ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

音楽の島

2011年01月06日 | 沖縄03音楽芸能・美術工芸・文学

 琉球文化圏は、大きく奄美諸島、沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島に分けられる。ちなみに、南端の与那国島は八重山諸島に含まれるが、東端の大東諸島はどこにも含まれず、琉球文化圏でもない。大東諸島は人が住み始めて100年ちょっとしかなく、琉球文化の一角を形成するほどの歴史を持っていないことによる。
 そこにどれくらいの音楽があるか、どれだけの人が音楽に関心を持っているか、調査したことは無いので確かなことは言えないが、昔から、八重山は「民謡の宝庫」、あるいは「唄の島」と呼ばれている。しかしながら、奄美も沖縄も宮古も唄は盛んである。昔から盛んで、今も盛んである。毎年、いくつも民謡大会が開かれ、各地域から唄い手が集まってくる。毎年新しい唄が作られ、ミーウタ(新唄)大賞なんて賞もある。

 沖縄民謡は、子供の頃から身近にあった。現在活躍している有名な民謡歌手に先生と呼ばれる人が親戚にいた。父もサンシン(三線)を習い、民謡をよく聴いていた。沖縄はまた、戦後、ジャズも盛んになった。駐留軍のお陰である。私は4、5歳の頃、家の隣にあった米軍人相手のバー(そこのお姉ちゃんたちに可愛がられていた)に入り浸っていたので、当時流行っていたスイングジャズを耳にしている。
  学校の音楽の時間だけでは無く、生活のいたるところに音楽があり、また、波の音や風の音、鳥の声や虫の声なども自然の音楽だとすれば、ウチナーンチュの耳にはいろいろな音楽が常に聞こえている。聴くだけで無く、自ら音楽をやる人も多くいる。模合仲間の8人の内、2人はブラスバンド部で、別の3人はギターが弾けて、その中の2人は今もオジサンバンドをやっている。養老会のメンバーも半数はギターが弾ける。
 ※模合:相互扶助的飲み会  養老会:高校の頃からの飲み会

  先週(6月13日)、いつものように金曜日の職場に出勤し、いつものようにHPのアップをしたが、いつものようには帰らなかった。その日の夜、2階にある喫茶店で小さなコンサートがあり、それを聴いた。
 「コンサートがあるから来てね。」という話は1ヶ月ほど前に聞いた。キーボード伴奏のフルート演奏だと言う。その喫茶店に、カラオケ大会なら分るが、フルートを聴きに来る客がいるのだろうかと疑問を抱いていたが、客は来た。多く。
 手元にちらしが無いので詳しくは言えないが、フルート奏者は音大出、キーボード奏者は元ディア マンテスのメンバーとのこと。二人とも三十歳位の可愛い女性。演奏曲はスタンダードのポップス、現代のポップス、映画音楽、クラッシックまで。
 知っている曲になるとハミングする客も多くいて、沖縄の有名な歌『えんどうの花』などは客に歌詞カードが配られ、みんなで合唱となった。まるで、昔の歌声喫茶みたいになった。みんな楽しそうであった。ウチナーンチュは唄が好きなんだと実感する。
 二人の奏者は上手であった。「俺の唄を聴け!」では無く、「よろしければ聴いてください。」といった謙虚な演奏であった。謙虚ではあったが自らの演奏を楽しんでいた。客も音楽を楽しむという気分に溢れていた。選曲を含め、彼女らの演奏は私の感性の好みでは無く、途中何度か帰ろうかと思ったのだが、場内の空気の柔らかさ、暖かさについつい引き止められてしまった。喫茶店は、音楽の島らしい雰囲気となっていた。
     
     
     

 記:ガジ丸 2008.6.14 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行