末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

NTライブ/リア王 (2014)

2015-11-29 08:11:25 | 映画のはなし
周回遅れのレビューが続きます。

11月13日(金)~ 18(水)まで、TOHOシネマズ系列でアンコール上映されていた、
ナショナル・シアター・ライブ「リア王」を見てきました。
昨年見逃して、とても悔しかったので、再度スクリーンにかかって嬉しいです。

リア王と娘たちの辿る大まかな筋は、断片的に知ってはいたものの、
お芝居として、通しできちんと鑑賞したのは、今回が初めて。

シェイクスピアの四大悲劇の一つだけあり、"救い" が全くない上に、
主要人物たちが次々死んでいき、人間の愚かさが容赦なく描かれます。
(そうした中、笑いの要素が時折り挿入されるバランス感が、またスゴい)

慢心。執着。驕った心は、相手の忠誠が "自分" に向けられているものなのか、
"権力" に対してなのかを見誤らせ、頑なな固執は、物事の流れを捻じ曲げる ・・ 。
道化がリアに言う、「知恵をつける前に年を取ってはいけない」は、
我々観客にとっても耳に痛い、非常にインパクトある台詞です。

演出は、サム・メンデス。"リア=認知症" を意識させ、衣装等も現代風なので、
意外にも、すんなりと劇中世界に入っていけますが、
ホームドラマっぽく感じられる場面もあり、いわゆる "時代物" の演出だったら、
このあたり、どう目に映ったのだろうかと、興味を覚えます。

リア王一家と、グロスター伯爵一家。家族による陰謀に嵌められて、追われる者たち。
一方は、狂気に侵され身の破滅を招き、かたや身を守る為に狂気を装う。

両家の物語の対比も、役者陣の芝居が素晴らしく、見応えがありました。

両目を抉られたグロスターに再会したリアが、語る言葉、「赤子が泣きながら
生まれて来るのは、阿呆ばかりのこの世に生まれて来たのが悲しいから」は、
正気を失った者の口から出たにもかかわらず、皮肉に満ちた辛辣な名言です。

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   NTライブ 『リア王』

  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ
  ◇鑑賞日:2015.11.14. 映画館にて


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