末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

ミッドナイト・イン・パリ

2013-11-25 21:09:43 | 映画のはなし
11/16(土)~12/6(金)まで、
角川シネマ有楽町にて開催されている
We Love ウディ・アレン 」の特集上映で見てきました。

映画の冒頭、数分間にわたり、
パリの美しい街並みがスクリーンに映し出され、
そこから展開されるのは、パリを舞台にした、大人のおとぎ話。

真夜中を告げる鐘と共に現れる、
クラシックなプジョーに乗って行き着く先は、
主人公のギルが憧れて止まない、1920年代、"黄金時代" のパリ。
そこでは、フィッツジェラルド夫妻や、
コール・ポーター、ヘミングウェイ、ダリ等、
歴史に名を残す芸術家たちが目の前に!
彼らと交流し、ガートルード・スタインのサロンでは、
書きかけの小説に対する、批評と手ほどきを受け、
更には、かつてはモディリアーニの、
今はピカソの愛人である、美女アドリアナと出会い、恋に落ちる。。

自分の生きる時代・世界にうまく馴染めない主人公が、
過去にタイムスリップしたり、異世界へと旅立ち、辿り着いた先の世界で活躍する
―― という設定は、ファンタジー作品で割りと多いように思います。
(私の場合、本で読んだ物語の方が、印象に残っていますが)
これらの作品では、異世界での活躍を通して成長した主人公が、
やがて、自分が本来 "在るべき" 時代・世界で生きていくことの大切さに気づき、
現実世界へ戻って来る ―― というのが王道ですね。

この「ミッドナイト・イン・パリ」でも、ギルがアドリアナと共に、
彼女が憧れる1890年代 "ベル・エポック" のパリへと行き着き
(まさかの、入れ子構造なタイムトラベル!)、
そこで出会ったロートレック、ドガ、ゴーギャンたちからは、しかし、
"ルネサンス期こそが、理想の時代!!" と聞かされ、
ようやく、"黄金時代" なんて、未来の人間が勝手に抱く、懐古主義の幻だと気づくのです。

アドリアナとの別離が決定的となる瞬間は、
ちょっと、ほろ苦風味。

幻の過去に別れを告げ、
現実の世界で、自分自身の生き方と向き合うべく、
新たな一歩を踏み出したギルですが、
そんな彼に、最後に出会いが訪れたのは、
ギルが成長したから掴めたチャンス、という事なのかな?

さて、実はこの作品、
私にとっての、ウディ・アレン初鑑賞作品でした。

ウディ・アレンの映画は、どうも苦手な印象が強く、
これまでも、食わず嫌い気味に敬遠してきた作品があるのですが、
「ミッドナイト・イン・パリ」は周囲の評判も良く、かなりオススメもされたので、
せっかくだからと、映画館まで足を運んだのですけれど、
結論から言えば、「やっぱり苦手かなぁ」という印象は、変わらずでした。

ストーリー展開や、画面の作り込み、映像の綺麗なところ等は、
どちらかと言えば、好みに合っていたのですが、
ただ一点、主人公に感情移入しきれないことが、大きな壁となり、立ち塞がりました。
前半はそこまででもなかったのですが、アドリアナにピアスを贈ろうとしたギルが
最初に取った行動を見て、一気に引いてしまって。。

だいぶ舞い上がっていたようだし、時間も無かったのかもしれないけど、
あろうことか、自分の婚約者のパールピアスをくすねて、
プレゼントに偽装するとは ・・ ね。

結局、その後に重なった偶然のお陰で、
盗品を贈り物にすることは無くなったけれど、
このシーンを見て感じた、「あぁ~、やっぱり嫌だなぁ」という気持ちが、
何だか象徴的となって、見終わった時には、
「映画として悪くはないけど、リピートは無いな」と、
そして、「ウディ・アレン作品は、やっぱり合わない」に、至りました。

少々もったいない気もしますが、
誰にも、合う、合わない、がある以上、仕方が無いですね。

ちなみに、本編終了後に気になったのは、
主人公ギルの "これから" ではなく、
その後の "アドリアナ" と、
"探偵は無事、助かったのか" 。
脇役陣は、他にも、結構いろいろと気になったり、
興味を引かれたりもしたんですけどねぇ。。


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  映画 『ミッドナイト・イン・パリ』

  ◇原題:Midnight in Paris
  
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版
           IMDb ( 関連ページ

  ◇鑑賞日:2013.11.23. 映画館にて
Midnight in Paris