礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

明治20年代末における稲の種類(愛知県から秋田県まで)

2013-03-31 07:12:03 | 日記

◎明治20年代末における稲の種類(愛知県から秋田県まで)

 昨日の続きである。下山作太郎『農業蚕業 帝国農民術要』(一九九八)から、明治二〇年代末における稲の種類を紹介する。

●愛知 丈成、味美、改良神力、白玉、関取、根多良、根黒和尚、三国、安城白、丸亀、富国、甲方、撰出、大和錦、日出、稲川撰出、大野、〔17種〕
●静岡 神力、翻し、倒重、〔3種〕
●山梨 甲斐錦、関取、甲斐島、京大黒、二穂掛、荒木、山梨大黒、高砂、甲斐賜、伊勢大黒、祇園、加賀大黒、〔12種〕
●滋賀 富錦、豊錦、角助、小野、小錦、関取、肥後、滋賀錦、奈良物、政岡、金勝物、天狗、大和物、戸野、豊前、岡崎、大和錦、風不知、大関、腹白、日出、俵物、大野、善光寺、岡山、富錦〔重複、ママ〕、春田、伊勢錦、神錦、白玉撰出、万作、借金返シ、日月、日ノ丸、長門物、都錦、土佐、富永、豊臣、坂田、善光、平松、左近、出島、鬚、浄殿院、福禄寿、身代起シ、長光寺、ヒナツ、岡田、シヤクデン、玉鬚、重兵衛、伝生、白木本、新善光寺、秀郷、就盛、大黒、薄皮、加田肥後、安垣、善光、高山、富永善光寺、絹川、瑞穂、雄町、新万作、淡海錦、安岡、新角座、豊錦、大葉、能登、八幡、玉錦、丹波、国宝、粟鳳物、東京物、歩ミ戻リ、大島、沙汰無、沢山、長等山科、万足、大神山、名坂、小鬚、白木野、撰子、先代撰子、新万石、金吾、撰出、大和、小毛、山中、雨毛、谷川、大物、玉頭、〔103種〕
●岐阜 白玉、石州、尾張坊、関取、大関、松蔭、日ノ本、万本、千石、美濃錦、島坊主、竹林、須原坊主、万作、伊勢錦、日本一、〔16種〕
●長野 江州坊主、細翻、毛強、弘法、田子翻、信濃、木曽関秀、櫛田、日本、珍子、縞坊主、白玉、奥州、〔13種〕
●宮城 半坊主、国益、信州坊主、伊勢白、国豊、豊後、ネイズ、湧谷、源六、境坊、〔10種〕
●福島 高瀬魁、直三、信州金子、赤芒、金生、白、金光穂、耶摩錦、加賀姫、岩瀬錦、千葉錦、都穂、〔12種〕
●岩手 立子、寿老稲、三太、鉈切、白、倉塞、〔6種〕
●青森 赤沼、七霜、秋田坊主、天保、カセ、大黒、ヤヨウガ、狐、白、仙台坊主、桂、金光寺、金助、坊主鬚白、〔14種〕
●山形 信州金子、甲熟金子、肥後、楯岡、大丈白、〔5種〕
●石川 白石、巾着、大場、大葉、大豊年、〔5種〕
●秋田 木境山、宝玉、久保、細葉、杉沢、白川、稲妻、大垣、白鷺、武蔵野、白河内、白、由利ノ関、豊穣、尾張、四海波、勘九郎、〈17種〉

 紹介は、まだ終わっていないが、本日はここまで。
 静岡県における稲の品種が三種で、滋賀県におけるそれが一〇三種ということは、おそらくありえない。調査に精粗があったということであろう。実際のところ、この当時、全国各地には、この表以上に、たくさんの品種があったと思われる。

今日のクイズ 2013・3・31

◎稲の品種には、「坊主」がつくものが多いようですが、この「坊主」の意味の説明として、最も説得力があるのは、次のうちどれでしょうか。

1 稲に対する愛称。男の子に対する愛称「坊主」から。
2 米粒の形から。米粒の長さが幅に比べて短く、全体に丸い印象を与える。
3 ノギ(禾)の形状から。ノギがないか、もしくは少ない。

