しみじみ見つめて1
シジミチョウのシジミは、漢字で書くと蜆であるが、これは我々が普段口にしているあの黒褐色の二枚貝、シジミの方が本家となる。その殻の内面に翅の模様が似ているからシジミチョウという。シジミチョウはシジミチョウ科のチョウの総称。
職場の庭にも何種類か飛んでいるが、あんまり小さいので、私の、30センチ以内の接写ができないバカチョンデジカメでは撮影が難しい。比較的大きなアマミウラナミシジミは楽に撮れたが、10ミリあるかないかのものは難しい。ヤマトシジミは何とか撮ることができたが、そんな小さな翅の模様をしみじみ見つめて区別する。学者は大変だ。
ヤマトシジミ(大和蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 本州以南、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
シジミチョウは種類が多く、『沖縄昆虫野外観察図鑑』にも15種類が載っている。ヤマトシジミと似たような模様をしたものも5、6種あって、判別が面倒であった。
前翅長13ミリ内外。成虫の出現時期は周年。幼虫の食草はカタバミ。
翅裏
翅表
交尾
ハマヤマトシジミ(浜大和蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 関東以南、琉球列島、東南アジア各地に分布 方言名:ハベル
名前の由来についての資料は無いが、海岸近くに生息するのでハマ(浜)とつくものと思われる。ヤマトシジミと同属で、文献にも「よく似ている」とある。
前翅長11ミリ内外。成虫の出現時期はほぼ周年。ちなみに学名は、
ヤマトシジミ Zizeeria maha
ハマヤマトシジミ Zizeeria karsandra
シルビアシジミ Zizina otis
成虫
シルビアシジミ(しるびあ蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 関東以南、琉球列島、東南アジア各地に分布 方言名:ハベル
シルビアという名前には興味をそそられるが、手元の文献にはその由来の記載が無く、不明。発見した人の名前か、その人の恋人の名前かもしれない。
文献にも「ヤマトシジミやハマヤマトシジミに大変よく似ている」とあって、写真を撮ってしみじみ見つめてもなかなか判別が難しい。翅の模様で何となくこれではないかと判断したが、ハマヤマトシジミかもしれない。自信が無いのは、「ヤマトシジミより小型」とあったが、私が見たものはほぼ同じ大きさであったからでもある。
「本土産のものは黒斑がはっきりしており・・・一見別種に見える」とのこと。ヤマトシジミもハマヤマトシジミも本種も「一見別種に見え」たらいいのにと思う。
前翅長11ミリ内外。成虫の出現時期はほぼ周年。幼虫の食草はメドハギなど。
成虫
記:ガジ丸 2005.9.5 →沖縄の動物目次
訂正加筆 2009.3.8
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
『原色昆虫大図鑑』井上寛・岡野磨瑳郎・白木隆他著、株式会社北隆館発行