ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

経済安保法が

2022-05-13 11:33:49 | 日記


経済安全保障推進法(経済安保法)が国会で成立した。良いことだと思う。ロシアのウクライナ侵攻に対して、NATOなど西側諸国が当初、経済制裁で対抗しようとしたように、経済は今や軍事力に次ぐ第二の強力な武器になる。逆にいえば、経済は国家の安全保障上の要とも言え、ここを突かれれば、国家の存立はひとたまりもない。

岸田首相が「経済安全保障」の考え方を打ち出したとき、私は、「おっ、この人、なかなかやるな」と、快哉の思いからつい膝を打ったものだ。

その岸田首相のアイデアがやっと実を結び、このほど「経済安全保障推進法」という形をとって国会を通過したのだ。国会審議の過程では、様々な問題点が指摘され、具体的・実務的な観点からの検討もなされたに違いない。

そこできょう本ブログでは、この経済安保法の問題を私なりに考えてみようと思ったのだが、はてさて困った。事を始めるに当たって、私はさっそく暗礁に乗り上げた恰好なのである。

断わるまでもなく、私はひどい経済音痴である。そんな私が経済安保法について何ほどかを論(あげつら)おうとすれば、私は、新聞社説や、ネット上の論評記事など、この問題に関連するいくつもの論説を読み込むことから始めることになる。とりあえず、私が目を通した新聞社説の、そのタイトルだけでもあげておこう。

朝日:《経済安保法 懸念残した国会審議》
読売:《経済安保法成立 官民の連携で産業と技術守れ》
日経:《企業の活力そがずに経済安保の強化を》
産経:《経済安保法成立 効果的運用で備え強化を》

はてさて、困った。というのは、どの社説も、イメージの喚起力に欠ける抽象的な言葉だけを使って書かれているからである。イメージが伴わなければ、これらはどれも空疎な言葉の羅列と変わらず、私にはチンプンカンプンである。

例として、最もポピュラーと思われる読売の社説《経済安保法成立 官民の連携で産業と技術守れ》から、いくつかの文言を拾ってみよう。

曰く、「民間企業が担うインフラの管理や重要物資の供給網は」、「半導体をはじめとする戦略物資や、人工知能(AI)など高度な技術の獲得を」、「推進法は、重要物資の供給網強化や、基幹インフラ設備の事前審査などが柱となっている」、etc.  はあ?

これらの文言を目にしても、具体的なイメージを呼び起こすことができないのは、私が極度の経済音痴であるからかもしれない。だが、私のような音痴にも伝わる言葉で書かなければ、これらの論説は「馬の耳に念仏」に等しく、国民の耳には届かないだろう。

罪は新聞社説にあるのではない。社説がネタ元にした国会審議のやり取りが、社説以上に抽象的な言葉の応酬に終始したのではないか。

物事を平易に解説できる天才的な解説者・池上彰氏ならこの問題にどう切り込むのか、私は大いに興味がある。



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