村の掟
7、8年前のこと、鹿児島在の友人NHと、体験ダイビングをする予定で渡嘉敷島へ行った。あいにく天気が悪く、ダイビングは中止となった。
中止となって、他にやることと言えば私は決まっている、野山の散歩だ。朝食を取ってから12時の帰りの船便までの間、NHを民宿に残し、私は一人散歩に出た。
小雨の中、傘をさして山へ向かった。その途中の舗装道路の上に一匹のヘビを発見。まだら模様ではあったが、ハブでは無さそう。座間味島にハブはいないが、渡嘉敷島にはいると聞いている。だが、ハブの頭は三角形だが、路上のヘビはそうで はない。ハブではないし、動かないので死んでいるみたいだし、怖くはない。近づいて写真を撮る。
帰って、民宿の人にその写真を見せると、「それはアカマタでしょう」と言う。「車に踏まれたのでしょう」と言う。「道路上に長いものがくねくねしていたら、それが何であれ車で踏み潰す」というのが村の掟となっているとのこと。アカマタは無害であるのに、ヘビに生まれたばっかりに何とも災難なこったと私は思った。南無阿弥陀仏。
アカマタ
ヘビ(ナミヘビ)科の爬虫類 方言名:アカマター
奄美諸島と沖縄諸島の固有種で、沖縄での呼び名アカマターがそのまま和名になったものと思われる。アカマターの意味は資料が無く不明。全体的に赤っぽく見えるのでアカは赤と思われるが、マターとは何のことか?・・・股か?又か?・・・私には推理不能。奄美諸島での呼び名はマッタブとのこと。これはマッタク解らない。
全長80~180センチにも達する大型のヘビ。性質は荒く、食性は魚、鼠、鳥、トカゲ、蛇・蛙などと幅広い。赤褐色のまだら模様に黒い斑点があり、見た目はいかにも毒々しいのだが無毒。平地、山地の森林、畑地などいろんな所に生息する。
那覇のような都市ではもう見られないかもしれないが、古くから身近なヘビだったようで、美男に化けて娘を犯したなんていう「アカマタ伝説」もある。夜間活動性。
アカマタの頭
ハブはエラが張っていて頭が三角形になるが、アカマタの頭は丸っこい。
アカマタ15_1
2015年12月に発見。生きているのを見るのは初体験。「性質は荒く」と文献にあった通り、しきりに私を威嚇していた。
アカマタ15_2
冬眠中を起こして、巣から追い出して長さを見る。体を伸ばすと80センチはあった。
2010年9月 訂正加筆
2015年12月 写真追加
記:ガジ丸 2004.11.12 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行