自分が演奏した曲で思い出深いものは こちら ですが、
演奏していないことで、却って個人的には存在感が強まっている曲もあります。
R=コルサコフの交響組曲 『 シェエラザード 』 です。
『 千夜一夜物語 』 を題材にした標題音楽的な楽曲で、
シャリアール王とシェエラザード王妃の物語を軸とした構成は、次の通り。
第1楽章 海とシンドバッドの船
第2楽章 カランダール王子の物語
第3楽章 若き王子と王女
第4楽章 バグダッドの祭 - 海 - 青銅の騎士の立つ岩での難破 - 終曲
オーケストレーションの大家だったR=コルサコフらしい、
各楽器の見せ場がふんだんに盛り込まれた作りとなっていて、
Fl&Piccパートでも、印象的なフレーズをたくさん受け持っています。
やはり、自分の担当していた楽器が活躍する曲には一際親しみを覚えますね。
今すぐは無理でも、それこそ、老後の楽しみでも構わないので、
再び、フルートとピッコロをはじめたいと思っている身としては、
( あんまり年を取ってからだと、後者は厳しいか ・・ )
こういう曲を聴くと、気持ち的にものすごく充実してきます (笑)
勿論、『 シェエラザード 』 という楽曲自体の持つ魅力の大きさが、
その根底にあることは言うまでもありません。
だから、自分の気力を補いたい時など、BGMとしてこの曲がよく登場します♪
*~*~*~*~*~*~*~*~*
ラフマP協2番 でハマりはじめたコンセルトヘボウ管を、
私の中で不動のものとした、決定盤と言える録音。
何よりもまず、オーケストラの音色が素晴らしい。
初めて聴いた時、あまりの響きの美しさに涙が出てきて、
まさか、目の前で実際に演奏しているならともかく、
録音された音で ( “ 旋律で ” ではない )
こんな経験をするとは思ってもみず、まったく喜ばしい驚きを味わいました。
コンドラシン&コンセルトヘボウ管の 『 シェエラザード 』 は、
壮麗な物語の流れにそった、スケール感あふれる演奏を展開しつつ、
その “ 語り口 ” の品位を保ち続けるという点でもまた、大いに魅せてきます。
当時のコンマス、H・クレッバースによる < シェエラザード の主題 > も、
光をはらんだ金糸がサラサラとこぼれ落ちていくかのような、
繊細な艶やかさと、端正な表現でもって奏でられ、
“ 美しく賢明 ” な王妃に相応しい気品が感じられます。
第1・4楽章で、< シェエラザード の主題 > の前後に挿入される、
「 はじまり はじまり 」 「 今宵はここまで ・・ 」 「 これにて おしまい 」
といった趣きのある木管セクションの節も、優美で柔和な雰囲気がピッタリ。
格調高い、絵巻物のようなこの演奏が、
交響組曲 『 シェエラザード 』 のマイベスト。
非常に大雑把ではありますが、オーケストラの音色は
◇中心点から周囲の空間へ向かい、響きが放射状に広がっていくタイプ
◇内側から水分が満ちるように、響きが球体状で膨らんでいくタイプ
に、大きく分けることが出来ると思います。
コンセルトヘボウ管の場合は後者。 “ 華やかさ ” では他者に一歩譲るも、
こっくりとした豊潤な音色には、繰返し味わいたくなる響きが内包されています。
ベイヌムの振る 『 シェエラザード 』 は、
瑞々しくストレートで、きりっと引き締まった感のある名演。
情緒的な旋律の多い曲にありがちな、感傷的にたっぷり揺らすような表現を排し、
シェエラザードの < 物語 > を語るよりも、
この曲を構成している < 音 > そのものを伝えることに焦点をあてて、
ACO最大の特長である “ 音色 ” を切り札に、勝負に出た印象があります。
『 シェエラザード 』 は、「 交響組曲 」 と呼ばれてはいるものの、
R=コルサコフ自身はその標題性を弱めたかったらしく、
曲を発表する際に、各楽章の副題を外そうとしたエピもあるようなので、
こうしたアプローチも、一つの解釈として可能です。
それにしても、かなりの快速テンポな演奏にも関わらず、
忙しなさを全く感じさせないところは、いっそ清々しいまでの美点と再認識。
ソロからトゥッティに至るまで、潤いに溢れた響きで満ちているベイヌム盤は、
じつに、往年のコンセルトヘボウ管を堪能できる魅惑の一枚。
21世紀になって登場した、世評の高い名盤。
ダイナミックで濃厚な、色彩感まばゆい世界が繰り広げられます。
一般的には、第4楽章の爆演っぷりに最も注目が集まるのでしょうか?
