったかと食べ物でチェック。



うおお。



おおお。


とどめは青島食堂での青島ラーメン。
いいところです長岡。

PART2につづく

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「ビブリア古書堂の事件手帖5 栞子さんと繋がりの時」 三上延著 メディアワークス文庫

2015-10-25 | アニメ・コミック・ゲーム

シリーズのなかで今回がわたしにとっていちばん面白かったかも。なにしろネタが手塚治虫、特に「ブラックジャック」ですから。

「新宝島」や「火の鳥」などで神様になった手塚は、しかし虫プロの経営破綻などで70年代には過去の人あつかいだったのは、わたしもリアルタイムで感じていた。ブラックジャックも連載当初は少年チャンピオンの巻頭をかざることはめったになかった。

そんなブラックジャックのコミックスに、このミステリのキモになるような秘密があったとは知らなかった。なるほど、古書店を舞台にする必然性がちゃんとある。「おっぱいメガネ」と親友に吐き捨てられる(笑)栞子さんの凄みも伝わる。

ところで、手塚治虫の古書ネタといえば、出久根達郎の「作家の値段 新宝島の夢」はたいそう面白かったですよ。そちらもぜひ。

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「のはなしし」 伊集院光著 宝島社

2015-10-24 | 芸能ネタ

伊集院光がいると、番組プロデューサーは安心だろう。彼の存在によって、常に最低限の面白さは確保できるし、他の出演者の無体なふるまいも、きちんと受け止め、そのうえで柔らかくお笑いでくるんでくれるのだから。

でも彼自身のことは(わたしがAMラジオのよい聞き手ではなくなっているために)よく知らないでいた。だからこのエッセイにはびっくり。荒れた少年時代、不登校、落語家修行、ラジオのパーソナリティ……そうか“いつもいるだけで面白い人”にもこんな怒涛の人生があったわけだ。あたりまえだけど。

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「リバースエッジ 大川端探偵社」(テレビ東京)

2015-10-23 | テレビ番組

 

テレビ東京の「ドラマ24」といえば、「勇者ヨシヒコ」「モテキ」「まほろ駅前番外地」などの傑作を連発した枠。そこで「湯けむりスナイパー」以来、久しぶりに漫画原作ひじかた憂峰(狩撫麻礼のことです)と演出大根仁(おおねひとし)がタッグを組み、主演がオダギリジョーだってんだから見逃す手はない。あれ?でもディスカスではあまりレンタル希望がないみたい。ちょっと不安。

いやはやすばらしいドラマでした。

EGO-WRAPPINのオープニングからして快調。どんな依頼人がくるか、予知夢で知ってしまう私立探偵(オダギリ)、謎の所長に石橋蓮司、いけいけボディで能天気な受付嬢メグミ(小泉麻耶)の三人だけの探偵社に、毎回いわくありげな依頼が飛び込んでくる。

たとえば「ある結婚」というエピソードはこんな感じだ。

もう若くはないデリヘル嬢。チェンジがくりかえされる日々。しかし一流会社につとめるサラリーマンは彼女を常に指名する。彼のリクエストはセックスではなく、普通の日常を共に過ごすことだった。彼からプロポーズをうけたデリヘル嬢は、大川端探偵社を訪れ、その理由をさぐってほしいと依頼する。

このオチはなかなかに泣かせます。ひねりすぎていないところがいい。

他にも「夏の雪女」(これもラストがすばらしい)、「もらい乳」など、大人だから泣ける話がてんこ盛りだ。

東京の東側、浅草近くの隅田川沿いという設定が、人情噺に効いてくる。

オダギリジョーは、久しぶりに完璧な色男を演じているし、大根演出も渋い色調で突っ走っている。大根監督作品をもっと見たいなあ……え、「バクマン」の監督って大根だったの!?映画館に急がなくっちゃ!

