ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

北への攻撃 あるのか?ないのか?

2017-04-22 16:06:42 | 日記
テレビで面白い情報を流していた。画面に映されたのは、白昼のソウル
市内。広い通りには人の姿がまったく見られない。有事を想定した避難
訓練の最中だという。映像が地下街に切り替わると、そこには大勢の人
の姿があった。地下街が防空壕の役割を果たしているのだという。本式
の防空壕の映像も映されたが、そこは分厚いドアに仕切られた一室で、
放射性物質を除去するためなのか、大掛かりな換気設備が備えられていた。

この報道番組をぼんやり眺めながら、私は、数日前に読んだネット記事
を思い出していた。この記事によれば、北朝鮮のすぐ隣にある韓国で
は、有事に対する危機意識が驚くほど希薄で、朝鮮半島が有事の際の難
民対応について取り上げた安倍首相の発言が、「いたずらに危機感をあ
おるもので、適切でない」と非難されるほどだという。これを読んで、
「危機と隣り合わせなのに、なんとおめでたいボケぶりなことか」と、
私は驚いたのだが、それから数日後にテレビのこの報道番組を見て、そ
のボケぶりの正体が、私には分かった気がしたのである。

要するに、備えあれば患えなし、ということなのだろう。これだけの備
えをし、日々避難訓練を怠らない韓国の市民からすれば、この程度の軍
事的緊張であたふたする日本の国民は、さぞ滑稽に見えることだろう。
韓国のメディアが安倍首相の発言を取り上げ、「これは為にする発言
で、我が国に対する嫌がらせに違いない」と述べるのも尤もである。

北朝鮮問題に関する面白いネット記事を読んだ。《今すぐ北朝鮮攻撃は
ない、浮き足立たず有事に備えよ 日本に求められるのは楽観論、悲観
論を排したリアルな議論》(織田 邦男 JBPRESS 2017.4.19配信)であ
る。

著者の織田氏は、「国会は「森友学園」一色、巷では「稀勢の里」「豊
洲」そして「浅田真央引退」の話題であふれ」ている日本国内の風潮を
揶揄気味に嘆く一方、その国民に対して(タイトルにあるように)、「
浮き足立たず有事に備えよ」と呼びかけている。「今すぐ(アメリカ
の)北朝鮮攻撃はない」のだから、浮足立つには及ばない。

「今すぐ(アメリカの)北朝鮮攻撃はない」、――この判断の根拠になっ
ているのは、「まだNEO(Non-combatant Evacuation Operation)、非戦
闘員退避作戦)が始められていない」ということである。著者の見ると
ころでは、NEOの開始があくまでも攻撃実施のメルクマールなのであ
る。

著者の織田 邦男氏の肩書は「元・空将1974年、防衛大学校卒業、航空自
衛隊入隊、F4戦闘機パイロットなどを経て83年、米国の空軍大学へ留
学。90年、第301飛行隊長、92年米スタンフォード大学客員研究
員、99年第6航空団司令などを経て、2005年空将、2006年航空支援集団
司令官(イラク派遣航空部指揮官)、2009年に航空自衛隊退職。」と仰
々しい。軍事のキャリアであるから、この人の判断にもそれなりの信憑
性はあるのだろう。

だが、この判断のもとになっている大前提、「まだNEOが始められてい
ない」という情報を、我々はそのまま信じるわけにはいかない。このこと
については、全く逆の情報もあるからである。《在韓米国人の国外避難訓
練は対北先制攻撃の前触れ!?》(YAHOOニュース)の中で、辺真一氏
は次のように書いている。

「在韓米軍は毎年、朝鮮半島有事に備え、韓国在住の米市民を安全な地
域に輸送する「非戦闘員救出作戦(NEO)訓練」を行っているが、昨
年10月から11月にかけて行われた訓練はソウル駐在の米軍家族らを
在韓米軍基地から在日米軍基地に輸送する訓練であったことがわかっ
た。国外脱出訓練は2009年以来7年ぶりの出来事である。
避難訓練を取材した米CNNが4日(現地時間3日)、伝えたところで
は、国外避難訓練は、退避命令から荷造り、登録、ソウルから南方への
移動、そして国境越えと段階的に行われた。」

著者の辺真一氏も朝鮮問題の専門家であり、その論述には信憑性があ
る。ネタ元の米CNNがガセをたれ流す報道機関ではないことは、言うま
でもない。

さて、我々はどちらを信じればいいのだろうか。浮足立つには及ばない
のか、どうか。う〜ん、難しいなぁ。
コメント
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