ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

貧乏臭いオジサン

2016年08月26日 | 通信-環境・自然

 概ね週に1~2回しか剃らないのでたいていは灰色の無精ひげを生やし、破れたTシャツに、泥(畑の土)で汚れたズボン、同じく泥で汚れた靴を履いている私の姿を見て、友人のM子は「浮浪者みたい」と言う。主食に芋を食い、副食は畑の野菜という食事が多いということも知っている従姉たちからは「貧乏臭い」などとも言われる。
 「浮浪者みたい」については、私は浮浪者ではないのでそう言われるのは心外。あまりに酷く破れたTシャツは着ないということで解消することにした。
 「貧乏臭い」については、確かに加齢臭がして体臭は臭いかもしれないが、貧乏臭いと言われるのは心外。「俺は貧乏臭いのでは無ぇよ、貧乏なんだよ」と反論したい。威張って言うほどのことじゃないので、今のところ心の中だけで叫んでいる。
 そう言えば、と昔のことを思い出した。私は大学時代にも友人から「貧乏臭い」と言われたことがある。親からの仕送りで質素倹約生活をしている頃のことだ。

 質素倹約は今でもやっている。例えば、これは普通のことなのかもしれないが、詰め替え用シャンプーを買い、ボトルに移して、ほぼ空になった詰め替え用の袋に水を入れ、よく振っておく。そのシャンプー水溶液で5~6回は髪を洗うことができる。
 もう1つ、シャワーで使う石鹸が小さくなると、洗面台の傍に置き、顔洗い手洗い用とする。これがさらにちびて、掴むことさえ困難になったら捨てている。
 その掴むことさえ困難になった石鹸、それが数個溜まるとお湯で溶かして石鹸水溶液なるものを大学時代の私は作っていた。石鹸水溶液は手洗い用に、また、拭き掃除にも使っていた。それを見た友人が「貧乏臭い奴だなぁ」と言ったのであった。

 去った8月17日は旧暦の7月15日で、旧盆のウークイ(御送り)の日であった。旧盆は、沖縄では大きな行事の1つで、その1週間ほど前の旧暦7月7日に墓掃除をし、お茶などを供え、「13日にはぜひいらしてください」と祈る。ご先祖様はグソー(後生)から先ずは墓へ下りて、それからトートーメー(位牌)のある家に来るらしい。なので、予め墓をきれいにしておき、ご先祖様へ失礼の無いようにするらしい。
 あの世からこの世にやってきたご先祖様は食欲も復活するらしく、この世にいる子孫たちはご先祖様への食べ物も準備しなければならない。ウンケー(御迎え)の日には仏壇を灯篭などで飾り付け、果物やお菓子も飾りの一つとして供える。
 母が生きている頃、母の手によって飾り付けられた我が家の仏壇は豪勢であった。母があの世に行った後も父が生きている間は、父の号令によって私や従姉達によって仏壇は飾り付けられた。母の頃ほどではなかったが、それでも豪勢であった。
     

 旧盆行事を私が仕切るようになって今年が6回目、トートーメー(位牌)が寺に移ってからは3回目となる。私が貧乏だからということもあるが、寺の仏壇が狭いということもあって飾り付けも供え物も質素になる。供える果物も買うことは無い、畑から採れるもので間に合わせている。従姉たちから「貧乏臭い」と非難されそうな果物飾り。しかし、そう言われた時の反論が私にはある。「俺が育てた果物だ、御先祖もきっと喜ぶ」と。
 徳川家康から400年以上経った今でも、質素倹約は美徳であると私は信じている。
     

 記:2016.8.26 島乃ガジ丸