「狼は天使の匂い」 1972年 フランス / アメリカ
監督 ルネ・クレマン
出演 ロバート・ライアン
ジャン=ルイ・トランティニャン
レア・マッセリ
アルド・レイ
ティサ・ファロー
ジャン・ガヴァン
ストーリー
トニーの逃亡生活は、操縦していたヘリコプターがジプシーの群れの中に墜落し、大勢のジプシーの子供を死なせてしまったことから始まる。
ジプシーのかしらは復讐を誓った。
そのためにトニーはパリにいられなくなり、ニューヨーク、さらにカナダのモントリオールに逃げた。
執拗なジプシーの追跡のために逃げ場を失い、折から開催中の万国博覧会のアメリカ館に身を潜めた。
そこで2人組による殺人事件を目撃したことから一味に捕らえられ、ある島に連れ去られた。
島に着くとトニーは、一味のボス、チャーリーに引き合わされた。
彼の他にも、その情婦シュガー、マットン、リッツィオ、パウルその妹ペッパーがいた。
チャーリーは、殺されたレナが持っていた1万5千ドルの行方を教えろと迫ったが、トニーは口を割らなかった。
この島から逃げるためには橋を渡らなければならず、その橋は1つしかない。
うまく渡ったとしても、そこにはジプシーたちが彼を待ち構えているに違いない。
翌日、チャーリーたちは泥棒を働きに出かけた。
一方、トニーは月日がたつに従ってチャーリーに親しみを感じ始め、シュガーとも親しくなった。
やがてチャーリーが計画している大仕事に誘われ、仲間になることを承知した。
一味の大仕事とは、マッカーシーというギャングの大親分が近く法廷で裁かれることになっているが、彼を有罪にする唯1人の証人は頭の弱い女の子で、目下モントリオールの病院に厳重な警備つきでかくまわれているので、この証人を誘拐してマッカーシーに引き渡し、礼金100万ドルをせしめようというものだった。
病院の隣のコンサート・ホールを足がかりにして病院に入るという計画は完璧のように思われた。
決行の日の夜、一味はタキシードに身をつつみ、コンサート・ホールに現われた。
寸評
トニーが何者かの集団に命を狙われ逃亡するが、途中でマフィアらしき組織の殺人事件を目撃したことで、犯人グループに拉致されるという出だしに反して、作品はムードたっぷりの静かな作品である。
作品の雰囲気を形作っているのが犯罪集団のリーダーであるチャーリーを演じるロバート・ライアンだ。
仲間からの信頼も厚く、時折子供のような屈託のない笑顔を見せる。
マフィア映画で描かれるボスの姿からは程遠い人物像だ。
チャーリーはパウルとその妹のペッパーを施設から引き取ってやっているので、ペッパーはチャーリーを父親の様に慕っている。
医者を呼ぶことが出来ず、パウルが死にそうになっていく時には心底心配してやる優しさを持っている。
沈着冷静、時には非情な態度を見せるが、ロマンチストかもしれないと思うような言動を見せる男だ。
そんな彼を仲間は絶対に裏切らない。
子分たちは彼の言いつけに逆らうことはない絶対君主なのだが、そんな風には見えないリーダーである。
このチャーリーと言う男を演じたロバート・ライアンがすこぶるいい。
トニーと煙草積み上げの賭けに夢中になる彼の表情は、強盗団のリーダーのものとはとても思えないし、ふともらす微笑みが魅力的だ。
賭けに夢中になるチャーリーの影響なのか、一味は何かにつけて賭けをやっている。
その賭け事はそれぞれが意味を持ってくる、いわゆる伏線となっている。
トニーがリッツィオに時計を売って金を作り賭けに挑むのもそうで、この時の時計が後半で意味を持つことになるなど、細かい伏線がいくつも張り巡らされている。
一味がどのような犯罪を企んでいるのかは最後になるまで明らかにされない。
そんなもどかしさも手伝ってソフトな犯罪映画になっているのだが、トニーが追われている理由も予備知識を持っていなければ前半では明らかでない。
追手が何者なのかよく分からないのはルネ・クレマンの意図したものだと思うが、やはり描いておいた方が良かったように思う。
追手はトニーの命を狙っているはずだが、それなら対岸に潜んでトニーを待ち伏せすればよいものを、笛など吹いて存在を知らせていると言うノンビリ感がある。
彼らはトニーの命を狙っている一団と言う位置づけに過ぎない。
そこにいくとチャーリー一味のキャラクターは多彩である。
リッツィオは冷静でチャーリーに命を預けている男だが、絵をかいたりチェスの駒を作ったりもする芸術はで、ビリヤードの球が武器となる特技の持ち主。
マットンは女好きで頭は少し弱そうな元ボクサーで、彼の女好きが破たんの原因となる。
一味には大人の魅力があるシュガーと、若く可憐なペッパーという女性がいて、この二人がトニーとの三角関係を見せる。
そんな彼らがアジトで見せるやり取りは楽しめるもので、肝心の犯罪の内容が全く描かれないのに十分楽しめるものとなっていて、ラストは男ならグッとくる。
それにしても、あの消防車をどうやってビルの高層階に持ってこられたのだろう?
