トランプのアメリカは北朝鮮に対して、どういう戦略でのぞむつもりなの
か。そういう関心が世界の耳目を集めている。アメリカはつい先日、化学
兵器を使用したアサドのシリアに対して、ミサイル攻撃を仕掛けたばかり
である。この攻撃には、「核兵器の使用を準備している北朝鮮に対して
も、トランプ政権は容赦しないぞ!」という警告のメッセージが込められ
ている。このメッセージを実行に移そうとしてのことだろう、アメリカは、
空母「カール・ヴィンソン」や駆逐艦からなる「打撃群」を朝鮮半島方面
に派遣した。
風雲急を告げるこうしたアメリカの動きに対して、金正恩の北朝鮮は、そ
んな脅しに屈する我々ではない!我々の核武装の方針はいささかも揺るが
ない!と激しい反発の姿勢を示している。
核ミサイルを使った北朝鮮の反撃も考えられるなか、トランプのアメリカは
金正恩の北朝鮮に対して、次にどういう手を打ってくるのか。武力攻撃はで
きるのか。コリア・レポートの編集長である辺真一は、《米国は北朝鮮を攻
撃できるか?「トランプー金正恩」の「究極のチキンレース」》と題した4
月10日付の記事で、米と北の緊張関係を、(表題にあるように)「チキン
レース」になぞらえている。
この記事によれば、アメリカはクリントン政権の時代に、一度だけ北朝鮮
への攻撃を真剣に検討したようだ。しかしシミュレーションの結果を受け
て、攻撃を取りやめたという。シミュレーションの結果は「戦争が勃発す
れば、開戦90日間で
▲5万2千人の米軍が被害を受ける。
▲韓国軍は49万人の死者を出す。
▲戦争費用は610億ドルを超える。
最終的に戦費は1千億ドルを越す」という、衝撃的なものだった。
その後もアメリカは武力行使のオプションを排除せず、外交の場で再三、
北への攻撃を口にしたが、これはいずれもブラフで終わり、実行を伴わな
かった。攻撃を行なった場合、自国にも同盟国にも甚大な被害が出ること
を懸念して、実行に移せなかったのである。
これまでの政権の「不作為」が今日の事態を招いたとし、とくにオバマ政
権の「戦略的忍耐」を失敗だとして非難する声があるが、こうした不作為
も「北朝鮮の核兵器を効果的に除去するための外科手術的攻撃はもはや不
可能である」という情勢判断(オバマ政権の国防長官、アシュトン・カー
ター)に基づいている。
辺真一の記事は、アメリカの北への武力攻撃が莫大な損害を伴う「チキンレー
ス」に等しい、という指摘で終わっている。それでもトランプは武力攻撃を
仕掛けるのかどうか。単純猪突のトランプならやりかねない、という大方の
予想が、この記事をことのほか興味深いものにしている。それでも、事が事
だけに、政権内の軍事専門家がそれを許さないのではないか、という予測も
できるから、この問題、まだまだ予断は許さない。米と北の首脳同士の直接
会談はあるのだろうか。先は五里霧中である。
か。そういう関心が世界の耳目を集めている。アメリカはつい先日、化学
兵器を使用したアサドのシリアに対して、ミサイル攻撃を仕掛けたばかり
である。この攻撃には、「核兵器の使用を準備している北朝鮮に対して
も、トランプ政権は容赦しないぞ!」という警告のメッセージが込められ
ている。このメッセージを実行に移そうとしてのことだろう、アメリカは、
空母「カール・ヴィンソン」や駆逐艦からなる「打撃群」を朝鮮半島方面
に派遣した。
風雲急を告げるこうしたアメリカの動きに対して、金正恩の北朝鮮は、そ
んな脅しに屈する我々ではない!我々の核武装の方針はいささかも揺るが
ない!と激しい反発の姿勢を示している。
核ミサイルを使った北朝鮮の反撃も考えられるなか、トランプのアメリカは
金正恩の北朝鮮に対して、次にどういう手を打ってくるのか。武力攻撃はで
きるのか。コリア・レポートの編集長である辺真一は、《米国は北朝鮮を攻
撃できるか?「トランプー金正恩」の「究極のチキンレース」》と題した4
月10日付の記事で、米と北の緊張関係を、(表題にあるように)「チキン
レース」になぞらえている。
この記事によれば、アメリカはクリントン政権の時代に、一度だけ北朝鮮
への攻撃を真剣に検討したようだ。しかしシミュレーションの結果を受け
て、攻撃を取りやめたという。シミュレーションの結果は「戦争が勃発す
れば、開戦90日間で
▲5万2千人の米軍が被害を受ける。
▲韓国軍は49万人の死者を出す。
▲戦争費用は610億ドルを超える。
最終的に戦費は1千億ドルを越す」という、衝撃的なものだった。
その後もアメリカは武力行使のオプションを排除せず、外交の場で再三、
北への攻撃を口にしたが、これはいずれもブラフで終わり、実行を伴わな
かった。攻撃を行なった場合、自国にも同盟国にも甚大な被害が出ること
を懸念して、実行に移せなかったのである。
これまでの政権の「不作為」が今日の事態を招いたとし、とくにオバマ政
権の「戦略的忍耐」を失敗だとして非難する声があるが、こうした不作為
も「北朝鮮の核兵器を効果的に除去するための外科手術的攻撃はもはや不
可能である」という情勢判断(オバマ政権の国防長官、アシュトン・カー
ター)に基づいている。
辺真一の記事は、アメリカの北への武力攻撃が莫大な損害を伴う「チキンレー
ス」に等しい、という指摘で終わっている。それでもトランプは武力攻撃を
仕掛けるのかどうか。単純猪突のトランプならやりかねない、という大方の
予想が、この記事をことのほか興味深いものにしている。それでも、事が事
だけに、政権内の軍事専門家がそれを許さないのではないか、という予測も
できるから、この問題、まだまだ予断は許さない。米と北の首脳同士の直接
会談はあるのだろうか。先は五里霧中である。