「ビガイルド 欲望のめざめ」 2017年 アメリカ
監督 ソフィア・コッポラ
出演 コリン・ファレル ニコール・キッドマン
キルステン・ダンスト エル・ファニング
ウーナ・ローレンス アンガーリー・ライス
アディソン・リーケ エマ・ハワード
ストーリー
南北戦争さなかの1864年、アメリカ南部のバージニア州。
世間から隔絶された女子寄宿学園には園長のマーサ、教師のエドウィナと5人の生徒が静かに暮らしていた。
ところがある日、負傷した北軍兵士マクバニーが見つかり、やむを得ず学園で看護することに。
男子禁制の園に突如現われた敵兵に女たちは警戒しつつも興味を抑えることができない。
女性に対して紳士的で美しいその男性と触れ合ううち、誰もが彼に心を奪われてゆく。
しかし、次第に彼女たちは情欲と危険な嫉妬に支配されるようになっていく。
学園の秩序を守るのか、それとも、欲望を選ぶのか。
彼女たちが最後に下した決断とは・・・?
寸評
心理スリラーといった趣のある作品だ。
昼間の映像は木漏れ日などの自然光を多用しているが、夜間の描写はランプやロウソクの光を用いて学園の鬱屈した空気とその中に潜む狂気を感じさせている。
女だけの世界に突然敵側の男が入り込んでくる。
男が無理やり侵入したのではなく、理由があるにせよ彼女たちが招き入れたのだ。
女たちは年齢に関係なく男に興味津々である。
女たちの心に秘めた思いが、わずかの仕草に現れてくる。
女たちが見せる微妙な動きがミステリアスだ。
女たちが男を求めている色情狂に見えてくる。
男は紳士的だが、やはり男だ。
粗野な男ではないが本性を見せだし、片足を失ってからは正体を見せたという感じである。
男は女たちを恫喝するが、女たちはそれでもひるんだ様子はなく、まるで男を支配しているようだ。
男は単純だが、女の心の底は計り知れない。
彼女たちには、何事もなかったかのように明日からの生活が待っているのだろうか。
女は怖いと思わせ、ソフィア・コッポラらしいともいえる雰囲気を出した作品だったと思うが、僕は「ロスト・イン・トランスレーション」ほどのインパクトを感じなかった。
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