監督 ルネ・クレマン
出演 ロバート・ライアン
ジャン=ルイ・トランティニャン
レア・マッセリ
アルド・レイ
ティサ・ファロー
ジャン・ガヴァン
ストーリー
トニーの逃亡生活は、操縦していたヘリコプターがジプシーの群れの中に墜落し、大勢のジプシーの子供を死なせてしまったことから始まる。
ジプシーのかしらは復讐を誓った。
そのためにトニーはパリにいられなくなり、ニューヨーク、さらにカナダのモントリオールに逃げた。
執拗なジプシーの追跡のために逃げ場を失い、折から開催中の万国博覧会のアメリカ館に身を潜めた。
そこで2人組による殺人事件を目撃したことから一味に捕らえられ、ある島に連れ去られた。
島に着くとトニーは、一味のボス、チャーリーに引き合わされた。
彼の他にも、その情婦シュガー、マットン、リッツィオ、パウルその妹ペッパーがいた。
チャーリーは、殺されたレナが持っていた1万5千ドルの行方を教えろと迫ったが、トニーは口を割らなかった。
この島から逃げるためには橋を渡らなければならず、その橋は1つしかない。
うまく渡ったとしても、そこにはジプシーたちが彼を待ち構えているに違いない。
翌日、チャーリーたちは泥棒を働きに出かけた。
一方、トニーは月日がたつに従ってチャーリーに親しみを感じ始め、シュガーとも親しくなった。
やがてチャーリーが計画している大仕事に誘われ、仲間になることを承知した。
一味の大仕事とは、マッカーシーというギャングの大親分が近く法廷で裁かれることになっているが、彼を有罪にする唯1人の証人は頭の弱い女の子で、目下モントリオールの病院に厳重な警備つきでかくまわれているので、この証人を誘拐してマッカーシーに引き渡し、礼金100万ドルをせしめようというものだった。
病院の隣のコンサート・ホールを足がかりにして病院に入るという計画は完璧のように思われた。
決行の日の夜、一味はタキシードに身をつつみ、コンサート・ホールに現われた。
寸評
トニーが何者かの集団に命を狙われ逃亡するが、途中でマフィアらしき組織の殺人事件を目撃したことで、犯人グループに拉致されるという出だしに反して、作品はムードたっぷりの静かな作品である。
作品の雰囲気を形作っているのが犯罪集団のリーダーであるチャーリーを演じるロバート・ライアンだ。
仲間からの信頼も厚く、時折子供のような屈託のない笑顔を見せる。
マフィア映画で描かれるボスの姿からは程遠い人物像だ。
チャーリーはパウルとその妹のペッパーを施設から引き取ってやっているので、ペッパーはチャーリーを父親の様に慕っている。
医者を呼ぶことが出来ず、パウルが死にそうになっていく時には心底心配してやる優しさを持っている。
沈着冷静、時には非情な態度を見せるが、ロマンチストかもしれないと思うような言動を見せる男だ。
そんな彼を仲間は絶対に裏切らない。
子分たちは彼の言いつけに逆らうことはない絶対君主なのだが、そんな風には見えないリーダーである。
このチャーリーと言う男を演じたロバート・ライアンがすこぶるいい。
トニーと煙草積み上げの賭けに夢中になる彼の表情は、強盗団のリーダーのものとはとても思えないし、ふともらす微笑みが魅力的だ。
賭けに夢中になるチャーリーの影響なのか、一味は何かにつけて賭けをやっている。
その賭け事はそれぞれが意味を持ってくる、いわゆる伏線となっている。
トニーがリッツィオに時計を売って金を作り賭けに挑むのもそうで、この時の時計が後半で意味を持つことになるなど、細かい伏線がいくつも張り巡らされている。
一味がどのような犯罪を企んでいるのかは最後になるまで明らかにされない。
そんなもどかしさも手伝ってソフトな犯罪映画になっているのだが、トニーが追われている理由も予備知識を持っていなければ前半では明らかでない。
追手が何者なのかよく分からないのはルネ・クレマンの意図したものだと思うが、やはり描いておいた方が良かったように思う。
追手はトニーの命を狙っているはずだが、それなら対岸に潜んでトニーを待ち伏せすればよいものを、笛など吹いて存在を知らせていると言うノンビリ感がある。
彼らはトニーの命を狙っている一団と言う位置づけに過ぎない。
そこにいくとチャーリー一味のキャラクターは多彩である。
リッツィオは冷静でチャーリーに命を預けている男だが、絵をかいたりチェスの駒を作ったりもする芸術はで、ビリヤードの球が武器となる特技の持ち主。
マットンは女好きで頭は少し弱そうな元ボクサーで、彼の女好きが破たんの原因となる。
一味には大人の魅力があるシュガーと、若く可憐なペッパーという女性がいて、この二人がトニーとの三角関係を見せる。
そんな彼らがアジトで見せるやり取りは楽しめるもので、肝心の犯罪の内容が全く描かれないのに十分楽しめるものとなっていて、ラストは男ならグッとくる。
それにしても、あの消防車をどうやってビルの高層階に持ってこられたのだろう?
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