【昨日のクイズの正解】 3 ホマシ ■稲の品種「穂増」の読みについての問題でした。

今日の名言 2013・3・31

◎偏った考えを共有することで仲間意識も生まれる

 東大准教授の菅原琢〈スガワラ・タク〉さんの言葉。ネット世論についての論評だが、政治・思想・宗教などについても、同じことが言えそうな気がする。本日の日本経済新聞「ネット人類未来」欄より。

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明治20年代末における稲の種類(東京府から三重県まで)

2013-03-30 05:53:01 | 日記

◎明治20年代末における稲の種類(東京府から三重県まで)

 先日、古書展で、『農業蚕業 帝国農民術要』という本を入手した。著者・発行者は、ともに下山作太郎である。一九九八年(明治三一)一〇月が初版だが、入手したのは、翌年一〇月の第四版である。
 昨日、少し読んでみると、実に興味深い本であることがわかった。たとえば、一九九五年(明治二八)の段階で、稲の種類は七八三種に及び、異種異名を数えれば、一〇〇〇種を越すというようなことが書いてある。しかも、その種類が、すべて列挙されている。こういう情報は、求めても、なかなか得られるようなものではない。
 そこで以下、この「稲の種類」を、そのまま紹介することにしよう。ただし、あまりに多いので、本日は、全体の四分の一強。「各府県道庁」の順番は、同書記載の通り。
なお、北海道は、一八八六年(明治一九)に「廃県置庁」があって、それ以降しばらくは、内務省直轄の北海道庁になっていた。したがって、この当時、「道府県」という言葉はなく、この本でも、「各府県道庁」という言葉が使われいる(地方自治体としての北海道が誕生したのは、戦後)。

〇全国的に最も多く栽培する種類 白毛、白坊主、赤毛、白玉、神力、関取、都、雄町、高砂、富国、白藤、八ツ倉、大和錦、伊勢錦、万作、荒木、千葉錦、三穂、穂増、信州金子、栄吾、信州、瑞穂、長者坊主、房吉、〔25種〕
 以下は、「各府県道庁」別に、多く栽培する種類。
●東京 立川早種、玉川錦、田毎、小錦、大島、東錦、八幡、近江、伊勢早、生種、源三、〔11種〕
●京都 武井、豊吉、末広、広栄、吾白、白玉、精玉、撰穂、志村、万作、大粒、大仏、天狗、国玉、吉祥、都穂、宮錦穂、管一本、春日穂、都、チヨエツ、神力、虎尾、檜山、東京、雄町、日本司、器量能、衣川、政岡、八倉、高砂、撰出穂、白米穂、白菊、石白、日本一、豊岡、滋賀穂、〔39種〕
●大阪 白玉、天神穂、高砂穂、溜穂、檜山、大福穂、三羽穂、世直し、大和穂、今津穂、千石穂、清吉穂、八倉、仲吉穂、三度穂、伊勢穂、天美穂、福粒穂、河内穂、真力、糯撰早穂、義仲、小判穂、筑前穂、天下一、上牧穂、金屋穂、西川原穂、江州穂、森川穂、神力、有馬穂、石川穂、六石穂、輸出、河内有馬、名取坊主、増穂、万作、摂津、〔40種〕
●兵庫 荒福穂、伊勢錦、神力、改良政岡、山田穂、古城、万作、大谷、藍邦、福助、雄町、白玉、大国、三田穂、奈良穂、房吉、大福、二重徳、都穂、天狗穂、明治穂、成田、溜穂、改良美穂、万年穂、秋津穂、〔26種〕
●長崎 生田房、穂増、万作坊、大福寿、神力、白玉、国富、都、白穂、〔9種〕
●新潟 信州金子、珍子、二本三、巾着、島本、関取、毛石田、穂白、大和白、信州早穂、金玉、能登、高宮、大左衛門、島糯、京大黒、越前、〔17種〕
●埼玉 大和、関取、早近江、近江荒木、近江、千本、細近江、吉川、瑞穂、棟上、白目、撰一、荒木、埼玉錦、柿ノ木、八重成、〔16種〕
●群馬 関取、讃岐、神葉、玉村、二本三、西国坊主、東荒木、仙台、撰出、国富、島坊主、埼玉丸、島田、白餅、葭殻、千葉、高砂、雲州、房州中穂、荒木、日本、吉川、玉光、鴇田、小川、長柄、千葉錦、錦、吾妻、鎌足、大和錦、常陸錦、三徳、〔33種〕
●茨城 玉錦、関取、能登、千葉錦、豊年、常陸錦、勧業、東錦、種違、三徳、鞘被、大和錦、〔12種〕
●栃木 信州早穂、安蘇錦、小倉錦、関取、不動岡、目覚、白鬚、鳥取、都賀錦、二疋鼠、芳賀錦、新世帯、姫錦、改良錦、荒木、石白、〔16種〕
●奈良 白玉穂、岡山天狗穂、長州、石塚、天神穂、治道穂、玉好穂、八幡穂、瀧井、都錦、白玉、春日穂、生駒穂、博覧穂、八陳、天一坊、加茂、大和錦、万田穂、明治穂、丹生、高砂、中好穂、平長穂、三羽穂、天狗、忍坂穂、山田穂、大仏、白藤、大和穂、大穂、国宝穂、稲妻、大州穂、武井、穂大宝、誉至穂、富国、印度穂、伊勢錦、豊年穂、十宗穂、独林穂、都穂、中畑穂、和泉穂、万作穂、塚穂、八幡、長楽寺、一二三、〔52種〕
●三重 三国一、祝、関取、錦、伊勢錦、世界一、長者、弥八穂、君川、一本、永福、大黒、直六根、〔13種〕

