ブログに 【音のはなし】 カテゴリーを作ってから、
気がつけば1年が過ぎていました。。
今回は、最初のエントリー で曲名を書いただけになってしまっていた (汗)
ブラームスの交響曲第1番の “ お気に入り ” を、取り上げたいと思います。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
ブラームスの交響曲第1番は、
下書きに着手してから、完成の日の目を見るまでに、
20年を越える歳月を要した大曲です。
入念な推敲を何度も重ね、がっちりと構築されていったこの曲は、
慎重に選び抜かれた音の一つ一つに至るまで、
並々ならぬ作曲者の気概が息づいているように感じられます。
― このようなエネルギーを持った楽曲を、
音色そのものの雄弁さが特長のオーケストラで演奏する時、
そこに、余計な演出は一切不要である。
まさに、そう言わんばかりの潔いスタンスでもって、
ベイヌムの指揮が、コンセルトヘボウ管を導いていきます。
私は、E・V・ベイヌムという人の、ビシッと一本、
筋が通ったような指揮ぶりが、とても好きです。
『 シェエラザード 』 の時もそうでしたが、
余分な感情を取り払い、イン・テンポでぐいぐい展開させつつも、
聴き手が何度でもリピートしたくなるような、
味のある音楽に仕上げてくるところが、この人の上手さだと思います。
勿体をつけてタメたり、意表をついて煽ったりなどはしない。
けれど、聴いていて心地良いと感じるタイミングで必ず、
きっちり望むべき音を響かせてくれる、その、バランス感覚の素晴らしさ。。
既に50年近く昔の演奏ながら、録音状態が良好なおかげで、
幾重にも重なり、溶け合った、ふくよかな音色を味わえるのは勿論、
弦の “ ぶーんっ ” と唸るような気配や、
音が消えゆく瞬間の、独特の空気感をまとった余韻など、
コンセルトヘボウ管 “ らしさ ” を楽しむといった点でも、申し分ありません。
私の愛聴盤になっている、ブラ1の端正な名演です。
クラシックの名曲の中でも、とりわけ人気の高い作品の一つと言える
ブラームスの交響曲第1番には、数多くの録音が存在します。
同じ指揮者&オケのコンビによる、複数種の録音などもあります。
< コンセルトヘボウ管によるブラ1の名演は? > と言えば、
個人的には上記の、ベイヌム指揮による全集に収められた演奏ですが、
< ブラ1を演奏する、コンセルトヘボウ管を堪能できる1枚は? > という
趣旨になると、こちらのDECCA盤を挙げたくなります。
― この違い、伝わりますでしょうか?
ちょっと大それた妄想をまじえて補足するならば、
「 もし、過去のコンセルトヘボウ管の名演に参加できるとしたら、
ブラ1の場合、どれが良い? 」 と問われて選ぶのが、DECCA盤ということ。
実に、気合い漲る、熱気をはらんだ演奏になっています。
感情的な演出は排す ・・ という基本的な姿勢は、多分、上記の全集盤と
変わらないと思いますが、ベイヌムの指揮の推進力というか、
覇気としては、断然こちらの方が上なんですよね。
その指揮に食らいつくようにして、楽器を鳴り響かせるオケのメンバー。
こんなレコーディングをした後の奏者って、一体どんな気分になるんでしょう。。
但し、残念ながらこの演奏には、第1楽章の後半で、
テンポ設定が強引に感じられる瞬間があります。
時間にすればわずか、ほんの数秒の出来事とは言え、
他の部分の緩急が、とても自然な流れになっているだけに、
一瞬のアンバランスが却って、印象に残ってしまうのが何とも言えず惜しい。
けれど、そうした点を差し引いてもなお、充分に余りある面白さが、
この演奏からは滲み出ているように思えます。
ベイヌムの意志的な指揮によって繰り出される、
コンセルトヘボウ管の充実した演奏ぶりを楽しめる1枚です。
巨匠となった指揮者と、伝統ある名門オケによって奏でられた、
堂々として品格のあるブラームス。
これは、2002年当時、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者に
