ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ハシブトガラス

2011年04月08日 | 沖縄の動物:鳥

 見えない天敵

 那覇に住んでいるとカラスを見ない。週一回通っている宜野湾でも見ない。だから、日常の生活でカラスを見ることは、テレビなどを除いて、私の日々の生活には無い。
  那覇では見ないが、慶良間諸島やヤンバルなどに行くとたくさん見る。高校生の頃、初めて慶良間にキャンプに行った時、テントの中で目覚めた朝、「アー、アー」という大きな声があまりにいっぱい聞えるので驚いた。外に出ると、地面にも木の枝にもたくさんのカラスがいた。普段あまり大きな鳥を見たことが無い那覇の人間にとっては、ハトの倍くらいはありそうなその大きさにも驚かされたのであった。
 大学の頃、5年間(留年したので)東京に住んでいた。冬の寒さにはなかなか慣れなかったが、学校にも公園にも道端にも我が物顔にのさばっているカラスの多さには、すぐに慣れた。その頃はカラスがゴミを食い散らかすなんてこともあまり聞かなかったし、人間を襲うなんてニュースは、たぶん、一度も無かったと思う。

 去年の秋、岩手の花巻を歩いている時、「夕焼け小焼けで日が暮れて」の歌のように夕方になるとカラスが目立つようになり、あちこちからカーカーとかアーアー言う声が聞えてきた。数えるほどしかいないのであれば童謡の世界、日本の田舎の景色にもなろうが、しかし、あまりにも数が多すぎる。駅前に着くとカラスの声がさらに煩くなった。見上げると電線の上に何十羽というカラスの群れがいた。既に空は十分に暗かったが、街の灯りに照らされて闇夜のカラスもすぐにそれだと判る。ヒッチコックの『鳥』を思い出す。沖縄では見られない光景、カメラを向け、シャッターを押した。
 カメラからフラッシュの光がカラスたちに飛んだ。カラスたちはけたたましく喚きながら一斉に飛び立った。何十羽がこっちに向かってくるように感じた。鳥肌が立った。この数に襲われたら死ぬかもしれないと思った。慌てて、駅へ逃げたのであった。

 さて、沖縄本島のカラス、何故、那覇にいないのか。東京の街と同じく那覇にはカラスの好きそうな残飯がたくさんある。にもかかわらず、一羽もいない。那覇だけでなく、北隣の浦添市、さらに北の宜野湾市にもいない。いったい、沖縄本島でのカラスの生息南限はどの辺りだろうか。2、3年前に読谷村の前田で、私はカラスを見ている。石川市に勤め先のある友人Nに尋ねたところ、石川市でも10年程前まではほとんど見かけなかったのだが、ここ数年で増えたらしい。ただ、石川市と読谷村の南隣、嘉手納町や具志川市まではまだ南下していないだろうということであった。

 極東最大のアメリカ軍基地、嘉手納飛行場。そこを離発着する航空機は、重要な軍事任務に就いていることも多い。そんなところへカラスの群れが飛んできて、離発着の邪魔をしたり、あるいは事故を起こしたりするとアメリカ軍にとっては大きな痛手となる。そこで、軍は密かに、カラスの嫌がる電波を嘉手納以北に向けて放射しているのである。
 その電波は、いわば、カラスにとっては見えない天敵となっているのだが、さすが丈夫で賢いカラスのことなのだ。その電波にも徐々に体を慣らしつつ、じりじりと南下し続けている。そして、いずれ、嘉手納を突破するに違いない。そうなるとだ、アメリカ軍は嘉手納からの撤退を余儀なくされるであろう。沖縄人が「基地撤去」と何百万回叫んでも撤去しなかった基地が、カラスの南下によって撤去となるのである。めでたしめでたし。
 カラスの見えない天敵、電波、及び、カラスによる米軍撤去はガジ丸の妄想です。

 
 ハシブトガラス(嘴太鴉)
 スズメ目カラス科の留鳥 全国に分布 方言名:ガラサー
 沖縄島に生息するのは亜種のリュウキュウハシブトガラス。本土ではハシブトガラスの他にハシボソガラスも普通に見られるが、留鳥としての沖縄のカラスはこの一種だけ。ハシボソガラスは迷い鳥としてまれに見かけることはあるらしい。
 雑食性で、昆虫などを食って農家の手助けをするかと思ったら、作物まで食い荒らし農家の敵となったりもする。両方を天秤に掛けると、概ね農家の敵であるらしい。
 上述のように沖縄本島においては、嘉手納町より南の地域ではほとんど見かけない。よって、ゴミに溢れた那覇の町での、カラスによるゴミ荒らしニュースを私は聞いたことが無い。カラスが生息する中部以北においてもカラスが市街地のゴミ荒らしをするというのを聞いていないが、友人Tによると、ゴルフ場のゴミ捨て場には寄ってくるらしい。
 全長は56.5センチ。鳴き声については、倭国ではカァ、カァとなっているが、沖縄ではアー、アーが一般的。アに濁点の付いた声が近いと私は思う。
 
 ハシブトガラス沖縄産
 県内には3亜種いて、宮古島以北のものはリュウキュウハシブトガラス。
 
 ハシブトガラス八重山産
 八重山地方に生息するのはオサハシブトガラス。大東諸島にハシブトガラス。

 記:ガジ丸 2005.3.21 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行

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