今日のクイズ 2013・3・30

◎明治中期、全国で栽培されていた稲の品種に「穂増」があります。では、この読みは?

1 スイマス  2 ホマス  3 ホマシ

【昨日のクイズの正解】 3 美空ひばりと日本人 ■PHP文庫(1989)、サブタイトルはないようです。

今日の名言 2013・3・30

◎ハチ公も道をたずねる渋谷駅

 柏市の篠塚稲風さんの川柳。本日の東京新聞「時事川柳」欄より。最近、渋谷駅が大きく変貌したらしい。

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PHP研究所の「21世紀図書館」リスト44~86

2013-03-29 06:01:21 | 日記

◎PHP研究所の「21世紀図書館」リスト44~86

 昨日の続きである。PHP研究所の「21世紀図書館」全八六冊のうち、後半のリスト44~86を紹介する。

44 禁酒法のアメリカ アル・カポネを英雄にしたアメリカン・ドリームとはなにか 小田基著 1984・6
45 「にじみ」の日本文化 行動様式と人間関係にひそむ「曖昧さ」の美学 剣持武彦著 1984・6
46 禅と脳 大脳生理学と宇宙物理学から「さとり」を科学する 中山正和著 1984・6
47 演歌と日本人 「美空ひばり」の世界を通して日本人の心性と感性を探る 山折哲雄著 1984・7
48 仮面のはなし 人間は仮面に何を託し、何を表現してきたのか 中村保雄著 1984・6
49 暮しの文化人類学 現代日本人の生活様式を衣・食・住・家計に探る 石毛直道・栗田靖之・大丸弘・端信行著 1984・8
50 福沢諭吉 「文明開化は銭にあり」―経営者・経済人としての諭吉の生涯 丸山信著 1984・9
51 「円」の誕生 日本二千年の貨幣史にみるおかねの役割と日本人の金銭感覚 坂本藤良著 1984・9
52 外人課長のニッポン企業論 パキスタン人の渉外課長がながめたサラリーマン社会 ムハンマッド・ライース著 1984・8
53 虐殺はなぜ起きたか カンボジアの悲劇―「死者」たちが証言する一二〇万人抹殺の構図 小倉貞男著 1984・10
54 哲学的思考のすすめ デカルト「方法序説」に学ぶ、感性の時代の理性開発法 竹内均著 1984・10
55 日米・摩擦の構造 戦いながら共存するための知恵をオレンジ・自動車戦争に探る 草野厚著 1984・11
56 入門・日本経済の読み方 : なぜ強くなったのか?これからどうなるのか? 大阪大学教授グループ著 1984・12
57 江戸時代の事件帳  仇討ち・殺人・かぶきもの―元禄以前の世相を読む 檜谷昭彦著 1985・1
58 技術のエントロピー 水車からの発想―自然エネルギーだけが人類を救う 室田武著 1985・1
59 迷えるアメリカの心 今、アメリカ人にとって「宗教」とは何だろうか 生駒孝彰著 1985・2
60 『三銃士』を読む 現代フランス人の人間観・処世観・国際感覚の源流 篠沢秀夫著 1985・3
