礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

大八洲出版の「古文化叢刊」(付・松田幾之助の曾孫さん)

2017-09-08 05:35:32 | コラムと名言

◎大八洲出版の「古文化叢刊」(付・松田幾之助の曾孫さん)

 先月一六日のコラムで、中村清兄著『日本の扇』という本を紹介した。
 これは、戦中の一九四二年(昭和一七)八月、京都市河原町の大八洲出版株式会社から出された本で、私が持っているのは、戦後の一九四六年(昭和二一)五月に出た「再版」である。ちなみに、大八洲出版株式会社の「大八洲」は、たぶん、オオヤシマと読むのであろう。
 ところで、この再版本に、一枚のチラシがはさまっていた。オモテには、「古文化叢刊」というシリーズの趣意書、ウラには、同シリーズの一覧が載っている。本日は、この両者を紹介してみよう。
 なお、このチラシが作られた時点で、すでに、このシリーズの刊行が始まっていたのかどうかは不明。また、中村清兄著『日本の扇』は、このシリーズには含まれていない。

 古 文 化 叢 刊  大八洲出版刊

学問の真実が民衆に開放される時が来た。新たなる転換期に立つ日本文化の性格は、我国はもとより広く東洋西洋を通じての長い文化の伝統と、組織的な理解、実証的な見方の上に正しく立つものでなくてはならない。こゝに古文化叢刊は真理と実証に立脚して研究を進められつゝある第一線の学者、新鋭の研究家に執筆を乞ひ、最も新鮮な学問的内容を盛ることを期した。しかもこの叢刊を一人でも多くの人が読まれることが、そのまゝ新しい日本文化の基礎を固め前進させる所以である以上、出来るだけ理解されやすい記述が必要である。この点にも執筆者は意を用ひられるはずである。読者が、次々に刊行される各冊から、みづから好む書を取り上げられた時、快心の喜びを得られることを信じる。

  古文化叢刊  ゜印(交渉中)
1古代文化論        京大教授文学博士 原 随園
2考古学発達史       京大教授文学博士 梅原末治
3゜史前芸術         史前学研究所長 大山 柏
4古代人の食糧生活      早稲田大学嘱託 直良信夫
5地理と古代文化     立命館教授京大嘱託 藤岡謙二郎
6古代人の地理的世界   立命館教授京大講師 織田武雄
7東洋考古学      東方文化京都研究所員 水野清一
8東洋画の課題     東方文化京都研究所員 長広敏雄
9東洋美術と西洋美術 前大阪市立美術館鑑査員 小林太市郎
10日鮮の古代文化   前朝鮮総督府博物館嘱託 榧本亀生
11日本朝鮮比較建築史   京大建築学教室助手 杉山信三
12西洋古代文化        奈良女高師教授 岡島誠太郎
13史蹟の希臘      関西大学教授京大講師 村田数之亮
14古墳と古代文化    京大考古学研究室助手 小林行雄
15埴 輪             奈良県嘱託 末永雅雄
16古 瓦       前朝鮮総督府博物館嘱託 藤沢一夫
17石塔婆         史迹美術同攷会主幹 川勝政太郎
18梵鐘と古文化      前東京考古学会主幹 坪井良平
19゜上代寺院の再検討   文部省技師工学博士 福山敏男
20古京遺文注釈      史迹美術同攷会委員 藪田嘉一郎
21藤原京と平城京      大和国史会理事長 田村吉永
22庶民生活と染色         染色研究家 上村六郎
23日本の民家      彦根高工教授工学博士 藤原義一
24古代の日本語      京大国語国文研究室 濱田 敦
25古代音楽史           京大大学院 大築邦雄
26日本演劇の環境       京都市史編纂員 林屋辰三郎
27枯山水          京都林泉協会々長 重森三玲
28飛鳥彫刻         帝室博物館鑑査官 野間清六
29上代の建築      法隆寺修理事務所技師 浅野 清
30上代の仏画      奈良帝室博物館鑑査官 亀田 孜
31寧楽写経              書道家 田中塊堂
32密教美術          高野山大学教授 佐和隆研
33藤原文化と彫刻     史迹美術同攷会委員 米山徳馬
34日本の肖像画           宝雲主幹 森 暢
35桃山時代の絵画     恩賜京都博物館々長 十居次義
               (以 下 続 刊)
  (詳細は逐次発表いたします 昭和二十一年五月現在)

*一昨日、「松田の曾孫」という方から、当ブログのコラム「松田幾之助、ルビつき活字について語る」(二〇一四・九・一六)に対して、コメントをいただきました。それによれば、「松田の曾孫」さん(仮にAさんとします)は、ルビつき活字を考案された松田幾之助さんの曾孫(ひまご)に当たられるそうです。本年(二〇一七年)一月に、松田幾之助さんの娘さん(Aさんの祖母)が亡くなられましたが、そのあとに、Aさんは、お父さん(亡くなられた祖母の御子息)から、自分の曽祖父にあたる松田幾之助が、「ルビつき活字」を考案されたことを、初めて聞かされたとのことでした。
「松田の曾孫」さん、ご連絡、ありがとう存じました。

*このブログの人気記事 2017・9・8(6位は久しぶりのランクイン)

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