末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

パターソン

2017-10-24 08:39:10 | 映画のはなし
平凡な日常を、積み重ねることができる "幸せ" に、
あらためて気づかせてくれる映画でした。

舞台はアメリカ、ニュージャージー州パターソン。
町と同じ「パターソン」という名前を持つバス運転手の、
月曜日から日曜日までの一週間が描かれます。
毎朝6:00~6:30の間に起床して、朝食をとり、徒歩で職場へ。
仕事を終えて帰宅した後は、愛妻ローラと会話を交わし、
愛犬マーヴィンとの散歩がてら、行きつけのバーで一杯飲んで一日が終了。

パターソンの生活は、実に見事にルーティン化されています。
朝はローラにキスをしてからベッドを出て、車庫からバスを発車させる前には同僚の愚痴を聞き、
帰宅時は、なぜか(笑)必ず傾いている玄関前のポストを真っ直ぐにしてから、家の中へ。

ぱっと見は同じながら、しかし、毎日の出来事には必ず違いがあって、
詩人でもあるパターソンは、その些細な違いから閃きを得て、詩を綴っていきます。

こういう生き方って良いな~と、素直に思いました。

映画をよくよく見ていけば、
パターソンの生活も、決してすべてが順風満帆とは言い切れず、
例えば、経済的にはそれほど余裕があるわけではないらしいこと、
ローラは自由に気ままに奔放で(でも、パターソンへの愛情はたっぷりだから良しv )、
仕事ではトラブルもあるし、家では、ちょっとしたうっかりから
マーヴィンの悪戯を招き、取り返しのつかない事態が発生したりします。

それでも、パターソンは決して荒れたり、取り乱したりはしません。
静かに事に対処し、他者への気遣いすら見せるような人柄で、
心のもやもやや動揺は、創作活動で昇華しているかのよう。
セルフコントロールのスキルが、惚れ惚れするくらい素晴らしいです。

長い人生、誰にでも、良いことと、悪いこととの両方が、それなりにくり返し訪れますが、
happy か unhappy かなんて、自分の心持ち次第で、いくらでも変えられるもの。
私は詩を書いたりはしませんが、どうせなら、日々を楽しく暮らしたい。
ささやかながら、心に潤いある生活のお手本がここにある、見終えた後、そんな気持ちになりました。

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   映画 『パターソン』

  ◇原題:Paterson
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ
  ◇鑑賞日:2017.10.9. 映画館にて