ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

マガモ

2014年01月30日 | 動物:鳥

 沖縄ではアヒル南蛮

 蕎麦屋へ行くと鴨南蛮という食い物がある。それは多くの倭人が認識していることと思われる。だが、ウチナーンチュは違う。蕎麦屋が沖縄には少ない。私が知っているのは国際通り近辺にある2軒だけ。確かな記憶では無いが、復帰(1972年)前は無かったかもしれない。ということで、ウチナーンチュは蕎麦屋へあまり行かない。よって、鴨南蛮が蕎麦のメニューだと認識しているウチナーンチュは少ないと思われる。
 そういう私も、大学で東京暮らしをするようなって初めて、鴨南蛮なる蕎麦料理があることを知った。沖縄ではそれまで、鴨肉料理を見たことも聞いたことも無かった。「そうか、倭国には鴨がいて、それを狩猟して、食卓に出されるわけだ。」と思った。
  今回調べると、倭国には確かに鴨猟はあり、鴨肉を食す文化もあるらしい。獣肉が忌まわれていた時代も、鳥は魚扱いにして食ってきたようだ。「鴨が葱を背負ってくる」なんて慣用句もあるくらい鴨肉は鴨鍋としても親しまれてきたようだ。なお、現在、鴨肉として提供される肉の概ねはマガモでは無く、アヒルやアイガモとのことであった。
 肉大好きのウチナーンチュが何で鴨肉を食わないか考えてみた。そもそもマガモがいないのであろう。『沖縄の野鳥』に「沖縄では、大東諸島で留鳥・・・その他では冬季に少数飛来する」とあった。少数の野鳥を探して捕獲して食うより、近くにありふれている家禽を食う方が簡単である。ウチナーンチュは簡単なのが大好きである。したがって、マガモで無く、元々アヒルやアイガモを食っていたと思われる。

 
 マガモ(真鴨):カモ目の鳥類 上は北海道で撮った写真
 カモ目カモ科の野鳥 北半球に広く分布 方言名:不詳
 名前の由来については、『動物名の由来』にカモの由来があった。要約すると、「カモはカモドリの略で、カモドリとは”浮かぶ鳥”がウカムトリに転じ、ウカムが上略されてカムになりカモに転じたものと思われる」とのこと。「思われる」なので定説では無いようだ。マガモについては『野鳥ガイド』に「真のカモの意」とあった。カルガモ、オナガガモ、コガモなどカモの仲間の中でも「いかにもカモ」ということのようだ。
 鴨南蛮とか鴨鍋に使われる肉、元はマガモだったのであろう。テレビの料理番組か何かで、現在では家禽のアヒルやアイガモが多く使われていると聞いた。ただ、マガモは今でも狩猟対象となっていて、その時期、その地域では食されるようだ。
 『沖縄の野鳥』に、「沖縄では、大東諸島に留鳥として生息する」とあったが、一昨年大東島を旅した時、南大東島の大池に行ってしばらく野鳥観察をしたが、本種は発見できなかった。沖縄島には冬鳥としてやってくるとのこと。去年の12月に龍潭でそれらしきものを発見し、写真を撮ったが、バリケンと番いのように(写真の2羽)仲良くしていたので、それが本種であるかどうか、確信は持てない。北海道産は旭川動物園で撮ったもので、これも2羽だが、これはマガモの番いとしておそらく間違いない。
 外見上の特徴について『沖縄の野鳥』でも広辞苑でも、雌より雄の方に字数を多く使っている。ちなみに広辞苑では「雄の頭・頸は光沢のある緑色で、頸に白色の1環があり、背は褐色、腰は紺色、翼は灰褐色、翼鏡は紫緑色。上胸は暗栗色、以下灰白色」の雄に対して、雌は「全体黄褐色で暗褐色の斑紋がある」とだけ。
 日本では概ね冬鳥。沖縄でも概ね冬鳥で10月から3月に見られるが、大東諸島では留鳥として生息し、繁殖もしているとのこと。体長59センチ、池、河川などに生息する。鳴き声はアヒルに似ていてグウェー、グウェーとのことだが、私はまだ聞いていない。
 
 沖縄産
 手前がマガモ、あるいはカルガモ、向こうはバリケン(観音アヒル)と思われる。

 訂正加筆:2014.1.27

 アイガモ(合鴨・間鴨):カモ目の鳥類
 カモ目カモ科の家禽 マガモとアヒルとの雑種 方言名:不詳
 別名ナキアヒル。肉を食用として、また、アイガモ農法にも利用される。外見は雄雌ともマガモの雌と似ているらしい。

 記:2011.2.28 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行