ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アフリカマイマイ

2011年05月06日 | 動物:魚貝類

 不味い貝

 伯母の葬儀は、先祖代々の墓へ納骨して、家へ帰り、その仏壇へ戒名の札を納め、一通りの儀式は終わった。夜8時を過ぎると近い親戚(私の父母など)もみな帰り、後はこの家に住んでいる従姉と、東京からきている彼女の妹(私の従妹)とその娘、そして私の4人が残った。「葬儀するのも大変だねぇ」という話をしつつ、伯母の思い出話などもしつつ、ちょっとしんみりした時間を過ごす。
 「明日は部屋の掃除して、洗濯して、畑仕事もして、夕方からは約束もあるし、葬儀が今日で片付いて良かったよ。」と私が言う。私も前日の金曜日からこの日にかけて朝から晩まで動いていたのだ。すると、従姉が思い出したように、
 「あっ、忘れていた。あんた、明日朝、お墓に行ってくれない。納骨の翌日には男の人が墓参りをしなくちゃいけないんだって、そういうしきたりなんだって。」
 というわけで、日曜日の朝、中城村にある墓へ行った。花、茶、菓子、酒、水を供え、線香を立て、祈る。その線香が大方燃え尽きるまではその 場にいなくてはならない。その時、通り雨が降った。数分間であったが、スコールのような土砂降り。隠れる場所があったので濡れることは無かったが、足元に雨を喜ぶ動物がうじゃうじゃと出てきた。

 アフリカマイマイは沖縄の人間にとって見慣れた動物である。見慣れてはいるが、いつ見ても気味悪い。一緒にいた叔父(母の弟、沖縄のしきたりに詳しい)に、
 「昔は食べたんだよね。叔父さんも食べた?」と訊くと、
 「何度か食べたが、アクが強くてね。アク抜きしても肉は固いし、味も不味い。病原菌を持っていてね。生で食べて死んだ奴もいるよ。」とのことであった。見た目からして、私には食い物に見えない。死んだ奴がいても不思議は無いと思ったのであった。

 
 アフリカマイマイ(阿弗利加蝸牛):巻貝
 アフリカマイマイ科の巻貝 東アフリカ原産 方言名:ショクヨウチンナン
 アフリカ原産のカタツムリなのでアフリカマイマイという名前。広辞苑によるとマイマイはマイマイツブリ(舞舞螺)の略で、カタツムリの別称とのこと。
 沖縄へは食用として1930年代にジャワや台湾から導入されたとのこと。見た目が気味悪いので私は食べる気がしない。その肉は固くて不味いらしく、病原菌も持っているとのことで、今では一般的にも食用とはされていない。
 繁殖力が旺盛で、沖縄の各地ではいたるところでその姿が見られる。南西諸島、小笠原などでは農作物に被害を与える動物となっている。
 殻長は10~18センチとなる世界最大のカタツムリ。これが安全な食物であれば食糧難の国で重宝するに違いない。美味しい食物であればそうでない国でも「小さなエスカルゴ食うよりもずっと増しだぜ!」となるに違いない。
 オカヤドカリの借りる宿に大きさがちょうど良いみたいで、死んで残った殻はオカヤドカリが利用する。近くであれば吉の浦海岸、そこへ行けばそれを見ることができる。
 なお、白色種と写真を紹介しているが、おそらく別種ではなくアルビノと思われる。
 
 去年(2013年)の11月、畑で白色種を発見。
 
 去年(2013年)の4月、雨の後に畑を30分ほど歩きまわってこれだけ収穫した。 

 記:ガジ丸 2006.8.23 →沖縄の動物目次
 訂正加筆:2014.5.22

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『沖縄釣魚図鑑』新垣柴太郎・吉野哲夫著、新星図書出版発行
 『水族館動物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団監修・発行
 『磯の生き物』屋比久壮実著・発行、アクアコーラル企画編集部編集