ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ミャンマーに見る民主主義の問題点

2021-03-28 11:59:50 | 日記
ミャンマーのクーデター事件がメディアを賑わせている。きょうの朝日新聞は朝刊1面に『ミャンマー国軍、91人殺害 トップはクーデター正当化』という見出しを掲げ、記事はこんなふうに書いていた。

「クーデターで国軍が権力を掌握したミャンマーで27日、治安部隊が発砲などで抗議デモを弾圧し、ロイター通信によると91人が殺害された。1日の犠牲者としては2月1日のクーデター後、最悪となった。」

この記事の文面からは、「軍政(専制主義)は悪だ。民主主義は善だ」とする暗黙の主張が読みとれる。ーーだが、ちょっと待って欲しい。ミャンマー国軍が弾圧しようとしている抗議デモの勢力、つまり民主勢力は、ホントに「無条件に善」と言えるものなのだろうか。

民主勢力がトップに祭りあげるのは、言わずと知れたアウンサンスーチー女史である。かつて「ミャンマー民主化の女神」と崇められ、長らくNLD(国民民主連盟)指導者の地位にあって、国家顧問の地位にも就いたこのスーチーさんが、(国家顧問として)政府の指導的立場にあった当時、何をし、何をしなかったかを思い起こしていただきたい。

留意しなければならないのは、ミャンマーの民衆が当時、ロヒンギャを(自分たちの生活を脅かす)「不法移民」とみなし、ヘイト感情を募らせていたという事実である。ミャンマー政府は、ロヒンギャに対するこうした国民感情をいいことに、ロヒンギャを虐待してきた。

問題は、民主勢力のトップだったスーチーさんの言動である。スーチーさんは当時、国家顧問として政府を指導する立場だったにも関わらず、従来の政府のロヒンギャに対する虐待方針に異を唱えなかった。異を唱えないことで、政府のロヒンギャに対する虐待方針を支持したとも言えるのである。

なぜか。それは、彼女が民主主義のシンボルとして、ロヒンギャに対する民衆の意思を、つまりロヒンギャに対する民衆のヘイト感情を、体現せざるを得なかったからである。

民主主義は国民のヘイト感情に流されて、少数者の虐殺へと向かう怖さを持っている。ーーなぜこんなことに言及するのかというと、現在の民主主義国家・アメリカでは、アジア系市民が白人によって殺害される残虐な事件が続発しているからである。この事件の背景に、アジア系の人種に対する白人のヘイト感情があることは明らかだが、アメリカのこの事件をミャンマーのロヒンギャ虐殺にからめて考えれば、アメリカの「民主的」指導者が今後、アジア系市民の虐殺を是認する可能性もゼロではないと言わざるを得ないのである。

アメリカのジャパンバッシングが激しさを加えたのは、1970年から80年代にかけてのことである。「アメリカを苦しめているのは、エコノミック・アニマルの日本人だ」という偏見が復活すれば、白人のヘイト感情がいつ日本人に向かわないとも限らない。

きょうは民主主義が持つ第2の問題点について述べる予定だったが、第1の問題点をパラフレーズする結果になった。アドリブの寄り道をした格好だが、これもまあブログならではの醍醐味といえるのではないだろうか。民主主義が持つ第2の問題点については、また次回に取り上げることにしよう。
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