ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アグーの本物

2012年06月08日 | 沖縄の飲食:食べ物(材料)

 沖縄の伝統豚肉

 先月の第三金曜日(5月18日)、出張で来沖していた鹿児島の友人Nがアグーに会いに行くというので、私が車を出して彼に同行した。Nは仕事絡み(直接では無く、仕事に繋がるかも、といった軽いもの)で、私は単に本物のアグーに会いたい、できれば本物のアグーを食ってみたい、という、彼よりもさらに軽い動機。
 「本物のアグー」と書いたが、「本物の」には訳がある。食べ物の豚肉としてのアグーについては2006年5月にこのガジ丸HPで既に紹介している。要約すると以下、

 私はもう何年も前からアグーを知っており、たまには(高いので、頻繁には買えない)食べてもいる。近くにあるAスーパーではだいぶ前からアグーを置いていた。
 その名前が面白かったので、数年前に私はアグーを調べている。沖縄に古くから食用として飼われており、成豚の体重は100キログラム内外と、食用豚にしてはそう大きくは無い。全身黒色の毛で覆われており、いわゆる黒豚といわれるものであるが、素肌は肌色である。鼻先が尖っていて、イノシシに似た強そうな顔をしている。
 アグーが、普通の豚とどの程度味が違うのか、明確には言えないが、まあ、美味しいのだと思う。値段が高いから美味しいと感じるのかもしれないが・・・。

 その高いアグー肉が実は本物では無かったのだ。いや、「本物では無い」という言い方には語弊がある。スーパーに出回っているアグー肉のほとんどはアグーと別種の豚とのハーフなのである。そのハーフの事をアグーとして商標登録しているので名称的には、あるいは法律的にはそれがアグーの本物なのである。しかし、

 友人Nとアグーを求めて具志川のアグー養豚場、今帰仁のアグー養豚場、などを訪ねた後、アグー養豚農家であったD氏と会い、氏からアグーの話を聞いた。
 沖縄県農業協同組合がハーフのアグーをアグー(あぐー)として商標登録し、使用料を払わなければ、D氏のようにアグーとアグーを掛け合わせた正真正銘本物のアグーであってもアグー(あぐー)という名前を使うことができないようにしたらしい。
  本物アグーは出荷できるほどに成長するまでの期間が長く、成長しても100キロ程度と肉量も少なく、また、出産数も少ないので、養豚農家としては経済的メリットが無い。舶来の白豚の方がはるかに儲かる。ただでさえ不経済なアグーであるのにその上商標使用料を支払えなんて、まったくJA沖縄も欲が深い。純粋アグーを育ててきたD氏もこれでは生活が成り立たなくなって、去年の11月には養豚を廃業したとのこと。

 沖縄の食肉文化である豚、その中でも沖縄で古くから飼われ食されてきたアグー、その血を絶やさないよう努力してきたD氏、彼の努力と苦労に感心し、同情はしたが、しかし私の興味は別の所にあった。「アグーってそんなに美味しいの?」だ。
  D氏よると、「そりゃあもう、美味しいです」とのこと。「特に脂身が美味しいです。網焼きするよりフライパンでソテーした方が抜ける脂が少なくて美味しいです。フライパンに残った脂でチャンプルーなど作ると、それもまた美味しいです。」とのこと。
  
 D氏にアグーの本物(100%)肉を置いてある店を教えて貰い、家に帰る途中にその店に寄って、ソテー用のバラ肉を1パック(4切れ)買い、近所の飲み屋に行き、女将さんにソテーして貰い、友人Nと2切れずつ食った。その感想は、
  「脂身が美味しんだったらあまり焼き過ぎない方がいいね」と女将さんは、火がやっと通った程度、焼き色がほとんど着かない程度にソテーしてくれた。Nは美味しいと言っていたが、普段、獣肉の脂をあまり食べない私にはやはり、脂のほとんど残っている脂身は少々きつかった。したがって、アグーの本物が普通の豚(白豚)肉に比べて美味しいのかどうか判断がつかなかった。いやしかし、今考えてみると、普通の豚の脂身をあれだけ食べればもっときついと感じたはず。それを思えば、アグーの脂身はサッパリしていると言える。となれば、アグーの本物は普通のより美味しいと判断しても良い。
 
 
 アグー(あぐー):ウシ目の家畜
 イノシシ科の哺乳類 中国渡来なのか在来なのか不詳 方言名:アグー
 ウシ目(偶蹄類)イノシシ科の哺乳類 方言名:アグー
 沖縄のブランド豚として有名なアグーだが、1980年頃には絶滅の危機にあったとのこと。そこから有志の方々が戻し交配などの努力をして、限り無く本来のアグーに近いアグーの生産に成功し、現在では他の大型、多産系品種との交配種も含め、全県で数百頭にまで回復しているらしい。交配種も「アグー」と呼んでいる。
 アグー同士の交配による純血アグーの肉を生産する農家を二ヶ所訪ねたが、その二ヶ所の豚舎で私が見た限りでは、純血アグーは数十頭ほどである。
 一般に販売されている豚肉に比べ、ビタミンなどの栄養が豊富で、旨味成分のグルタミン酸が多く含まれているとのこと。肉質は柔らかく臭みも少ないとのこと。

 記:2012.6.12 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行

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