ハイティンクが就任した際の、記念コンサートを収録したものですが、
こういう演奏を生で聴く機会に巡り合えた人は、とても幸運だと思います。
ハイティンクは奇を衒ったり、個性を押しつけたりするようなことはせずに、
そのゆったりとした指揮で、向かい合っているオーケストラの美点を、
楽曲に相応しい形でもって、深いところから引き出していくようです。
とにかく、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏が、うっとりする程に見事。
普通、オーケストラというのは、幾人もの奏者たちが集まって、
一つの音楽を作り上げていく訳ですが、シュターツカペレ・ドレスデンの場合、
その構成順序が、まるで逆のような印象を受けます。
“ シュターツカペレ・ドレスデン ” という名前の、一つの固有の楽器が
最初にまず存在して、その中に、ヴァイオリンの音が響く部分、
フルートの音が鳴る部分 ・・ といった各パーツがあるようなイメージ。
彼らのアンサンブルは、特定の楽器だけが突出して聴こえるようなこと無く、
すべての音が、このオケ特有のヴェールに包まれて、昇華していくかのようです。
ところで、シュターツカペレ・ドレスデンによるブラ1と言えば、
普通は ザンデルリンクとの録音 が有名なんですが、
残念ながら、現時点で私は未聴 ( 不勉強ですみません ・・ ) 。
次に聴くべきブラ1は、是非とも、こちらにしようと思います。
神格化された20世紀の大巨匠による、非常に有名なライヴ盤。
戦後、ティタニア・パラストを仮本拠に行なっていた、
BPOの演奏会を実況放送するために録音されたものなので、
音質的には、いま一つなところもあります。
正直、弱奏部の聴き取りにくさなどには、不満を感じないでもないですが、
「 超優秀録音で音質最高! でも演奏そのものには特長無し ・・ 」 な
ブラ1を聴く暇があったら、このライヴ盤を聴いた方が “ 絶対楽しい ” と思う。。
なお、基本的に私は、< 端正 > と評されるような演奏、
もしくは、< 中庸的な上手さ > と言われるような演奏が好みです。
フルトヴェングラーの場合、例えばテンポ設定一つとってみても、
彼自身の解釈でもって、自由自在なまでに大きく揺らして表現することは有名。
その点だけを見れば、“ お気に入り ” からは外れそうな気もしますが、
あれだけ独自の緩急をつけながらも、“ あざとさ ” を全く感じさせないところは、
やはり、他者には簡単に真似のできない素晴らしさだと思います。
このブラ1も、ライヴならでは ・・ という点があるのかもしれませんが、
ここまで “ 重くて、深くて、渋い ” ブラームスを、
自然な展開、かつ必然的な流れで為し得てしまうことに圧倒されます。
緊張感と力強さをともなった、BPOの音の存在感もすごいですね。
“ 名演 ” には、録音状態や個人の好みを越えた部分でもって、
きちんと訴えかけてくるものが “ ある ” 、ということを、
身をもって知るのにうってつけの1枚です。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
最後はブラ1ついでに ・・
のだめ、17巻をようやく読みました。
( って、今回ブラ1は出てきませんが )
そろそろ、終楽章 ― ということなんでしょうか。
のだめと千秋が音楽家として自立する為にも、
避けては通れない “ 正念場 ” になるのかなぁ。 2人とも頑張れ。。
それにしても、マルレのコンマスさん、いいぞ~♪
気がつけば1年が過ぎていました。。
今回は、最初のエントリー で曲名を書いただけになってしまっていた (汗)
ブラームスの交響曲第1番の “ お気に入り ” を、取り上げたいと思います。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
