「ドリームガールズ」 2006年 アメリカ
監督 ビル・コンドン
出演 ジェイミー・フォックス
ビヨンセ・ノウルズ
エディ・マーフィ
ジェニファー・ハドソン
アニカ・ノニ・ローズ
ダニー・グローヴァー
ストーリー
1962年。デトロイトのヴォーカルトリオ「ドリーメッツ」は音楽業界に打って出ようとしている野心家・カーティスにスカウトされた。
彼女たちはソウル界のローカルスター、ジミー・アーリーのバックコーラスとしてツアーに参加するようになる。
だが一番の歌唱力を誇るエフィーはいつまでも脇役でいることに不満だった。
マネージャーのマーティーを追い出したカーティスはドリーメッツを独立させて、その名も「ザ・ドリームズ」として売り出そうとする。
ようやくリードシンガーになれると思ったエフィーだが、カーティスはディーナをリードにする決断を下した。
テレビ向けに一番の美人であるディーナをフューチャーしようというのだ。
しかも今までエフィーと付き合っていたカーティスは私生活でもディーナに鞍替えしていた。
グループの活動に支障をきたすようになったエフィーはついにクビを言い渡された。
こうして新メンバーになったザ・ドリームズは瞬く間に人気を獲得していく。
それから8年の歳月が流れディーナは世界的なスーパースターとなり、カーティスと結婚していた。
一方でカーティスの子を産んだエフィーはマーティーの協力を得てクラブシンガーとして再出発を始めていた。
やっとの思いで出したエフィーの新曲を盗んでザ・ドリームズに歌わせてしまうカーティス。
怒ったエフィーやマーティーらはカーティスのレコード会社に乗り込み、怒りをぶつけた。
そして独善的なカーティスに対する不信感を抱えてきたディーナも、ついに離婚を決意するのだった。
こうしてバラバラになってしまったザ・ドリームズの解散コンサートが地元で行われる。
最後の曲でエフィーが現れ、四人になったザ・ドリームズは感動的なパフォーマンスを繰り広げるのだった。
寸評
ストーリーはさして目新しいわけではない。
それなのに、ありきたりとも思える話をここまで見せるのはやはりミュージカルという形態をとっているからだろう。
歌がスゴいし、曲がみんな良いし、歌い手も素晴らしい。
ブロードウェイという素地を持つ米国エンタテインメントは本当に豊かだと感じさせる。
コーラスグループが成り上がっていく物語なので、ミュージカル特有の突然歌いだすと言う異和感を感じさせず安心してみることが出来るのもいいと思う。
出演者のネームバリューとしてエフィを演じたジェニファー・ハドソンは助演扱いだが、途中までは彼女が主演級で「見てくれが悪い」という役柄どおりの外見に似合わず歌はバツグンだ。
後半の主役を務めるのが大スターのビヨンセ・ノウルズが演じたディーナだが、このディーナはルックスがいいだけでリードボーカルに抜擢され、歌のまずさをカーティスがミキシングでごまかしているという役柄である。
そのような設定をビヨンセがよく受けたものだと思うが、そんな設定などどこ吹く風で、やはりビヨンセの歌う「ワンナイト・オンリー」のディスコバージョンはとても良かった。
ビヨンセの抑え目な演技と歌がジェニファー・ハドソンと好対照で雰囲気を高めていたと思う。
美形の女性が中心に配置されるのは、日本においても「キャンディーズ」の伊藤蘭が最終的にセンターになったのと同様で、ビジュアル的には仕方のないことなのかもしれない。
途中でデトロイトの暴動などが挿入されるが、デトロイトが米国の中でも黒人の比率が多いと映画の中でもチラと描かれていて、この町が貧富の差が大きい都市であるという点も考慮しておいた方がいいのかもしれない。
そこには潜在的な黒人差別もあって、苦労しながらやってきたドリームガールズのメンバーややスタッフ、中でもエフィーにとって、カーティスのやり方は金持ちの白人たちに媚びているようにしか見えない。
同時に、カーティスが卑怯な手段を使ってまで営業した理由もそこにあったのだろう。
この街から黒人がなしえなかった道を切り開かねばならなかった彼の立場も理解できるのだが、エフィには許しがたいことだったろうという背景が、物語を奥深いものにしていたと思う。
アメリカの地方都市が抱えていた問題や、60~70年代のモータウンサウンドのことが分かっているであるアメリカ人が見れば、僕が感じた以上の評価をこの作品に与えるかもしれない。
さらにこれは黒人系女性ボーカル・グループのザ・スプリームス(僕らの年代の者にはシュープリームスと呼ぶ)をモデルにしていて、ダイアナ・ロスとフローレンス・バラードの確執が題材となっているのもアメリカ人には身近なものに感じるかもしれない。
モータウンの社長ベリー・ゴーディ・ジュニアがダイアナ・ロスだけを前面に押し出しグループ名も、ダイアナ・ロス&ザ・スプリームスとなった経緯も描かれた通りの様だ。
実際のさよならコンサートがどのようなものであったかは知らないが、ここでのコンサートは男の野望や愛情よりも、女同士の友情が表に出てきていて感動的だ。
カーティスがコンサートを見ながら、エフィの子供を見つめるのも余韻があった。
カーティスのジェイミー・フォックス、ジミーのエディ・マーフィも歌が上手いんだと感心させられた。
監督 ビル・コンドン
