末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

ヘルプ ~ 心がつなぐストーリー ~

2012-05-30 00:59:28 | 映画のはなし
前売りを買っていたのに、結局、上映終了間際の駆け込みとなりました。

カラフルなポスター、笑えるタッチの予告編 ・・ と、
一見、軽やかで、明るいイメージが先行する作品ですが、
そこに描かれているのは "差別" であり、重いテーマを内包しています。

舞台となるのは、1960年代前半のミシシッピ州ジャクソン。

邦訳版で文庫本2冊にわたる原作は、未読なので分からないのですが、
映画では途中、M・エヴァーズの暗殺、ワシントン大行進、ケネディ大統領暗殺などが
ニュースとして流れてくるので、恐らく、1963年をメインに描いているようです。
公民権法が可決される1年前、公民権運動 がピークに達した時期が作品背景としてあります。

けれども、この物語が展開していくのは、ごくごくありふれた日常的場面においてばかり。
これは、メインキャストがすべて女性だからでしょうか。
家事・育児・ファッション・チャリティー活動・日曜日のミサ etc.. と、取り立てて特別とは思えない状況下で、
当たり前のように、平然と "差別" が蔓延っていることに、却ってこの問題の根深さを感じさせます。
人種差別はもちろん、貧富の差による差別に、性差別 ―― 。

それにしても、見事なアンサンブルでもって、
各々のキャラクターを個性的に見せてくれた女優陣が、素敵でした。
それぞれに相応しくデザインされた、色とりどりの'60年代ファッションに身を包み、
目にも美味しそうな南部料理の数々をはじめとする、選び抜かれた素材で造りこまれた画面のなか、
実にしぶとく、実に活き活きと、各自の役柄を演じていたのが非常に印象的です。

映画は最後、希望を持たせながらも、手放しのハッピーエンドとは違った結末を迎えます。
未だに差別問題が根強く残っている現代社会を見れば、これは妥当な展開と言えるでしょう。
それでも、静かに前を見つめて、歩き続けていく主人公の後姿を見ていると、
観客であるこちら側も、凛とした気持ちになりました。


■本日の覚書き
 同時期のミシシッピ州を舞台に、人種差別問題をかなりハードに描いている、
 『 ミシシッピー・バーニング 』 という映画があります。
 数年前に、見たい作品としてチェックしておきながら、未見のままとなっていました。
 良い機会なので、近々、鑑賞したいと思います。


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  映画 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

  ◇原題:The Help
  
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版
           IMDb ( 関連ページ

  ◇原作:「ヘルプ 心がつなぐストーリー
        (キャスリン・ストケット著/集英社文庫)

  ◇鑑賞日:2012.5.25. 映画館にて
The Help