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お仕事小説その5 「恋する空港 あぽやん2」

2015-10-22 | 社会・経済

その4「あぽやん」はこちら

主人公のあぽやん遠藤は、上司に反抗して成田に飛ばされた熱血漢。つまりは日本人がこよなく愛する「坊っちゃん」気質の持ち主だ。くさっていた彼は、職場の先輩や客たちとの交流のなかで、成田勤務のやりがいを見出していく。

続篇の「恋する空港 あぽやん2」「あぽわずらい あぽやん3」と一気に読み通して、わたしもこの主人公、遠藤のことが好きになった。どうしたってそうなる。

ただし、作者の新野剛志は、客への徹底したサービスにまい進する遠藤を相対化するために、コストダウンが必要だと主張するキャラも登場させている。そんなことだから日本航空は破綻してしまったのではないかと。お仕事小説として、読み応えのある部分です。

この業界の裏もオモテも描き切ったこの作品は、あぽやんだった過去を持つ新野しか書けなかっただろう。第三作にいたって遠藤は、同僚を守りたいという気持ちと、コスト削減のために、仕事と契約社員をカットする役目とのはざまで思い悩み、空港に行くことができなくなる。

鬱病と、そこからの回復過程のリアルさ(ここは泣かせる)もまた、新野自身の経験のようだ。彼はあぽやんをつづけながらも、突然退社し、あろうことかそのまま失踪した過去をもっている。そしてホームレスの生活をつづけながら書き上げたのが江戸川乱歩賞受賞作「八月のマルクス」だったとか。うわあ気合い入ってるなあ。

さて、空港が舞台とくればテレビドラマにうってつけではないかと思ったら、もうオンエアされていた(TBS木曜9時。日本航空全面協賛)。ドラマにうといにもほどがありますね。

主役の遠藤に伊藤淳史、前の恋人に貫地谷しほり、新しい恋人に桐谷美玲、か。悪くないけれど、ちょっと違うかなあ。

というのも、この小説には一貫して苦みのようなテイストがあって、その部分こそが読みどころだからだ。まあ、見ていないのでどんなドラマだったかはわからないのだけれど。

読み終えて、はたして遠藤はいまどうしているだろうと気にかかる。日本人の誰もが、漱石「坊っちゃん」のその後が気になるように。

その6「東京ブラックアウト」につづく



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お仕事小説その4「あぽやん」 新野剛志著 文春文庫

2015-10-21 | 社会・経済

その3「原発ホワイトアウト」はこちら

某JALじゃない航空会社に勤務していた女性を妻にしていながら、わたしは飛行機が苦手。これから飛び立とうというときに飛び交う業務連絡が苦手だ。

「×××はアームド」

おいおい何がarmed(武装した)なの?これから何が始まるの!と動揺する(実際にはドアモードのこと)。

それよりなによりわたしは空港が苦手だ。特に国際空港のルールがさっぱりわからない。いつかきっと大きな失敗をしてしまうであろう予感が、わたしを海外旅行から遠ざけています。

そんな客はきっと多いのだと思う。この「あぽやん」の主人公は、旅行会社(モデルは歴然とJALパック)の社員で、成田空港で旅客の見送り業務にたずさわっている。なぜ「あぽ」かというと、この業界はなんでもスリーレターであらわすのが通例でエアポートが「APO」なので、空港勤務者をそう呼んでいる。

他にもアームド以上の隠語がさく裂しているので紹介しよう。

PPT……パスポート。これはまだわかりやすい。

ATB……エア・ターンバック。飛行機が空中で引き返すこと。わたしのような元ゲーム好きからすると、アクティブ・タイム・バトルなのだが。

GTB……ということでこれはプリンススカイラインではなくてグラウンド・ターンバック。地上で引き返すこと。
他にもわけのわからないフレーズが満載だ。ディレイやエプロンは一般化しているが、

go show」(予約なしに空港に来て乗ろうとすること。旅行会社の天敵)

may return」飛び立った空港に引き返すかもしれない状態。

ああやっぱり空港はわけがわからない。

華やかに見える成田空港勤務なのに、あぽやんは一種の差別語で、他のセクションから文字通り「飛ばされた」人間の吹き溜まりということになっている。しかし……以下次号

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