末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

NTライブ/コリオレイナス

2014-04-30 09:44:10 | 映画のはなし
NTライブ「コリオレイナス」を見てきました。

シェイクスピアが後期に手掛けた戯曲で、
古代ローマを舞台にした、政治的対立と復讐が引き起こす悲劇です。

主要キャストは、主演のコリオレイナス役をT・ヒドルストン、
友人メニーニアス役を、M・ゲイティス
敵将オーフィディアス役を、H・フレイザー、が演じています。

ある意味、子どものように一本気で頑なな高潔さが、
仇となり、破滅への道を突き進む主人公に対し、共感とまでは言えないものの、
気持ちは分かる ・・ と思いながらの鑑賞でした。

また、煽られ、集団化して無責任に叫ぶ民衆や、
いざという局面では役に立たない護民官に、毒親 ―― など、
ついつい、思いを巡らせてしまうものが十分にあります。
物語の舞台は古代ローマで、執筆されたのは400年前のイギリスですが、
時代を越えた普遍性を備えている、ということですね。

あと、シェイクスピアの戯曲には、笑える台詞が結構あるのが意外でした。
2月に RSCライブ「リチャード2世」を見た時も そうで、驚いたのですよね。

まぁ、私の場合、日本語字幕を通してでしか、笑えないのですが。

字幕と言えば、誤字・脱字がかなりありました。
フランケンシュタイン 」でも同様でしたから、
これが、NTライブの標準仕様なのかしら?

台詞の長さに較べて、字幕が短く、かなり省かれている? と感じた箇所も。
例えば、コリオレイナスの、ローマからの追放が決まった場面と、
復讐のために、ローマに侵攻してきた場面。
どちらも、彼をドラゴンに喩えた言い回しがあったのに、
前者の "Lonely Dragon" は字幕に訳されていなくて、
文学作品的に、こうした細部は大切に扱って欲しいなと思ったり。

それでも、前回は、オープニング映像の "NTの宣伝" や "今回の舞台" が、
いきなり字幕無しのスパルタ方式だったのに対し、
(インタビューに入ったら、さすがに字幕が出ましたが)
今回は、本編以外も全部字幕が付いたので、進歩はしていると思いたいです。

そう期待しておかないと、次回の「ザ・オーディエンス」は
オリジナル脚本なので、予習のしようも無くて、不安になりますから。

イギリスで評判の舞台を、日本に居ながらにして
見られる機会が、せっかく出来たんです。
企画元スタッフの皆さんには、字幕のレベル向上に頑張っていただいて
もっと、もっと、素敵なシリーズ展開に繋げていってほしいです!

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   NTライブ 『コリオレイナス』

  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ
  ◇鑑賞日:2014.4.28. 映画館にて