或る日の、或る街の、或る人々 ― といった風景を、
切り取ってきて、フィルムにおさめたような作品でした。
レンズが捉えているより、以前の日々であっても、
そして、これ以降にも、彼らの日常は続いていくし、
カメラの位置を、ほんの少しだけ横にズラせば、
また別の人々の日常が、同じようにして、
きっと、そこには映し出されていく筈。
鑑賞後は、そんな印象を受けました。
作品の舞台が、現代のLAということで、
一見、人種差別を主テーマに据えているようにも思えますが、
実はもっとシンプルで、根源的なもの、
< 人間 > そのものを、描いたのではないかなぁ。
自分とは違うもの = “ 他者 ” に対する、意識の向け方。
すべての忍耐が、必ずしも報われるわけではないという事実。
上手くいかない時は、何をやってもダメという間の悪さ。
普段は悪態をつきたくなるばかりの人間が、時に見せる意外な善行。
一方で、善人そうだった人物が、突然の不運に見舞われる人生の皮肉。
そうしたエピソードの連続を目にしながら、
緊迫感はあっても、不思議と荒んだ気持ちにならなかったのは、
錠前屋の親子の 「 透明マント 」 のような挿話が、
絶妙のタイミングで配されていたからでしょう。
この辺り、フィクションならではの妙を感じさせられました。
アカデミー賞作品賞受賞ということで、
ドラマチックな展開を期待して足を運んだ人には、
結構、肩透かしな印象かもしれませんが、
私は逆に、物語を淡々と繋いでいくところが気に入りました。
M・ディロンをはじめ、役者たちの演技も評判通り見応えがあり、
予想以上に、面白く鑑賞することができた作品です。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画 『 クラッシュ 』
◇原題:Crash
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ )
◇鑑賞日:2006. 4.13. 映画館にて
切り取ってきて、フィルムにおさめたような作品でした。
レンズが捉えているより、以前の日々であっても、
そして、これ以降にも、彼らの日常は続いていくし、
カメラの位置を、ほんの少しだけ横にズラせば、
また別の人々の日常が、同じようにして、
きっと、そこには映し出されていく筈。
鑑賞後は、そんな印象を受けました。
作品の舞台が、現代のLAということで、
一見、人種差別を主テーマに据えているようにも思えますが、
実はもっとシンプルで、根源的なもの、
< 人間 > そのものを、描いたのではないかなぁ。
自分とは違うもの = “ 他者 ” に対する、意識の向け方。
すべての忍耐が、必ずしも報われるわけではないという事実。
上手くいかない時は、何をやってもダメという間の悪さ。
普段は悪態をつきたくなるばかりの人間が、時に見せる意外な善行。
一方で、善人そうだった人物が、突然の不運に見舞われる人生の皮肉。
そうしたエピソードの連続を目にしながら、
緊迫感はあっても、不思議と荒んだ気持ちにならなかったのは、
錠前屋の親子の 「 透明マント 」 のような挿話が、
絶妙のタイミングで配されていたからでしょう。
この辺り、フィクションならではの妙を感じさせられました。
アカデミー賞作品賞受賞ということで、
ドラマチックな展開を期待して足を運んだ人には、
結構、肩透かしな印象かもしれませんが、
私は逆に、物語を淡々と繋いでいくところが気に入りました。
M・ディロンをはじめ、役者たちの演技も評判通り見応えがあり、
予想以上に、面白く鑑賞することができた作品です。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画 『 クラッシュ 』
◇原題:Crash
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ )
◇鑑賞日:2006. 4.13. 映画館にて