ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ミナミアオカメムシ

2014年08月22日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 米は食うけどキビは?

 私の畑ナッピバルの北隣はウージ(さとうきび)畑である。広さはナッピバルより小さい。目測で200坪ほど。持ち主は複数人いる。代表者らしき人はSさん、私がナッピバルを始めた頃から挨拶を交わし、時々ユンタク(おしゃべり)もしている。
 「代わる代わる何人も来るけど、何の仲間ですか」とある日訊いた。
 「模合シンカだ、みんな仕事持っているので、それぞれが休みの日に来ている」とのことであった。ちなみに、模合はモアイと読み、相互扶助的私的金融組合のようなもの、寄合(ユーレー)とも言う。シンカはたぶん、漢字で臣下と表記されると思うが、王様とか親分みたいな者がいて、その家来という意味では無く、単に仲間という意味。

  ウージはあまり手間のかからない作物のようで、Sさんとその仲間達はそれぞれ平均して月に1度か2度やってくるだけだ。耕して、畝立てして、キビを挿して、除草して、肥料を混ぜながら土を被せ、何度か農薬を撒く。農薬は農協から指定されたものを決められた時期に決められた量を使い、必ず使わなければならないらしい。
 「必ず農薬を撒かなければならないんですか?」
 「言う通りにしないと収穫した際に買い取ってくれない可能性がある」とのこと。

 私の畑にもウージが数本ある。自家用だ、自家で何するかというと、いつかウージの汁で酒を作ってみようと思っている。よって、数本でも害虫に食害されて枯らされたら困るのだが、今のところ私のウージに虫害の痕跡は見当たらない。なので、ウージの害虫がどういうものかもまだ調べていない。ミナミアオカメムシはイネの害虫らしい。同じイネ科であるウージも食害するかどうかは不明。なるべく、敵で無いことを祈る。私の畑は農薬を撒かないので、敵はできるだけ少ない方が良い。

 
 ミナミアオカメムシ(南青亀虫):半翅目の昆虫
 カメムシ科 本州~南西諸島、台湾、東南アジア、他に分布 方言名:フー
 名前の由来、資料は無いがだいたいの想像はつく。ミナミ(南)は日本では南の方に多く見られるから、アオ(青)は体が緑色をしているから。カメムシは広辞苑にあり、亀虫と漢字表記され「頭部の突き出た形がカメに似ていることから」。
 「日本では南の方に多く」と書いたが、分布は広く、本州~南西諸島、台湾、中国、東南アジア、オーストラリア、アフリカ、南ヨーロッパ、南北アメリカとのこと。
 「体が緑色をしているから」と書いたが、体色や斑紋によって緑色型、黄帯型、無紋黄色型、緑紋型の4つに分けられるとのこと。最も普通に見られるのは緑色型で、私の写真もそれ。ちなみに、青を広辞苑で引くと、その第二義に「緑色」とある。
 体長は13~16ミリ。成虫の出現は3~11月。寄主はマメ科植物、及びイネ科植物で、イネの穂にに寄生して黒変米を起こさせる害虫とのことだが、水田の少ない沖縄ではその被害も少ないらしい。個体数も少ないと思われる。私は今回初めて見た。
 
 ミナミアオカメムシ子虫

 記:2014.8.12 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行