出演 ジェイミー・フォックス
ビヨンセ・ノウルズ
エディ・マーフィ
ジェニファー・ハドソン
アニカ・ノニ・ローズ
ダニー・グローヴァー
ストーリー
1962年。デトロイトのヴォーカルトリオ「ドリーメッツ」は音楽業界に打って出ようとしている野心家・カーティスにスカウトされた。
彼女たちはソウル界のローカルスター、ジミー・アーリーのバックコーラスとしてツアーに参加するようになる。
だが一番の歌唱力を誇るエフィーはいつまでも脇役でいることに不満だった。
マネージャーのマーティーを追い出したカーティスはドリーメッツを独立させて、その名も「ザ・ドリームズ」として売り出そうとする。
ようやくリードシンガーになれると思ったエフィーだが、カーティスはディーナをリードにする決断を下した。
テレビ向けに一番の美人であるディーナをフューチャーしようというのだ。
しかも今までエフィーと付き合っていたカーティスは私生活でもディーナに鞍替えしていた。
グループの活動に支障をきたすようになったエフィーはついにクビを言い渡された。
こうして新メンバーになったザ・ドリームズは瞬く間に人気を獲得していく。
それから8年の歳月が流れディーナは世界的なスーパースターとなり、カーティスと結婚していた。
一方でカーティスの子を産んだエフィーはマーティーの協力を得てクラブシンガーとして再出発を始めていた。
やっとの思いで出したエフィーの新曲を盗んでザ・ドリームズに歌わせてしまうカーティス。
怒ったエフィーやマーティーらはカーティスのレコード会社に乗り込み、怒りをぶつけた。
そして独善的なカーティスに対する不信感を抱えてきたディーナも、ついに離婚を決意するのだった。
こうしてバラバラになってしまったザ・ドリームズの解散コンサートが地元で行われる。
最後の曲でエフィーが現れ、四人になったザ・ドリームズは感動的なパフォーマンスを繰り広げるのだった。
寸評
ストーリーはさして目新しいわけではない。
それなのに、ありきたりとも思える話をここまで見せるのはやはりミュージカルという形態をとっているからだろう。
歌がスゴいし、曲がみんな良いし、歌い手も素晴らしい。
ブロードウェイという素地を持つ米国エンタテインメントは本当に豊かだと感じさせる。
コーラスグループが成り上がっていく物語なので、ミュージカル特有の突然歌いだすと言う異和感を感じさせず安心してみることが出来るのもいいと思う。
出演者のネームバリューとしてエフィを演じたジェニファー・ハドソンは助演扱いだが、途中までは彼女が主演級で「見てくれが悪い」という役柄どおりの外見に似合わず歌はバツグンだ。
後半の主役を務めるのが大スターのビヨンセ・ノウルズが演じたディーナだが、このディーナはルックスがいいだけでリードボーカルに抜擢され、歌のまずさをカーティスがミキシングでごまかしているという役柄である。
そのような設定をビヨンセがよく受けたものだと思うが、そんな設定などどこ吹く風で、やはりビヨンセの歌う「ワンナイト・オンリー」のディスコバージョンはとても良かった。
ビヨンセの抑え目な演技と歌がジェニファー・ハドソンと好対照で雰囲気を高めていたと思う。
美形の女性が中心に配置されるのは、日本においても「キャンディーズ」の伊藤蘭が最終的にセンターになったのと同様で、ビジュアル的には仕方のないことなのかもしれない。
途中でデトロイトの暴動などが挿入されるが、デトロイトが米国の中でも黒人の比率が多いと映画の中でもチラと描かれていて、この町が貧富の差が大きい都市であるという点も考慮しておいた方がいいのかもしれない。
そこには潜在的な黒人差別もあって、苦労しながらやってきたドリームガールズのメンバーややスタッフ、中でもエフィーにとって、カーティスのやり方は金持ちの白人たちに媚びているようにしか見えない。
同時に、カーティスが卑怯な手段を使ってまで営業した理由もそこにあったのだろう。
この街から黒人がなしえなかった道を切り開かねばならなかった彼の立場も理解できるのだが、エフィには許しがたいことだったろうという背景が、物語を奥深いものにしていたと思う。
アメリカの地方都市が抱えていた問題や、60~70年代のモータウンサウンドのことが分かっているであるアメリカ人が見れば、僕が感じた以上の評価をこの作品に与えるかもしれない。
さらにこれは黒人系女性ボーカル・グループのザ・スプリームス(僕らの年代の者にはシュープリームスと呼ぶ)をモデルにしていて、ダイアナ・ロスとフローレンス・バラードの確執が題材となっているのもアメリカ人には身近なものに感じるかもしれない。
モータウンの社長ベリー・ゴーディ・ジュニアがダイアナ・ロスだけを前面に押し出しグループ名も、ダイアナ・ロス&ザ・スプリームスとなった経緯も描かれた通りの様だ。
実際のさよならコンサートがどのようなものであったかは知らないが、ここでのコンサートは男の野望や愛情よりも、女同士の友情が表に出てきていて感動的だ。
カーティスがコンサートを見ながら、エフィの子供を見つめるのも余韻があった。
カーティスのジェイミー・フォックス、ジミーのエディ・マーフィも歌が上手いんだと感心させられた。
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