末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

りかさん / からくりからくさ

2006-03-31 22:47:54 | 本のはなし(和書)
先月の エッセイ にひきつづき、
梨木香歩さんの本 ( 今回は小説 ) を読んでいました。
『 りかさん 』 と 『 からくりからくさ 』 です。

『 りかさん 』 は、私が梨木さんの名前を知るきっかけとなった
作品で、文庫化されてしばらくたった頃に購入しました。
その後、『 りかさん 』 の後日談が書いてある
( でも、出版順序としてはこちらが先 ) という作品、
『 からくりからくさ 』 も文庫本で購入。

気に入った作品の “ 後日談 ” や “ 番外編 ” を読むのは、
ある種、賭けのようなところがあるといつも思います。
最初の作品で、読者が抱いたイメージや期待と、
作者の目指そうとする作品世界の方向性が、
必ずしも一致するとは限らないので。。
始まりは、あまり気にならない程度の小さな差であっても、
回を重ねていくと、開きは大きくなってしまいます。
意外性のあり過ぎる展開で、思わず 「 これはこれで良し 」 と言える場合と、
手ひどく裏切られたような気持ちになる場合と、本当に、ケースはまちまち。

『 りかさん 』 と 『 からくりからくさ 』 は、
両者の世界観の齟齬というような、居心地の悪さを味わうこともなく、
読んで良かったなと思うことができる、作品同士の関係が保たれています。
ストーリー的には、ちょっと寂しい感情も湧きあがってきますが、
そうした気持ちも、出版順ではなく、物語の時系列にそって読むことで、
一種の < 通過儀礼 > ― 登場人物たちの、そして読者の ― として
うまく昇華することが可能なように思えます。

蓉子と、麻子さんと、りかさんの物語を読んでいると、
静かにしゃんと背筋を伸ばし、その季節の風を頬にうけて、
当たり前のことを、ちゃんとしようという気分になります。
そして、出汁をきちんと取ったお味噌汁と、
ふっくらとした塩おむすびと、お漬物が食べたくなるのでした ^-^

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りかさん
 『 りかさん 』
  ( 梨木香歩 著 / 新潮文庫 )

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からくりからくさ
 『 からくりからくさ 』
  ( 梨木香歩 著 / 新潮文庫 )

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