日向の目
「俺は背中にも目があるんだ。」と敵に思わせたいのか、翅に目玉模様のあるチョウがいくつかいる。アオタテハモドキもその一つ。翅表にある。まさに背中。
翅の目玉模様が「俺は背中にも目があるんだ。」と敵に思わせたいのかどうかは、調べていないので不明だが、職場の庭で出会った雌も、末吉公園で出会った雄も、アオタテハモドキは日中の明るいところにいた。明るい場所で、その目玉模様は目立つ。藪の中に多いリュウキュウヒメジャノメが藪の目なら、こちらは日向の目。
アオタテハモドキの雌は既に2005年に写真に収めているが、図鑑で調べた時、タテハモドキという種があって、本種は、雄の後翅に青色の部分があるのでアオと付く、ということを知った。で、以来ずっとその「青色」が気になっていた。
そして、やっと、2008年の11月に末吉公園で出会う。確かに青色が翅の一部にあった。しかし、期待していたほど鮮やかでは無い。「なーんだ、たいしたこと無いじゃねぇーか」と思う。「隣のクラスにすげぇ可愛い子がいる」と友達に言われ、見に行ったらそれほどでもなくてガッカリした感じ。いやいや、アオタテハモドキの雄に出会えて、私はガッカリはしていない。「いい奴だぜ」と噂の男にやっと会えた気分。
アオタテハモドキ(青立羽擬き):鱗翅目の昆虫
タテハチョウ科 石垣、西表、東南アジア、台湾などに分布 方言名:ハベル
アオタテハというチョウに似ているからアオタテハ擬きという名がついているのかと思って調べたが、アオタテハというチョウはいない。ならば、青いタテハモドキなのかと思って調べたら、タテハモドキというチョウはいた。雄の後翅に青色の部分がある。タテハチョウの仲間なのに何故モドキが付いているかについては、資料が無く、不明。
タテハモドキは沖縄にも分布していて、那覇でも見られるらしいが、私は未発見。図鑑を見る限りでは、本種と似ているとは・・・私には見えない。
沖縄島が分布に入っていない。でも、雌は首里にある職場で、雄は、これも首里にある末吉公園で見た(写真はヤンバル産と大東島産)。『沖縄昆虫野外観察図鑑』には「八重山諸島から飛来し繁殖したものと思われる固体がしばしば観察される」とあった。職場の庭や末吉公園にたまたまやってきて、私の目の前にたまたま止まってくれたようだ。
前翅長24~27ミリ内外。成虫の出現は夏。幼虫の食草はイワダレソウなど。
以上を書いてから早や10年近くが過ぎて、ふとしたことから間違いに気づいた。この1月(2019年)、あちこち散歩する機会が増え、その時にたくさんのチョウ類に出会い、「冬にも出現する蝶って、こんなに多くいたっけ?」と確認したら、この記事の中の間違いに気づいた。「成虫の出現は夏」とあるのが間違い。私が見ている限りでは年中出現している。さらに、もう既に沖縄島は分布域に入っている。毎年何度もお目にかかっている。
加筆:2019.1.24
雌1
雌2
雄1
雄2
記:ガジ丸 2009.4.6 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行