おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

シカゴ

2019-07-08 08:21:23 | 映画
「シカゴ」 2002年 アメリカ


監督 ロブ・マーシャル
出演 レニー・ゼルウィガー
   キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
   リチャード・ギア
   クイーン・ラティファ
   ジョン・C・ライリー
   テイ・ディグス
   ルーシー・リュー
   クリスティーン・バランスキー

ストーリー
1920年代、シカゴ。
ヴォードヴィルのスターを夢見るロキシー・ハートは、人妻でありながら、自分をショーに売り込んでくれるというケイスリーと浮気していたが、その言葉が嘘だったことを知り、彼を撃ち殺し逮捕されてしまう。
一方、ロキシーの憧れの歌姫、ヴェルマ・ケリーも殺人罪で逮捕されていた。
しかしヴェルマは女看守長ママ・モートンを買収して敏腕弁護士ビリー・フリンを雇い、夫と妹に裏切られた被害者として自分を演出し、スターとしてのステイタスをさらに上げている。
それを真似ようとしたロキシーは、お人好しの夫エイモスを使ってビリーを雇う。
ロキシーはマスコミの同情を買い、シカゴ史上最もキュートな殺人犯として獄中から一世を風靡する。
スターの座を得たロキシーはヴェルマを見下すが、社交界の花形令嬢キティーが殺人事件を起こした途端、マスコミの関心はそっちに移った。
ロキシーは巻き返しを図り、ビリーと共に無罪判決を勝ち取る賭けに出る・・・。


寸評
物語の中で人物が登場すると、やがて彼らは衣装をまとい酒場のステージや舞台のステージで歌いだす。
この切り替わりがスピーディで、舞台レビューと映画が一体化して観客に迫ってくる迫力が圧倒的で上質なステージを見ているようだ。
繰り広げられるダンスとジャズ・ナンバーにのめり込ませるテンポとカメラワーク、カット割の素晴らしさは日本映画がまったくかなわない所で、すごいなーと感心してしまう一級のミュージカル映画だ。

ロキシーとヴェルマは刑務所の女性棟に監禁されているが、管理しているのはママ・モートンと呼ばれている女性看守で、彼女は賄賂で囚人たちに便宜を図っているのだが、このママ・モートンの歌も恰幅同様に迫力があるものだった。
ロキシーは騙した男に逆上し、ヴェルマは夫を妹に寝取られ、それぞれ男を射殺して逮捕されている。
他の囚人たちも多かれ少なかれ男絡みの事件で収監されているのだが、その彼女たちが刑務所で繰り広げるダンスシーンは迫力があった。
真っ赤なライトがシンプルな牢屋のセットを浮かび上がらせ、そこで囚人たちが歌い踊ると、もうそれはブロードウェイの舞台そのものだ。
ダンスシーンは、基本的に主人公の妄想という設定になっている。
ロキシーは敏腕弁護士のビリー・フリンを雇うが、このビリーが凄腕弁護士なのか悪徳弁護士なのかよくわからないキャラクターで、被告を無罪にするためならでっち上げなどはお手の物で、頭が悪いロキシーが余計なことを言わないように、ビリーが代わってマスコミに答えるシーンでは腹話術になり、ロキシーはビリーに操られる人形になる舞台らしい楽しい場面になったりもする。
カタリンという無実の罪で囚われている女囚の絞首刑場面でも同様の演出効果で、この演出手法は最初から最後まで貫かれていて、それがこの映画の特徴でもあり素晴らしい部分でもある。
人気をさらわれそうになったロキシーがとっさに妊娠騒動をおこしたのをみて、ヴェルマが「あのアマ!」と叫ぶシーンは包括絶倒でお腹が痛くなった。
そんなコミカルなシーンを併せ持った上級ミュージカルだと思う。
ビリーがロキシーの日記に対する反論を行う場面ではリチャード・ギアのタップダンスが重なり、観客である僕は裁判劇などそっちのけ状態だった。

ヴェルマ・ケリーを演じるキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、僕にとっては洋画にのめり始めた頃に見た「黄金の七人」に出ていたロッサナ・ポデスタを髣髴させるボリュームある身体をしている。
それにもかかわらず、あの身のこなしはすごいし、逆にあの体力がないと勤まらないのかもしれない。
ショービジネスに夢見る人の底辺の広さを感じさせる。
ショービジネスといえば、弁護士のビリーにとっても裁判は金儲けの手段で、ある意味ショービジネスなのだという所が面白く、最後でロキシーとヴェルマがコンビを組んでステージに立ち、小道具にマシンガンを持ち出したときに見せるリチャード・ギアの「やってくれるじゃないか」とでも言いたいような苦笑いがそう思わせた。
ロバート・ワイズの「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」、ジャック・ドウミの「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」などと共に最良ミュージカルの仲間に加えておこう。 本当に面白い!


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