61 日本語の起源を探る コンピュータがはかる“やまとことば”成立のモデル 安本美典著 1985・3
62 「史記」を中国語で読む 楽しく学べる生きた外国語 相浦杲著 1985・5
63 「不思議の国のアリス」を英語で読む 楽しく学べる生きた外国語 別宮貞徳著 1985・5
64 軽井沢心理学散歩 別荘族からアンノン族まで―この不思議な町を知的に解読する 安西二郎著 1985・8
65 竹のはなし 日本人のくらしに深く融けこんだ竹の神秘を科学する 上田弘一郎著 1985・8
66 犬から探る古代日本人の謎 ヒトとともに生きてきたイヌの遺伝子が日本人のルーツを語る 田名部雄一著 1985・9
67 寛政のビジネス・エリート 大阪商人・草間直方にみる江戸時代人の経営感覚 新保博著 1985・9
68  超人工知能 人類の後継者は「ヒト」か「機械」か 石原藤夫・金子隆一著 1985・11
69 韓国農村事情 「儒」の国に生きる人々の生活誌 嶋陸奥彦著 1985・11
70 チンドン屋始末記 街頭のピエロたちにみる広告宣伝のパフォーマンス 堀江誠二著 1988・1
71 江戸の犯罪白書 十手・捕縄・御用提灯―百万都市の罪と罰 重松一義著 1986・3
72 思考のメカニズム 大脳生理学が日本人の論理とイメージを科学する 品川嘉也著 1986・3
73 日本の祝祭日 日の丸・門松・鯉のぼり―そのルーツと歴史を探る 所功著 1986・3
74 東条英機暗殺計画 「高木惣吉資料」にみる日本海軍の終戦工作 工藤美知尋著 1986・5
75 「ドン・キホーテ」をスペイン語で読む 楽しく学べる生きた外国語 清水憲男著 1986・5
76 日本人の顔と身体  自然人類学から探る現代人のルーツと成り立ち 山口敏著 1986・7
77 ヤマト文化と琉球文化 南の島々の生活行事に映った日本文化の古層地図 下野敏見著 1986・7
78 快楽亭ブラックの「ニッポン」 青い目の落語家が見た「文明開化」の日本と日本人 佐々木みよ子・森岡ハインツ著 1986・10
79 「おくのほそ道」の虚構と真実 芭蕉文学の謎を解くカギは何か 竹下数馬著 1986・10
80 日本人の数学感覚 なぜ計算がうまいのか―「そろばん文化」の構造 下平和夫著 1986・11
81 日本人の英語感覚 なぜうまくなれないのか―英語苦手の構造 荒木博之著 1986・11
82 ハンコの文化史 古代ギリシャから現代日本まで―ハンコと人間の五千年 新関欽哉著 1987・1
83 船と古代日本 縄文時代人が太平洋を横断した?―航海術から探る日本史の謎 茂在寅男著 1987・3
84 標準語の成立事情 日本人の共通ことばはいかにして生まれ、育ってきたのか 真田真治著 1987・3
85 カルレッティ氏の東洋見聞録 エンゲルベルト・ヨリッセン著 谷進・志田裕朗訳 1987・3
86 日本西洋画事始め  パリで学んだ明治の画家たちの異文化接触事情 大沢寛三著 1987・5 

