ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ミナミキゴシハナアブ

2011年06月25日 | 動物:昆虫-双翅目(ハエ他)

 ちっともアブなくない

 友人のHは、同級生の男の中ではもっとも早く結婚しており、もっとも早く父親にもなった男である。最初に産まれた子供は女の子。生まれたての子供はたいていサルのような顔をしているが、彼女は違っていた。生まれた時からカワイイ子であった。カワイイ子の好きな私は彼女を可愛がった。彼女もまた、私に懐いてくれた。
 先日、彼女に会った時、彼女には珍しい緩めの服を着ていたものだから、私は冗談のつもりで、「やあ、何でマタニティードレスを着ているんだ」と言った。「何、バカ言ってんの」という答えが返ってくるかと思っていたら、彼女は、「マタニティーを着なくちゃいけない体だからさあ」と答えたのであった。うむ、さすがに私が鍛えただけのことはある。冗談には冗談で返すか、とその時は思ったのであった。
 それから一週間後の先週土曜日、「本当に妊娠しているんだよ」と聞かされた。できちゃった婚になるが、式は子供が生まれて数ヶ月経ってから挙げるとのことであった。
  彼女がヨチヨチ歩きの頃、私は彼女をお風呂に入れたこともある。そんな私は彼女にとって、裸を見られたとしても、その体を触られたとしても、ちっともアブなくないオジサンである。そのオジサンが「夏にスーツを着るのは暑いから、結婚式は秋にしてくれ」と言ったら、ニコニコ笑って、「そうする」と答えてくれた。

 アブと名のつく昆虫は一見、ハチに見間違える姿をしているが、そのほとんどが人間にとって、ちっともアブなくない虫である。花に集まり蜜を吸う。一所懸命に花の周りを飛び回っている。真面目に生きているんだなあと思う。私に似ている、と私は思う。

 
 ミナミキゴシハナアブ(南黄腰花虻):双翅目の昆虫
 ハナアブ科 沖縄島、八重山諸島に分布 方言名:不詳
 ハナアブ(花虻)は「ハナアブ科の昆虫の総称」で、「花蜜を吸う」ところからその名がある。本種は腰が黄色いのでキゴシ、沖縄以南に生息するところからミナミとつく。本土にはキゴシハナアブがいるとのこと。本種より少し大きめとのこと。
 腰が黄色いと書いたが、私には、昆虫の腰がいったいどの辺を指しているのか正確には判らない。まあ、だいたいお腹のあたりであろうと想像する。そのお腹の辺り、全体が黄色いのでは無く、黒と黄色の縞模様となっている。ハチのように、である。
 沖縄の固有種とのことであるが、ヤンバルクイナなどとは違い、絶滅の恐れは全く無いと思われる。家の周り、職場の周りでよく見かけるアブ。オオハナアブと同じく、成虫は花の蜜を吸いに来る。花で止まっていることが多いので写真も撮りやすい。
 体長は10~11ミリ。成虫の出現は3月から12月。

 記:ガジ丸 2005.12.5 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行