◇ ブラームス : 交響曲第1番 ハ短調 作品68 ♪ 演奏 / コンセルトヘボウ管弦楽団 指揮 / E・V・ベイヌム 録音 / 1958. 10. 6‐7. ( PHILIPS ステレオ録音 ) |
ブラームスの交響曲第1番は、
下書きに着手してから、完成の日の目を見るまでに、
20年を越える歳月を要した大曲です。
入念な推敲を何度も重ね、がっちりと構築されていったこの曲は、
慎重に選び抜かれた音の一つ一つに至るまで、
並々ならぬ作曲者の気概が息づいているように感じられます。
― このようなエネルギーを持った楽曲を、
音色そのものの雄弁さが特長のオーケストラで演奏する時、
そこに、余計な演出は一切不要である。
まさに、そう言わんばかりの潔いスタンスでもって、
ベイヌムの指揮が、コンセルトヘボウ管を導いていきます。
私は、E・V・ベイヌムという人の、ビシッと一本、
筋が通ったような指揮ぶりが、とても好きです。
『 シェエラザード 』 の時もそうでしたが、
余分な感情を取り払い、イン・テンポでぐいぐい展開させつつも、
聴き手が何度でもリピートしたくなるような、
味のある音楽に仕上げてくるところが、この人の上手さだと思います。
勿体をつけてタメたり、意表をついて煽ったりなどはしない。
けれど、聴いていて心地良いと感じるタイミングで必ず、
きっちり望むべき音を響かせてくれる、その、バランス感覚の素晴らしさ。。
既に50年近く昔の演奏ながら、録音状態が良好なおかげで、
幾重にも重なり、溶け合った、ふくよかな音色を味わえるのは勿論、
弦の “ ぶーんっ ” と唸るような気配や、
音が消えゆく瞬間の、独特の空気感をまとった余韻など、
コンセルトヘボウ管 “ らしさ ” を楽しむといった点でも、申し分ありません。
私の愛聴盤になっている、ブラ1の端正な名演です。
◇ ブラームス : 交響曲第1番 ハ短調 作品68 ♪ 演奏 / コンセルトヘボウ管弦楽団 指揮 / E・V・ベイヌム 録音 / 1951. 9. ( DECCA モノラル録音 ) |
クラシックの名曲の中でも、とりわけ人気の高い作品の一つと言える
ブラームスの交響曲第1番には、数多くの録音が存在します。
同じ指揮者&オケのコンビによる、複数種の録音などもあります。
< コンセルトヘボウ管によるブラ1の名演は? > と言えば、
個人的には上記の、ベイヌム指揮による全集に収められた演奏ですが、
< ブラ1を演奏する、コンセルトヘボウ管を堪能できる1枚は? > という
趣旨になると、こちらのDECCA盤を挙げたくなります。
― この違い、伝わりますでしょうか?
ちょっと大それた妄想をまじえて補足するならば、
「 もし、過去のコンセルトヘボウ管の名演に参加できるとしたら、
ブラ1の場合、どれが良い? 」 と問われて選ぶのが、DECCA盤ということ。
実に、気合い漲る、熱気をはらんだ演奏になっています。
感情的な演出は排す ・・ という基本的な姿勢は、多分、上記の全集盤と
変わらないと思いますが、ベイヌムの指揮の推進力というか、
覇気としては、断然こちらの方が上なんですよね。
その指揮に食らいつくようにして、楽器を鳴り響かせるオケのメンバー。
こんなレコーディングをした後の奏者って、一体どんな気分になるんでしょう。。
但し、残念ながらこの演奏には、第1楽章の後半で、
テンポ設定が強引に感じられる瞬間があります。
時間にすればわずか、ほんの数秒の出来事とは言え、
他の部分の緩急が、とても自然な流れになっているだけに、
一瞬のアンバランスが却って、印象に残ってしまうのが何とも言えず惜しい。
けれど、そうした点を差し引いてもなお、充分に余りある面白さが、
この演奏からは滲み出ているように思えます。
ベイヌムの意志的な指揮によって繰り出される、
コンセルトヘボウ管の充実した演奏ぶりを楽しめる1枚です。
◇ ブラームス : 交響曲第1番 ハ短調 作品68 ♪ 演奏 / シュターツカペレ・ドレスデン 指揮 / B・ハイティンク 録音 / 2002. 9. 29‐30. ( ライヴ録音 ) |
巨匠となった指揮者と、伝統ある名門オケによって奏でられた、