今日のクイズ 2013・3・29

◎上記の47『演歌と日本人』は、その後、タイトルを変え、PHP文庫の一冊として復刊されました。何というタイトルに変わったのでしょうか。

1 演歌と美空ひばり  2 美空ひばりがいた時代  3 美空ひばりと日本人

【昨日のクイズの正解】 3 ヒビ ■国立国会図書館のデータによりました。ヒビ・サダオさんは、写真家のようです。

今日の名言 2013・3・29

◎過激な金融政策は代償を伴う

 本日の日本経済新聞「大機小機」欄より。署名は「混沌」。コラム子は、政権交代に伴なう金融政策に懐疑的である。「後先を考えずに、太平洋戦争に突入した歴史の連想は杞憂だろうか」。

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PHP研究所の「21世紀図書館」リスト1~43

2013-03-28 08:38:30 | 日記

◎PHP研究所の「21世紀図書館」リスト1~43

 最近になって、中公新書の『日本語が見えると英語も見える』(1994)を読んだ。非常に勉強になった。
 同書の「あとがき」によれば、著者の荒木博之氏は、この本の前に、『日本人の英語感覚』〔21世紀図書館81〕(PHP研究所、一九八六)という本を出していたという。

『日本人の英語感覚』は、氏の著作の中で、「最も反響が大きかった本」だった。ところが、「21世紀図書館」というシリーズは、八十数冊を出したところで、すべて「絶版」になってしまったとある。
 そう言われてみて、かつて「21世紀図書館」という新書判のシリーズがあり、なかなか興味深いテーマの本が並んでいたことを思い出した。何冊か購入した覚えもある。

 それにしても、八十数冊すべて絶版ということを聞くと、どんな本がはいっていたか気になる。そこで、全八六冊のデータを調べてみた。以下がそのリストである。本日は前半ということで、四三冊目まで。

