私は本ブログで、先日、次のように書いた。
「ロシアのプーチン体制がやっと崩れはじめた。これを示す証は、すでにあちこちにあふれている。」
(5月30日《プーチン体制 その崩壊の前兆》)
魚心あれば水心、・・・ではないが、「プーチンの独裁体制も、あちこちで綻びを見せはじめているはずだ」という予断をもって見渡すと、私の予断(=臆断)のアンテナに掛かってくるニュースがある。たとえば。
「反戦世論に火が付いたのか──。ロシア軍によるウクライナ侵攻開始から3カ月余。(中略)ロシアのニュースポータル『Baza』によると、2月24日のウクライナ侵攻以降、ロシア軍の入隊事務所が10カ所以上も放火されたという。」
(日刊ゲンダイDIJITAL 5月27日配信)
これは民衆レベルの綻びの例だが、以下は決定的・致命的な大きな綻びと言ってよい。
「『できるだけ賢明に行動すべきだ』──。国民に絶大な影響力を持つロシア正教会トップの『苦言』に衝撃が走っている。ロシア軍によるウクライナ侵攻開始から3カ月余。プーチン大統領が停戦に向けて舵を切る可能性が出てきた。」
(日刊ゲンダイDEJITAL 5月31日配信)
ロシア正教会のトップ・キリル氏の問題発言に対して、この記事の筆者は、「直接的な表現は避けているが、戦争支持どころか『異議アリ』と受け取れる」とコメントしている。その上で、この筆者は、筑波大学名誉教授・中村逸郎氏(ロシア政治)の以下のような見解を紹介している。
「キリル氏の支持を失えば、戦争継続は困難です。ロシア正教会は多くの国民の心をつかんでいます。地方の隅々までネットワークが張り巡らされていて、大統領選ではプーチン大統領の巨大な支持母体にもなっている。もし、キリル氏がさらに踏み込んで、停戦や和平を求めれば、一気に反戦機運がロシア国内に広がることになるでしょう。」
ロシアはこれまで1917年のロシア革命、1991年のソ連崩壊と、2度の大動乱を経てきた。3度目の動乱が間近に迫っているように思える。