ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

フタホシハゴロモ

2017年09月08日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 見た目に似ず

 沖縄の基幹作物であるウージ(サトウキビ)、農家として認められていてウージを生産すれば、それを製糖工場が必ず買ってくれるらしい。作れば必ず金になるから基幹と言っていいわけである。作れば必ず金になるウージ、私の畑にも少しある。しかし、私のウージは換金作物では無い。私が農夫として認められていないからということもあるけれど、私が売ろうと思ってウージを育てているわけでは無いという理由が大きい。
 私のウージは、砂糖も自家生産してやろうと言う魂胆で育てている。実際には砂糖ではなく液糖であるが、大地と太陽と雨が育てた自然100%のウージ液糖、人間の体に良いものがたっぷり含まれているに違いない。糖類はそれだけで良しと私は思っている。

 去年の9月、私の大事な糖類摂取源であるウージにたくさんの蛾らしき虫が着いているのを発見。手で追っ払ってやろうと思ったが、数が多過ぎてそれは断念。取り敢えず写真を撮って、後日、何者かを調べる。特徴ある見た目なのですぐに判明した。虫は蛾では無く、大きく言えばセミやカメムシの仲間で、名前をフタホシハゴロモという。
 ハゴロモ科の仲間は「美しい色彩を呈する」ものが多いらしく、本種も可愛い。ところが本種は、「接触による皮膚炎症を起こさせる」らしい。見た目に似ず危険な虫であるようだ。最初に見た時の「手で追っ払ってやろうと思ったが断念」は正解だった。
 
 フタホシハゴロモ(二星羽衣):半翅目の昆虫
 ハゴロモ科 南西諸島、台湾、ボルネオ、オーストラリア、他に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く正確には不明だが、広辞苑で羽衣を引くと、その第一義はもちろん、あの有名な天女の羽衣「鳥の羽で作った薄く軽い衣。天人がこれを着て自由に空中を飛行するという」のことで、その第三義に「カメムシ目ハゴロモ科の昆虫の総称。・・・体に比して前翅が大きく、美しい色彩を呈するものが多い」とある。「美しい色彩を呈する」ので、あの美しい羽衣に喩えたのであろう。
 フタホシは『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「先端に黒紋を有する」とあり、私の写真でも判るように翅の角、左右に1個ずつ、黒点がある。それが二星であろう。
 分布について、南西諸島と上記したが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』にはもっと詳しく書かれてある。「石垣島、西表島、宮古島、沖縄島、奄美大島」とのこと。
 体長、翅端まで9~10ミリ。寄主はサトウキビなどイネ科植物。成虫の出現時期は5月から11月。私の畑では去年も一昨年も9月で、サトウキビに群れていた。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「人体の首のまわりや胸部などに接触による皮膚炎症を起こさせる」ともあった。触れただけで炎症らしい。気をつけよう。
 
 群れ

 記:2016.9.11 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行