1 「般若心経」を読む 「色即是空、空即是色」愚かさを見すえ、人間の真実に迫る 水上勉著 1983・2
2 近代文明への反逆 社会・宗教・政治学の教科書『ガリヴァー旅行記』を読む 高坂正堯著 1983・12
3 漢字再発見 その驚くべき表現力・情報力・経済力の秘密 鈴木修次著 1983・2
4 和紙と日本人の二千年 繊細な感性と卓越した技術力の証明 町田誠之著 1983・2
5 「下半身の装い」に探る人間の本性と変身への願望 深作光貞著 1983・2
6 日本二千年の人口史 経済学と歴史人類学から探る生活と行動のダイナミズム 
7 「縁社会」と人間関係 仏教と共に生きてきた日本人の思考と行動原理 増原良彦著 1983・2
8 今村均氏の軍人生活 一陸軍大将の回顧録に組織を生きる英知を探る 日下公人著 1983・2
9 文学誕生 日本的教養の研究奈良・平安篇―古代・王朝人の知的生活と物語生産システム 稲賀敬二著 1983・3 
10 「病院化社会」の経済学 現代医療システムはあなたの明日をどこまで保障できるか 西村周三著 1983・3
11 芥川龍之介の経営語録 人間と世の中への深い洞察の書「侏儒の言葉」の読み方 竹内宏著 1983・4
12 邪馬台国発掘 畿内か北九州かー永年の論争に終止符を打つ! 奥野正男著 1983・4
13 俳句で日本を読む なぜ「古池の蛙」なのか―日本人の美意識・行動様式を探る 李御寧著 1983・5
14 道具と日本人 木の文化を育み磨き上げた技術力の発露―木工具の二千年史 中村雄三著 1983・5
15 「落人伝説」を読む 日本人はなぜ滅びゆく貴人を慕い憧れるのか 村松定孝著 1983・5
16 「華厳経」を読む 華厳十地の生活信条が不安と混迷の現代人を救う 並河亮著 1983・6
17 日本官僚の原像 太安万侶の日常生活から現代の官僚制度を考える 野村忠夫著 1983・6
18 カラーで読む関ケ原合戦 1600年9月15日を演出した武将たち 会田雄次・日■貞夫・神山登著 1983・7
19 ハ虫類になった日本人 CM三十年の歴史が語る現代人の脳と行動のメカニズム 西村五洲著 1983・7
20 羊毛の語る日本史 南蛮渡来の洋服はいかに日本文化に組み込まれたか 山根章弘著 1983・7
21 敬語日本人論 「礼」の言葉―敬語から日本的集団のダイナミズムを探る 荒木博之著 1983・8
22 就職とは何だろうか もう一つの明治・大正・昭和史―代表的企業人の職業選択 松尾博志著 1983・8
23 カラーで読む大坂冬の陣・夏の陣 徳川政権250年が確立した日 邦光史郎著 1983・8
24 卑弥呼と邪馬台国 コンピュータが幻の王国と伝説の時代を解明する 安本美典著 1983・9
25 英雄たちの病状診断 その病気・性格が日本歴史を変えた 服部敏郎著 1983・9
26 乱世の論理 日本的教養の研究室町・戦国篇―日本人は動乱の時代をいかに生き抜いたか 小和田哲男著 1983・10
27 「戦争論」を読む 今なぜクラウゼヴィッツか―核の時代の戦争と政治の哲学 長谷川慶太郎著 1983・11
28 日本神話の謎を解く 神話形成のプロセスが古代日本及び日本人を浮き彫りにする 重松明久著 1983・11
29 「観音経」を読む 観音三十三身が仕事・恋愛・健康など身近な悩みを解決する 鎌田茂雄著 1983・11
30 新・「菊と刀」の読み方 戦後日本と日本人の変容の歴史を再点検する 西義之著 1983・12
31 日本の「1984年」  G・オーウェルの予言した世界がいま日本に出現した 小室直樹著 1983・12
32 「下半身」から「上半身」へ 装いの移ろいが語る人間らしさの本源 深作光貞・ 相川佳予子著 1983・12 
33 江戸時代を見た英国人 日本及び日本人は彼らの目にどう映ったか ろじゃめいちん著 1984・2
34 「民謡の島」の生活誌 奄美の暮らしに発見した歌の心とことだまの姿 小川学夫著 1984・2
35 論語と孔子 人間関係論のエッセンス「論語」の新しい読み方 鈴木修次著 1984・2
36 中国医学の話 中国四千年の英知に学ぶ正しい漢方の知識と処方 張明澄著 
37 ロシア・ソ連人の日本観 なぜ北の隣人はわれわれの文化に敬愛の情を抱き続けるのか 木村明生著 1984・3
38 「星の王子さま」をフランス語で読む 楽しく学べる生きた外国語 加藤恭子著 1984・4 
39 もうひとつの太平洋戦争 戦時放送記者がいま明かす日本の対外宣伝戦略 並河亮著 1984・4
40 日本人の遊びごころ われわれは、はたして遊びべたな民族なのだろうか 守屋毅著 1984・4
41 「グリム童話」をドイツ語で読む 楽しく学べる生きた外国語 小塩節著 1984・4 
42 漢字文明圏の思考地図 東アジア諸国は漢字をいかに採り入れ、変容させたか 西田龍雄著 1984・6
43 日本の組織・アメリカの組織 人びとのまとまり方はどのように異なるのか 金山宣夫著 1984・5

 18の■は、プレビューで、出なかった。弁という字のムの部分が立になっている字である。

今日のクイズ 2013・3・28

◎「日■」というのは、非常に珍しい苗字ですが、何と読むのでしょうか。■=弁という字のムの部分が立になっている字

1 ニッシン  2 ニチベン  3 ヒビ

今日の名言 2013・3・28

◎おおばくち身ぐるみ剥がれてすってんてん

 甘粕正彦の辞世の句だという。甘粕正彦といえば、関東大震災の際、陸軍憲兵大尉として、アナーキストの大杉栄を殺害し、その後、満洲に渡って、満州映画協会の理事長を務めた人物である。本日の東京新聞「本音のコラム」欄で、竹田茂夫氏が引用していた。ちなみに、コラムのテーマは、「国家のおおばくち」である。  

