ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

科学技術研究 軍事か民生か

2017-03-10 15:39:41 | 日記
きょうの新聞社説一覧を眺めていて、思わず「これだ!」と手をたたいて
しまった見出しがある。読売新聞の《学術会議声明案 技術に「軍事」も
「民生」もない》(3月10日付)である。私は以前、本ブログで「科学研
究者は軍事技術とどう向き合うべきなのか」という問題を取り上げたこと
がある(2月5日付)。ここで私が言おうとしたことは、短く要約すれ
ば、まさに「技術には『軍事』も『民生』もない」ということだった。思
わず手をたたきたくなるのも当然である。国民的巨大掲示板「2ちゃんね
る」のスラングを使えば、「禿同!」といったところか。

この社説から、要旨と思われる個所を抜粋しておこう。
「問題は、科学技術の研究を「軍事」と「民生」で切り分けられるかどう
かである。
米軍の技術である全地球測位システム(GPS)は、カーナビに欠かせな
い。食品ラップや電子レンジなど、日常生活に溶け込んだ製品も、軍事技
術に由来する。
技術の本質は、軍事と民生の双方で活用できる「デュアルユース」であ
る。両面性を持つものを無理に分離すれば、応用範囲の広い有益な研究ま
で「軍事」の名の下に排除されることになろう。」

さすがはメジャーな新聞の論説である。この方面に関する博識ぶりがそこ
はかとなくにじみ出ている。これを読んでいて、私は何度も「うん、うん」
と頷きながら、頭の下がる思いだった。

この新聞の社説に引きずられて、同じテーマを取り上げた産経新聞の社説
を読んだ。こちらは《学術会議の声明案 軍事科学研究なぜ認めぬ 「国
民を守る」視点で見直しを》とタイトルにあるように、「軍事目的の科学
研究がなぜいけないのか!」と、学術会議の声明に真向から異議を唱えて
いる。右翼新聞としての本領発揮といったところだ。こんな具合である。
「(学術会議の)2つの声明と今回の声明案に共通するのは、侵略を未然
に防ぎ、戦争を回避する抑止力の意義を認めない点だ。国民が期待する自
衛隊の意義を否定するに等しい。
 国と国民を守るうえで、外交努力が必要なことは無論だ。同時に、他国
から軍事力を背景とした挑発を受けても、それに屈せず、反撃も辞さない
能力を備えておくことは当然である。
 有効な防衛装備を整えるため、科学者、技術者の知見は極めて重要なも
のである。それが世界の民主主義国の常識であり、平和を保つ道になって
いる。」

 この見解にも、耳を傾けるべき点は多々ある。私はそう思う。そう思い
ながら、同時にこうも自問した。あれ?自分はいつから右翼になってし
まったのだろう?と。

中国や北朝鮮の武力を見せつけられると、人は自ずとアグレッシブになっ
てしまうものらしい。
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