私は、このケレン味のある最終楽章の演奏が少々苦手。
中盤の、超絶技巧披露大会に突入してしまったような辺りから、
“ 指、擦り切れませんか?” とか “ 舌、千切れませんか?” とか、
その過剰な演出に気を取られて、音楽に集中できなくなってしまうので。
確かに、“ 人間ワザとは思えない ” と評された猛烈な高速アンサンブルを、
軽々とやってのける様などは、驚嘆すべきものがあるんですけどね。
逆に言えば、それ以外の箇所の演奏は本当にスゴイと思います。
もっと全編通して、ベタベタこってりで迫ってくるのかと身構えていたのですが、
第1~3楽章と、第4楽章の超絶技巧披露大会を除いた部分では、
鼻につきそうになる一歩手前で、ちゃんと引くべきところを引いている為、
その鮮やかなバランス感覚には、正直、目を見張らされました。
特に、第3楽章の柔らかな旋律を大胆ながらも、ゆったりたゆとうようにして
歌いあげる上手さは、群を抜いているのではないでしょうか。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
週が明けると10月になります。
この月替わりを機に、周囲に大きな変化が訪れます。
『 シェエラザード 』 のCDを手に取る回数が、何となく増えそうな予感。。
演奏していないことで、却って個人的には存在感が強まっている曲もあります。
R=コルサコフの交響組曲 『 シェエラザード 』 です。
『 千夜一夜物語 』 を題材にした標題音楽的な楽曲で、
シャリアール王とシェエラザード王妃の物語を軸とした構成は、次の通り。
第1楽章 海とシンドバッドの船
第2楽章 カランダール王子の物語
第3楽章 若き王子と王女
第4楽章 バグダッドの祭 - 海 - 青銅の騎士の立つ岩での難破 - 終曲
オーケストレーションの大家だったR=コルサコフらしい、
各楽器の見せ場がふんだんに盛り込まれた作りとなっていて、
Fl&Piccパートでも、印象的なフレーズをたくさん受け持っています。
やはり、自分の担当していた楽器が活躍する曲には一際親しみを覚えますね。
今すぐは無理でも、それこそ、老後の楽しみでも構わないので、
再び、フルートとピッコロをはじめたいと思っている身としては、
( あんまり年を取ってからだと、後者は厳しいか ・・ )
こういう曲を聴くと、気持ち的にものすごく充実してきます (笑)
勿論、『 シェエラザード 』 という楽曲自体の持つ魅力の大きさが、
その根底にあることは言うまでもありません。
だから、自分の気力を補いたい時など、BGMとしてこの曲がよく登場します♪
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◇ リムスキー=コルサコフ : 交響組曲 「 シェエラザード 」 作品35 ♪ 独奏 / H・クレッバース ( ヴァイオリン ) 演奏 / コンセルトヘボウ管弦楽団 指揮 / K・コンドラシン 録音 / 1979. 6. |
ラフマP協2番 でハマりはじめたコンセルトヘボウ管を、
私の中で不動のものとした、決定盤と言える録音。
何よりもまず、オーケストラの音色が素晴らしい。
初めて聴いた時、あまりの響きの美しさに涙が出てきて、
まさか、目の前で実際に演奏しているならともかく、
録音された音で ( “ 旋律で ” ではない )
こんな経験をするとは思ってもみず、まったく喜ばしい驚きを味わいました。
コンドラシン&コンセルトヘボウ管の 『 シェエラザード 』 は、
壮麗な物語の流れにそった、スケール感あふれる演奏を展開しつつ、
その “ 語り口 ” の品位を保ち続けるという点でもまた、大いに魅せてきます。
当時のコンマス、H・クレッバースによる < シェエラザード の主題 > も、
光をはらんだ金糸がサラサラとこぼれ落ちていくかのような、
繊細な艶やかさと、端正な表現でもって奏でられ、
