ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

カロライナジャスミン

2017年06月20日 | 草木:蔓蔦

 私の勤める会社は忘年会も新年会も無い。社員と飲んで話をするというのを社長が嫌っているみたいである。で、社員同士で計画して社長抜きの飲み会をやる。昔からの社員は私と私と同年代の職人OSさんの二人しかいないが、今でも年に1回位は集まる。
 その飲み会には、OSさんと私はもちろん、2年前に辞めたMT、3年前に辞めたMM、4、5年前にバイトしていたTさん、Oさん、2、3年前にバイトしていたSさんなどの他、10年余も前に辞めたTKさんもやってくる。
 TKさんは、私が入社した翌年、OSさんとほぼ同時期に入社した。もう25年ほども昔の話だ。OSさんは優秀な職人だが、TKさんも有能で、技はOSさんに譲るかもしれないが、好奇心が強く、勉強家で、知識は豊富であった。それまで花屋さんで働いていたということもあり、園芸や植物に関する知識は特に豊富であった。
 オウゴマダラという日本最大の蝶が沖縄にいて、その蛹は金色をしていて、食草はホウライカガミであることも彼から教わった。TKさんはホウライカガミの種を拾ってきて、職場の庭に植えて、数ヵ月後にホウライカガミの実物も見せてくれた。そのホウライカガミ、今でも職場にあり、お陰で職場には毎年、オウゴマダラがやってくる。

 ホウライカガミはTKさんが辞めるちょっと前、10年余前の話だが、もっと前、彼が入社して間もない20年余前のこと、職場のフェンス沿いを歩いていると、とても良い香りがした。フェンスにはツルが絡まっていて、黄色い花がたくさん咲いていた。
 「フェンスに黄色い花が咲いていて、とても良い匂いがする。あれ何だ?」と、植物のことならこの人に聞けと当時から認識していたTKさんに訊く。もちろん、TKさんは正しく答えてくれた。そのツル植物、それから2、3年後には消えてしまい、私の記憶からも遠のいてしまったが、先日、園芸店でそれと同じものを見て、同じ匂いがして、その頃のことを思い出した。TKさんから聞いた名前もすぐに思い浮かんだ。
 
 カロライナジャスミン(Carolina jasmine):パーゴラ、壁面
 マチン科の蔓性常緑木本 北アメリカ南西部原産 方言名:なし
 ジャスミン(マツリカ)はモクセイ科で、本種とは別科だが、本種の花にも芳香があるのでその名が付く。カロライナはノースカロライナ州、サウスカロライナ州のカロライナで、原産地がその辺りとなっていることから。なお、ジャスミンはモクセイ科ジャスミナム(ソケイ)属の総称で、ジャスミンは耶悉茗、ソケイは素馨と漢字がある。
 花はラッパ型で芳香があり、色は黄色、黄色くて香りがあることからイエロージャスミンという別名もある。開花期、沖縄では3月から4月。
 蔓の長さは6~7mになり、パーゴラや壁面装飾などに利用される。園芸店などで鉢物にされているのもよく見る。陽光を好み、過湿を嫌う。全体に有毒とのこと。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2011.4.23 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行