ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オオモンシロナガカメムシ

2017年09月29日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 地表でよく見る

 私の畑にカメムシの類はたくさんいる。例えば、フウセンカズラに群れるアカヘリカメムシ。ダイコン、キャベツ、カラシナなどに着くヒメナガメ。イネ科植物に着くホソハリカメムシ。ナス科の植物に群れるホオズキカメムシ。樹木の葉上でよく見るナナホシキンカメムシ。エダマメに群れるホソヘリカメムシ。サクナに群れるアカスジカメムシ。畑小屋周辺をウロチョロするビロウドサシガメなど、年に数度はお目にかかっている。
 上記のように季節によって、あるいは育てている作物によって見られる種類は異なるものが多いが、季節によらず、作物によらずよく見るカメムシもいる。

 オオモンシロナガカメムシはたいてい地表を歩き回っていて、畑でよく見かけるカメムシの1種。よく見かけて1度写真を撮って、それで済ませていたが、何度か見た内のその半分くらいは別種のオオシロヘリナガカメムシだったかもしれない。両者良く似ているらしいので、私には別種と気付かなかったのかもしれない。
 じつは、『沖縄昆虫野外観察図鑑』にはオオシロヘリナガカメムシが紹介されていて、最初は、私が撮った写真のものはオオシロヘリナガカメムシと思っていたが、オオシロヘリナガカメムシの説明文の中で、オオモンシロナガカメムシが良く似た近似種として紹介されており、私の写真のものがどちらなのか迷っていた。で、新たに西原町立図書館にあった『日本原色カメムシ図鑑』を参考文献に加え、調べてみた。
 同図鑑に「(オオシロヘリナガカメムシ)は前胸背側縁の隆起条が幅広く黄白色を呈す・・・オオモンシロナガカメムシにはそれがない」とあった。私の写真のものをマジマジと観察した結果、それはオオモンシロナガカメムシであろうと判断した。
 
 オオモンシロナガカメムシ(大紋白長亀虫):半翅目の昆虫
 ナガカメムシ科 本州~九州、沖縄島に分布 方言名:フー(カメムシの総称)
 名前の由来は資料が無く不明。カメムシは広辞苑にあり、椿象、または亀虫の漢字が充てられている。椿象は不明だが、亀虫はその形を亀に喩えたのだと思われる。ナガはナガカメムシ科という一群があり、体が細長いことからきていると思われる。
 オオモンシロに大紋白という字を充てたのは私の想像。今回から新たに参考文献に加えた『日本原色カメムシ図鑑』に「翅は・・・先端近くに不規則な白色の大きい紋がある」とあり、「大きい紋が白い」ことから大紋白ではないかと思われる。
 常時参考にしている『沖縄昆虫野外観察図鑑』には、オオシロヘリナガカメムシが紹介されていて、本種オオモンシロナガカメムシはその中で近似種として補足的に記載されているだけ。『日本原色カメムシ図鑑』には両者の違いが書かれており「(オオシロヘリナガカメムシ)は前胸背側縁の隆起条が幅広く黄白色を呈す・・・オオモンシロナガカメムシにはそれがない」とのこと。両図鑑の写真を見ると、両者は良く似ているが、オオシロヘリナガカメムシにはシロヘリがあり、オオモンシロナガカメムシにはそれがない。
 体長10~12ミリ。大型のナガカメムシとあったが、確かに、図鑑で他のナガカメムシを見ると、その大きさは4~8ミリのものが多い。分布は『日本原色カメムシ図鑑』に詳しくあり、本州、四国、九州、対馬、南西諸島、小笠原諸島とのこと。

 記:2017.9.16 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『日本原色カメムシ図鑑』友国雅章監修、全国農村教育協会発行