末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

旧作覚書き:「消えたフェルメールを探して -絵画探偵ハロルド・スミス-」ほか1作品

2014-11-22 09:55:24 | 映画のはなし
今月、DVDにて鑑賞した旧作映画の覚書きです。
ややネタバレがあります。

*~*~*~*~*~*~*~*~*

★トランス
 ( 原題 : Trance
   競売人がギャングと手を組み、オークション会場からゴヤの名画を盗み出しますが、
   途中、ケガを負い、絵画を隠した場所の記憶を失います。
   競売人は催眠療法を受けて、記憶を甦らせようとしますが ―― 。
   予想とはだいぶ違う展開でした。ひとことで言うなら、"女の恨みは怖い" 。
   暗示の力がそれほど万能ならば、もっと別の方向へ操れば良かったのに。
   映像や音楽は洒落た雰囲気で、最後も一見、さわやかにまとめているけれど、
   見ている側は正直、あまり爽快な気分は味わえませんでした。
   何故 "ゴヤ" なのか ・・ 、とか、
   途中々々に挿入される、前後の繋がりが不明なシーンなど、
   仕掛けられた伏線の類いは回収されたんですけどね。
   (謎が解け、意味を持った場面ピースがぴたりとはまっていく箇所は、
    「 マシニスト 」 を少し思い出しました)
   メインストーリーよりも、作中で触れられた、レンブラント「ガリラヤの海の嵐」や
   フェルメール「合奏」など、実際に盗難被害に遭い、
   事件以降、未だ見つからないという名画の行方に心惹かれます。


★消えたフェルメールを探して -絵画探偵ハロルド・スミス-
 ( 原題 : Stolen
   という訳で、今から約25年前、レンブラント「ガリラヤの海の嵐」や
   フェルメール「合奏」など計13作品が、アメリカはボストンにある、
   イザベラ・スチュワート・ガードナー・美術館 から盗み出された 未解決事件
   ドキュメンタリー映画を見ました。
   邦題で示されているように、今作では、盗難品の中でも
   フェルメールの「合奏」に焦点が当てられています。
   これは、映画を手掛けたR・ドレイファス監督が自身の若い頃に、
   まだ盗まれる前の「合奏」をイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で見て、
   展示されていた部屋との完璧な構図に衝撃を受け、
   何度も通ったという思い入れがあるからです。
   そのため、このドキュメンタリーでは、
    【1】美術品の盗難専門(!)の探偵、ハロルド・スミス氏による捜索
    【2】ガードナー夫人が美術品を蒐集し、美術館を創設するまで
    【3】フェルメール作品の魅力
   の三つの要素を行き来しながら、話が進んでいきます。
   【3】では、フェルメールの研究者や伝記作家の他に、
   フェルメールを絡めた小説作品の著者(「 真珠の耳飾りの少女 」の作者と、
   「 ヒヤシンス・ブルーの少女 」の作者)が出演していたのが興味深かったかな。
   フェルメールは、見る者の想像力を掻き立て、ドラマチックな要素を植えつけるのですね。
   (イザベラ・スチュワート・ガードナー・美術館の事件とは、
    また違いますが、フェルメール関連だと、ハン・ファン・メーヘレンによる、
    ものスゴく劇的な贋作事件 というのもありますね。)
   さて、話しをイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に戻して。
   盗まれた13の美術品の中から、もし、自分が生きている間に探し出され、
   再び誰もが鑑賞できるようになってほしい作品を一つ選ぶとしたら、
   皆さんはどれにしますか。やはり「合奏」が一番人気でしょうか。
   私は、フェルメールも好きだけれど、この13作品だったら、
   ドキュメンタリー中の【1】【2】のパートでも言及された、
   レンブラントの「ガリラヤの海の嵐」です。
   いずれの美術品も、せめて、修復不可能な絶望的コンディションは回避された状態で
   世界の何処かに在ってほしい、と願います。
   最後に、ハロルド・スミス氏のことを。この探偵さんは実在の人物で、
   とても個性的な魅力を持った方ですが、長期にわたる闘病の末に、
   志半ばでお亡くなりになられたのが非常に残念です。

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