監督:アンドリュー・ラウ / アラン・マック
出演:アンディ・ラウ トニー・レオン レオン・ライ ケリー・チャン アンソニー・ウォン
エリック・ツァン チャップマン・トー サミー・チェン ショーン・ユー エディソン・チャン
ストーリー
潜入捜査官ヤン(トニー・レオン)の殉職から10ケ月後、難航していた事件の検証がようやく終わった。
ヤンからの情報に基づいてマフィアのサム(エリーック・ツァン)の組織を壊滅させた翌日、再びヤンと接触した折に潜入マフィアのラムが現れ、ヤンを射殺したラムをやむなく殺害した、というラウ(アンディ・ラウ)の証言は、全面的に認められたのだが、彼は一時的に庶務課に左遷され、婚約前に妊娠していたマリー(サミー・チェン)は、生まれた赤ん坊を連れてラウのもとを去っていった。
ラムが死ぬ前に語った「全部で5人」という言葉から、ラウは潜入マフィアを探し出しては始末してきていた。
しかし、保安部のヨン警視(レオン・ライ)の前でチャン巡査部長が自殺する事件が起き、現場近くに居合わせたラウはヨン警視もまた潜入マフィアなのでは?との新たな懸念を抱く。
内務調査課に警部として復帰したラウは、保安部の秘密主義に阻まれながらも、この事件の調査を開始する。
チャンのデスクには、サムとの会話が録音されたテープの入った封筒が置かれ、彼が潜入マフィアだったことが判明し、チャンはサムの商売相手だった本土の大物シェン(チェン・ダオミン)ともつながっていたことが分かる。
そのシェンが、ヨンと一緒に写っている写真も見つかる。
ひそかに保安部に監視カメラを設置し、ヨンの車に発信機を取り付けたラウは、ヨンが金庫に保管していたテープを、ポストに投函するところを目撃する。
ラウはまた、精神科医リー(ケリー・チャン)に近づき、パソコンに大切に保存されていたヤンのカルテを入手。
そのカルテには、ヤンの生涯でもっとも幸福だった日々が記されていた。
カルテを読むうちに、ラウはヤンに自分を重ね、ヤンの世界に入り込んでいく。
だが、いつしかヤンの死の真相を知る者の気配が、ラウの背後に忍び寄ろうとしていた。
寸評
香港フィルムノワールの傑作『インファナル・アフェア』の完結編なのだが、前2作を見ていないとさっぱり分からん作りになっている。
1作目で潜入捜査官ヤンと対決して、ヤンの殉職という悲劇的な結末に直面したマフィアのラウが、警官として生きる決意をして、他の潜入マフィアを見つけて始末しようとするところから始まるのだが、主要人物の多くは1作目で死んでいるのであらたな人物が登場してくる。
それがレオン・ライ演じるエリート警官ヨンで、彼はチェン・ダオミン演じる中国の密輸商人シェンと通じていて、どうもワル警官だという印象を持たせる。
この警官の登場はいいとしても、現在進行形のドラマに加えて過去の出来事だの、想像の中のシーンだのと色々なものが挿入されて、頭の悪い僕は時々年号を入れられても時制がバラバラにいなって、どうにもわからん状態になってしまい混乱状態に陥った。
その支離滅裂状態を辛うじて支えたのが、この映画の持つ雰囲気だ。
一瞬も途切れない緊張感とミステリアスさの演出が上手すぎるという感じなのだ。
ラウが手に入れたヤンのカルテによって、在りし日のヤンとリー医師のロマンスがてんこ盛りで登場するが、作品の中ではそのシーンが甘すぎてダレてしまったなあ。
その分、新登場のレオン・ライ、チェン・ダオミンが思わせぶりな演技で映画を引き締めていた。
ラストに明かされる彼の絡んだ意外な真実は、ちょっと強引な感じはするものの、このドンデン返しは結構驚かされるし、「う~ん、そうだったのか…」と唸らされる。
前作のシーンなども挿入されて、意識はあっち行ったりこっち行ったりで散漫になりがちなのだが、ラウとヨンの対決は息詰まるようなものになっている。
また正義の警官になろうとしながら壊れていくラウの姿が見ごたえあるものになっていた。
それぞれのエピソードは見応えがあるのだが、それは僕が1作目、2作目を見ているからであって、この作品だけを取り上げるならば、評価不可能と言っていい作品だ。
ラウは不死身かと思わせるラストシーンだが、それでも前後に現れる二人の女性はラウの過去を思い出させたし、ラウとリー医師がちょっといい感じになるのは、ヤンとラウをつなぐ橋渡し的な描き方だったのかもしれないな。
最初から計画されていた3作目と聞くが、印象的には何だかオマケ的に作られた作品の様な印象を持つ。
3本セットで見ると間違いなく傑作だと言える作品なのだが、話がつながっているシリーズ物ながら1本、1本を独立した作品として見ても立派に仕上がっていた「ゴッド・ファーザー」シリーズには及ばない出来栄え。
それでも香港フィルムノワール、なかなかやるじゃないかと思わせてくれた作品であることは確か。
前述したリー医師のケリー・チャンをいっぱい登場させたのは観客へのサービスだったのかなあ?
大きな目をしたケリー・チャンは綺麗すぎるので、違和感を感じる彼女の登場シーンだが、彼女の美しさに免じて許してあげようという気持ちが湧いてしまった。
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