堂々として品格のあるブラームス。
これは、2002年当時、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者に
ハイティンクが就任した際の、記念コンサートを収録したものですが、
こういう演奏を生で聴く機会に巡り合えた人は、とても幸運だと思います。
ハイティンクは奇を衒ったり、個性を押しつけたりするようなことはせずに、
そのゆったりとした指揮で、向かい合っているオーケストラの美点を、
楽曲に相応しい形でもって、深いところから引き出していくようです。
とにかく、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏が、うっとりする程に見事。
普通、オーケストラというのは、幾人もの奏者たちが集まって、
一つの音楽を作り上げていく訳ですが、シュターツカペレ・ドレスデンの場合、
その構成順序が、まるで逆のような印象を受けます。
“ シュターツカペレ・ドレスデン ” という名前の、一つの固有の楽器が
最初にまず存在して、その中に、ヴァイオリンの音が響く部分、
フルートの音が鳴る部分 ・・ といった各パーツがあるようなイメージ。
彼らのアンサンブルは、特定の楽器だけが突出して聴こえるようなこと無く、
すべての音が、このオケ特有のヴェールに包まれて、昇華していくかのようです。
ところで、シュターツカペレ・ドレスデンによるブラ1と言えば、
普通は ザンデルリンクとの録音 が有名なんですが、
残念ながら、現時点で私は未聴 ( 不勉強ですみません ・・ ) 。
次に聴くべきブラ1は、是非とも、こちらにしようと思います。
◇ ブラームス : 交響曲第1番 ハ短調 作品68 ♪ 演奏 / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮 / W・フルトヴェングラー 録音 / 1952. 2. 10. ( ライヴ録音 ) |
神格化された20世紀の大巨匠による、非常に有名なライヴ盤。
戦後、ティタニア・パラストを仮本拠に行なっていた、
BPOの演奏会を実況放送するために録音されたものなので、
音質的には、いま一つなところもあります。
正直、弱奏部の聴き取りにくさなどには、不満を感じないでもないですが、
「 超優秀録音で音質最高! でも演奏そのものには特長無し ・・ 」 な
ブラ1を聴く暇があったら、このライヴ盤を聴いた方が “ 絶対楽しい ” と思う。。
なお、基本的に私は、< 端正 > と評されるような演奏、
もしくは、< 中庸的な上手さ > と言われるような演奏が好みです。
フルトヴェングラーの場合、例えばテンポ設定一つとってみても、
彼自身の解釈でもって、自由自在なまでに大きく揺らして表現することは有名。
その点だけを見れば、“ お気に入り ” からは外れそうな気もしますが、
あれだけ独自の緩急をつけながらも、“ あざとさ ” を全く感じさせないところは、
やはり、他者には簡単に真似のできない素晴らしさだと思います。
このブラ1も、ライヴならでは ・・ という点があるのかもしれませんが、
ここまで “ 重くて、深くて、渋い ” ブラームスを、
自然な展開、かつ必然的な流れで為し得てしまうことに圧倒されます。
緊張感と力強さをともなった、BPOの音の存在感もすごいですね。
“ 名演 ” には、録音状態や個人の好みを越えた部分でもって、
きちんと訴えかけてくるものが “ ある ” 、ということを、
身をもって知るのにうってつけの1枚です。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
最後はブラ1ついでに ・・
のだめ、17巻をようやく読みました。
( って、今回ブラ1は出てきませんが )
そろそろ、終楽章 ― ということなんでしょうか。
のだめと千秋が音楽家として自立する為にも、
避けては通れない “ 正念場 ” になるのかなぁ。 2人とも頑張れ。。
それにしても、マルレのコンマスさん、いいぞ~♪