おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

スタア誕生

2021-04-17 05:48:35 | 映画
「スタア誕生」 1954年 アメリカ


監督 ジョージ・キューカー
出演 ジュディ・ガーランド
   ジェームズ・メイソン
   ジャック・カーソン
   アマンダ・ブレイク
   チャールズ・ビックフォード

ストーリー
有名な映画スター、ノーマン・メインがハリウッド映画基金募集ショーの会場に酔って現れた。
撮影所長ニールは宣伝部長リビーに命じ、メインの出場を抜いて番組を進めさせたが、メインは舞台に飛び出してしまった。
出演していたジャズ歌手のエスターは酔ったメインを巧みにリードしてその場をうまくとりなした。
家に送り帰されたメインは真夜中町に出、ダウンビート・クラブで歌うエスターに会って映画出演をすすめた。
ヴィキー・レスターの芸名で出演したミュージカル映画は大成功で、彼女の名は一躍有名になった。
メインとエスターは結婚し、2人は幸福であると思われた。
しかし、メインの酒量は上るばかりで人気は次第に落ち、反対にエスターの人気は旭日昇天の勢いだった。
そしてついにアカデミー主演女優賞を獲得した。
授賞式の夜、メインは酒に酔いしれて現れ、エスターをやゆし、頬を打つまでの醜態を演じた。
メインはアルコール中毒治療のため病院に入った。
だが、ふと会った宣伝屋リビーに面罵され、その衝撃をまぎらわすためまた酒浸りになった。
そのあげく、警察に留置され、エスターと撮影所長の尽力で釈放される有様だった。
メインは海岸の自宅へ帰って静養していたが、エスターが女優を辞めて妻としてメインに尽くすと撮影所長に語るのをきき、エスターの愛情の深さに打たれた。
その夕方、メインは海に入って自殺した。
エスターの嘆きは一方ならぬものであった。
が、友人のダニーから、メインの死はエスターの成功を祈る心から出たと説ききかされた。
そして彼女はハリウッド映画救済資金のショーにノーマン・メイン夫人として華華しくカムバックしたのだった。


寸評
ジュディ・ガーランドと言えば先ず「オズの魔法使」のドロシー役が思い浮かび、本国のアメリカでは今でも人気のある作品の様だが日本人好みの作品でないように思う。
したがって僕はこの作品の方が自分の感性に合っている。
ジュディ・ガーランドは人気女優ではあったが、私生活では薬物や性的なスキャンダルが多かった女優でもある。
47歳で睡眠薬の過剰摂取によりバスルームで死去し、自殺と思われているから最後までスキャンダラス女優だったことになる。

ここでのジュディ・ガーランドは撮影中に問題も起こしていたようだがなかなかいい。
ミュージカル映画だが歌うのはジュディ・ガーランドだけと言っても過言でない。
劇中映画の中であったり、撮影スタジオでの撮影中の模様だったりで、劇中劇の中で歌われるミュージカル・ナンバーと言った風で、今見ると古いタイプのミュージカル映画といった感じを受ける。
監督の了承のもとに公開時カットされた部分も付け加えられたが、フィルムを紛失していた部分はスチール写真に置き換えられている。
知らないで見ると何か斬新な演出のように感じ、どうしてこのシーンをスチールにしたのだろうと想像を巡らせて見ていたが、調べてみるとそのような事情だった。

ノーマン・メイン (ジェームズ・メイソン)はアルコール中毒気味だがハリウッドの人気俳優で、撮影所の中に自分専用の建物を用意されているぐらいなので、専属俳優の中でも大スターだと言うことがわかる。
(日本でも五社が健在だったころには、スタジオに大物俳優だけの個室があてがわれていたと聞く)
エスター・ブロジェット(ジュディ・ガーランド)はノーマンに見いだされヴィッキー・レスターとして売り出す。
ノーマンの心配りで主演女優の代役を射止めスターダムに駆け上がる。
無名の女の子が見出されてスターダムを上り詰めるというストーリーは珍しいものではない。
文字通り、タイトル通りのスタア誕生物語である。

ノーマンとエスターが結婚するくだりは微笑ましい。
人気スター通しの結婚だが、やがてノーマンはアルコールによる悪行がたたり干されていく。
ヴィッキーとなったエスターは人気が急上昇で忙しい。
廻りの人々のノーマンを見る目が違ってきて、ヴィッキーの夫とみられるだけになり仕事もない。
ヒモ状態をののしられ、酒浸りとなり更生施設に入院となってしまうが、エスターのノーマンへの愛は不変である。
その愛の深さを知ったノーマンは彼女を思いながら自殺してしまう。
人々の興味をよそに彼女は嘆き悲しみ自宅に閉じこもってしまうが、バンド仲間だったダニーに励まされチャリティショーに出かける。
司会者が夫を亡くしたばかりのヴィッキーが欠席すると会場に伝えたところで、ヴィッキーがやってくる。
そしてヴィッキーは「ノーマン・メイン夫人です」と自己紹介するのだが、このシーンは泣かせる。
僕などは思わず涙がこぼれてしまった。
途中で少しだれるところもあるが、このラストシーンは感動的だった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