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戦中に中野五郎が発した『警鐘』

2013-03-27 05:26:20 | 日記

◎戦中に中野五郎が発した『警鐘』

 三月二三日のコラムで、洋洋社「新日本建設叢書」の第二輯、中野五郎『デモクラシーの勝利』(一九四六年三月)という本を紹介した。その後、この本が、国立国会図書館に架蔵されているかどうか、同図書館の蔵書検索で調べてみたところ、たしかにヒットした。しかし、プランゲ文庫にある(つまり影印資料としてある)ということであって、一般の蔵書として架蔵されているわけではないようだ。
 ついでに調べたところ、洋洋社「新日本建設叢書」は、第一輯、武野藤介『外人の観た日本人』(一九四六年二月)、第三輯、柏原一雄『今日の言葉小辞典』、第四輯、木村毅『終戦後の文学論』のすべてがヒットしなかった。もっとも、この、第三輯・第四輯に関しては、実際に刊行されているという確証があるわけではない。
 また、「新日本建設叢書」で検索してみた結果、同名の叢書が、少なくとも三種類あることを知った。最初は、戦中に教育研究会が出したもの、二番目は洋洋社のもの、三番目は、一九四七年以降(たぶん)、日本基督教団出版事業部が出したものである。
 今回、こうした検索をおこなってみて、一番驚いたのは、戦中の中野五郎に、『警鐘―敵国アメリカの実相と我等の覚悟―』(起山房、一九四三年二月)という著書があることであった。「序」は、大本営陸軍報道部長・谷萩那華雄〈ヤハギ・ナカオ〉少将、中野五郎の肩書は、「朝日新聞社ニューヨーク特派員」である。
 この本は、国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで公開されているので、全国どこからでも閲覧可能である。まず注目したいのは、「敵国アメリカの実相と我等の覚悟」というサブタイトルである。中野五郎はやはり、ヒュー・バイアスの『敵国日本』を日本に持ち帰っているのではないか。ことによると、軍の情報担当者にこの本を示し、これに対抗して、その日本版を出す必要があるといったことを説いたかもしれない。
 では、中野は、この本によって、敵国アメリカの実相をあますことなく紹介し、政府関係者、軍部、あるいは国民に、アメリカの実力を知らしめ、「警鐘」を鳴らすことはできたのだろうか。おそらく、これは無理だったと思う。このあたりについては、是非、実際に『警鐘』を読まれて、検証してみていただきたい。
 ちなみに、この本のこのサブタイトルは、本扉を見る限りでは、「敵国アメリカの実相と我等の覚悟」であるが、表紙においては、「敵愾心昂揚の書」〈テキガイシンコウヨウノショ〉がサブタイトルとなっている。どうして、そのようなことになったのかは、よくわからない。では、どちらのサブタイトルがこの本の特徴をよく示しているか。明らかに、「敵愾心昂揚の書」のほうである。つまり、この本は、ヒュー・バイアスの『敵国日本』に匹敵しうるような、冷静かつ客観的な本にはなっていないのである。このあたりについても、是非、原本にあたって確認されるとよろしいかと思う。

今日の名言 2013・3・27

◎私は敵国アメリカ撃滅の道の如何に荊棘苦難なるかを憂慮する

 中野五郎の言葉。荊棘の読みは〈ケイキョク〉。イバラを意味し、困難があることの例えとして使われる。中野五郎『警鐘―敵国アメリカの実相と我等の覚悟―』(起山房、1943)の「自序」より。こういう言葉に、ジャーナリストとしての中野の良心を垣間見る。ただし、この本全体のトーンが、「敵愾心昂揚の書」であることは否定しがたい。

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