“ 美しく賢明 ” な王妃に相応しい気品が感じられます。
第1・4楽章で、< シェエラザード の主題 > の前後に挿入される、
「 はじまり はじまり 」 「 今宵はここまで ・・ 」 「 これにて おしまい 」
といった趣きのある木管セクションの節も、優美で柔和な雰囲気がピッタリ。
格調高い、絵巻物のようなこの演奏が、
交響組曲 『 シェエラザード 』 のマイベスト。
◇ リムスキー=コルサコフ : 交響組曲 「 シェエラザード 」 作品35 ♪ 独奏 / J・ダーメン ( ヴァイオリン ) 演奏 / コンセルトヘボウ管弦楽団 指揮 / E・V・ベイヌム 録音 / 1956. 5. 22‐29. |
非常に大雑把ではありますが、オーケストラの音色は
◇中心点から周囲の空間へ向かい、響きが放射状に広がっていくタイプ
◇内側から水分が満ちるように、響きが球体状で膨らんでいくタイプ
に、大きく分けることが出来ると思います。
コンセルトヘボウ管の場合は後者。 “ 華やかさ ” では他者に一歩譲るも、
こっくりとした豊潤な音色には、繰返し味わいたくなる響きが内包されています。
ベイヌムの振る 『 シェエラザード 』 は、
瑞々しくストレートで、きりっと引き締まった感のある名演。
情緒的な旋律の多い曲にありがちな、感傷的にたっぷり揺らすような表現を排し、
シェエラザードの < 物語 > を語るよりも、
この曲を構成している < 音 > そのものを伝えることに焦点をあてて、
ACO最大の特長である “ 音色 ” を切り札に、勝負に出た印象があります。
『 シェエラザード 』 は、「 交響組曲 」 と呼ばれてはいるものの、
R=コルサコフ自身はその標題性を弱めたかったらしく、
曲を発表する際に、各楽章の副題を外そうとしたエピもあるようなので、
こうしたアプローチも、一つの解釈として可能です。
それにしても、かなりの快速テンポな演奏にも関わらず、
忙しなさを全く感じさせないところは、いっそ清々しいまでの美点と再認識。
ソロからトゥッティに至るまで、潤いに溢れた響きで満ちているベイヌム盤は、
じつに、往年のコンセルトヘボウ管を堪能できる魅惑の一枚。
◇ リムスキー=コルサコフ : 交響組曲 「 シェエラザード 」 作品35 ♪ 独奏 / S・レヴィーチン ( ヴァイオリン ) 演奏 / キーロフ歌劇場管弦楽団 指揮 / V・ゲルギエフ 録音 / 2001. 11. 23‐25. |
21世紀になって登場した、世評の高い名盤。
ダイナミックで濃厚な、色彩感まばゆい世界が繰り広げられます。
一般的には、第4楽章の爆演っぷりに最も注目が集まるのでしょうか?
私は、このケレン味のある最終楽章の演奏が少々苦手。
中盤の、超絶技巧披露大会に突入してしまったような辺りから、
“ 指、擦り切れませんか?” とか “ 舌、千切れませんか?” とか、
その過剰な演出に気を取られて、音楽に集中できなくなってしまうので。
確かに、“ 人間ワザとは思えない ” と評された猛烈な高速アンサンブルを、
軽々とやってのける様などは、驚嘆すべきものがあるんですけどね。
逆に言えば、それ以外の箇所の演奏は本当にスゴイと思います。
もっと全編通して、ベタベタこってりで迫ってくるのかと身構えていたのですが、
第1~3楽章と、第4楽章の超絶技巧披露大会を除いた部分では、
鼻につきそうになる一歩手前で、ちゃんと引くべきところを引いている為、
その鮮やかなバランス感覚には、正直、目を見張らされました。
特に、第3楽章の柔らかな旋律を大胆ながらも、ゆったりたゆとうようにして
歌いあげる上手さは、群を抜いているのではないでしょうか。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
週が明けると10月になります。
この月替わりを機に、周囲に大きな変化が訪れます。
『 シェエラザード 』 のCDを手に取る回数が、何となく増えそうな予感。。