時代に翻弄され、運命を狂わされてしまった家族が、
それでも、寄り添って生きていこうとする物語でした。
文化大革命の頃が舞台のため、凄惨な場面も覚悟したのですが、
(紅衛兵による吊し上げと自己批判を描写されるのが、私は苦手です)
そうした直接的なシーンは、ほぼ皆無でした。
けれど、精神的にやりきれない箇所は沢山あって。。
実の父親を、党に密告した娘。
そのショックの大きさから、これまでの心労も加わり、記憶障害となった妻。
文革終結後、帰還した夫が妻の記憶を取り戻そうと、様々に試みるも、
悉くが徒労に終わり、打ちのめされて、静かに耐える姿。
ピアノを奏でるシーンは、その美しさから余計に、哀しみが増していきます。
西洋音楽に触れ、フランス語も解す夫は、いわゆる "知識人" です。
逃亡犯になったのが文革終結の3年前、その時点で妻子とは10年以上会っていないため、
彼が "反革命分子" と見なされ、労働改造所送りになったのは、
文化大革命(1966年-1976年)に先んじて起きた、反右派闘争(1957年)での弾圧ですね。
お国柄、声高に体制批判をすることは無理なので、
全体的に、抑制された演出と描写になっています。
しかし、時が移っても、歴史的大混乱の犠牲者たちには傷みが続いていくこと、
また、愛情を持って添い遂げる生き方について、深く伝わってくる作品でした。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画 『妻への家路』
◇原題:帰来
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )
◇鑑賞日:2015.4.1. 映画館にて
それでも、寄り添って生きていこうとする物語でした。
文化大革命の頃が舞台のため、凄惨な場面も覚悟したのですが、
(紅衛兵による吊し上げと自己批判を描写されるのが、私は苦手です)
そうした直接的なシーンは、ほぼ皆無でした。
けれど、精神的にやりきれない箇所は沢山あって。。
実の父親を、党に密告した娘。
そのショックの大きさから、これまでの心労も加わり、記憶障害となった妻。
文革終結後、帰還した夫が妻の記憶を取り戻そうと、様々に試みるも、
悉くが徒労に終わり、打ちのめされて、静かに耐える姿。
ピアノを奏でるシーンは、その美しさから余計に、哀しみが増していきます。
西洋音楽に触れ、フランス語も解す夫は、いわゆる "知識人" です。
逃亡犯になったのが文革終結の3年前、その時点で妻子とは10年以上会っていないため、
彼が "反革命分子" と見なされ、労働改造所送りになったのは、
文化大革命(1966年-1976年)に先んじて起きた、反右派闘争(1957年)での弾圧ですね。
お国柄、声高に体制批判をすることは無理なので、
全体的に、抑制された演出と描写になっています。
しかし、時が移っても、歴史的大混乱の犠牲者たちには傷みが続いていくこと、
また、愛情を持って添い遂げる生き方について、深く伝わってくる作品でした。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画 『妻への家路』
◇原題:帰来
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )
◇鑑賞日:2015.4.1. 映画館にて