◎栗原健の代表作『天皇―昭和史覚書』(1955)
書棚を整理していたら、栗原健著『昭和史覚書―太平洋戦争と天皇を中心として』(有信堂)という本が出てきた。「文化新書」の一冊である。二十年以上前に、近所の古書店で買い求めた。古書価200円。ただし、読んだ記憶がない。
奥付を見ると、「昭和34年11月1日 第3刷」となっている。文化新書の 202、定価は280円。その第1刷はいつだったのかと、国立国会図書館のデータで調べたが、よくわからなかった。ただし、『天皇―昭和史覚書』というタイトルの「文化新書」が、1955年(昭和30)に出ており、これが本書『昭和史覚書』の「第一刷」に当たるらしい、と見当をつけた。
ちなみに、第三刷『昭和史覚書』は「インターネットで読める」となっているが、第一刷『天皇―昭和史覚書』のほうは、そうなっておらず、国立国会図書館に赴かないと閲覧できない。
ところで、本書『昭和史覚書』の巻末にある「文化新書」の広告を見ると、その九番目に「天皇―昭和史覚書― 外務省外交調査課 栗原健 二八〇円」とある。「第三刷」の広告中に、「第一刷」の書名があるのは、妙といえば妙である。
国立情報学研究所学術情報ナビゲータ(CiNii)のデータで調べると、『天皇―昭和史覚書』が刊行されたのは、1955年の10月だという。同年11月に刊行された、遠山茂樹・今井清一・藤原彰著『昭和史』(岩波新書・青版223)よりも、ひと月、先行している。このことは、記憶にとどめておきたい。
栗原健(くりはら・けん、1911~2005)は、アーキビスト、歴史家。専門は、日本外交史、日本近代史。『天皇―昭和史覚書』=『昭和史覚書―太平洋戦争と天皇を中心として』が、その代表作のようである(ウィキペディア「栗原健」の項による)。【この話、続く】