「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

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8月23日 大阪営業物語(2) (おまえ!)

2013年08月23日 | お昼間カフェ
おはようございます。

今日も暑くなるんでしょうか。

少し雨模様だったりしそうですか、どうなんでしょうね。

というわけで、前回の続きだったりするわけで、

大阪で営業の手伝いをするように言われた僕ですが・・・さあ、どうなることでしょう?

まあ、暑い夏の終りに、そんな話をするのも、いいかなあ、って感じですかねー。


じゃ、早速始めてみましょうかー。


八津菱電機関西支社は、大阪は堂島に建つ12階建ての最新のビルでした。

僕は、関西国際空港の担当SEとして、営業との打ち合わせに何度も訪れたビルでした。

「まさか、ここで営業の仕事のサポートをやるとは・・・」

僕は社員証でゲートを通りながら、僕の所属する官公庁向け営業第一部の部屋に顔を出した。

「1月から3月・・・その3ヶ月で、鈴木、カタチを出せよ」

林さんの言葉を理解しながら、僕は素直に思った。


まだ、始業の時間には、15分ほどあるはずだった。

「宗像さん。もう来てたんですか?」

と、僕は部屋の中央付近の席で新聞を読んでいる、旧知の先輩営業、宗像さん(36)を見つけていた。

彼は僕がシステムエンジニアとして関西国際空港を担当した最初から営業として担当してもらっていたので、

お互いの力量をよく知っている仲だった。

「白川(28)もおっつけ来るだろう。あいつにも、少し早く出るように言ってあるから」

と、宗像さんは、僕と同期で、これまた関空担当当初から僕の営業担当をしてくれている白川の名前をあげた。

「ま、お二人がいて、僕も心強いです。知り合いがひとりでもいてくれれば、まあ、なんとかやっていけるし・・・」

と、僕が少しホッとしたように言うと、宗像さんは少し顔を暗くして僕を見る。

「それが・・少しまずい方向に事態は進んでいる。ボタンの掛け違いというか・・・課長が今回の事で怒り心頭らしいんだ・・・」

と、宗像さんは、ズバッと言う。

「まあ、とにかく、俺がどうにか、いろいろやってみるが、鈴木も腹くくってくれ」

と、神妙な顔で言う宗像さん。

「まあ、鈴木とは、いろいろやばい橋を渡ってきたから、まあ、いつものように、鈴木なら大丈夫だと、俺は思っているけどね」

と、言う宗像さんは、いつになく、弱気に見えた。


「と言うわけで、関空担当のSEをやってくれている鈴木くんが、営業の支援というカタチで3ヶ月間、ここに来ることになった」

と、宗像さんが営業一部第一課のメンバー10名を会議室に集めて、説明してくれる。

「あのー、僕も何が出来るか、まだ、よくわかりませんが、精一杯がんばって、みなさんのお力になれるよう努力しますので、どうか、よろしくお願いします」

と、僕が皆に向かって神妙に挨拶をするが、特に反応はなく、なんとなく、どんよりとした雰囲気が広がっている。

「おい、あのさー、中央はわかっているのか?1月から3月が営業にとって、どれだけ大事な時期かって、事を、よ!」

と、急に強い口調で吠え出したのは、宇賀神課長(38)だ。

「こんなトウシロウを現場に押し付けて、それで、あんたんとこの部長は本社に鼻高々で「対策打ちました」的に報告書を書くだけだろうがよ、あ、違うか?」

と、強い口調の宇賀神課長は、僕を冷たい目で見る。

「な。しかも、あんた、さっきなんつった?「何が出来るかわからん」だと?鎌倉のSE様はそれで済むかもしれねえが、営業は全部自分で考えてやるんだよ」

と、宇賀神課長は、強い口調でまくし立てる。

「あんたは、俺達が手取り足取り教えてくれると勘違いしているみてーだが、営業はそんな甘い世界じゃねー。自分の事は自分でなんとかしてくんな!」

と、宇賀神課長は、強いめぢからで僕を見下ろすと、そう言い捨てて、部屋を出ていこうとします。

「ちょっと待って下さい。宇賀神さん!」

と、僕が立ち上がってそう叫ぶと、宇賀神課長は、出ていこうとする歩みを止めます。

「僕だってこれでも、現場で叩き上げのSEだ。今回の為に何の用意もしてこなかったわけじゃあない」

と、僕が言うと、宇賀神課長は、くるりとこっちを向き、それでも、目は怒ったままです。

「僕が来たのは、これまでのやり方を変える為だ。確かに八津菱電機は端末の弾も少ない。性能の割に値段が高い。営業として厳しいのはわかります」

と、僕は説明する。

「F通やNBCと戦っていくのは圧倒的に不利だ。皆さんが不満に思っているのも、理解しています。だからこそ、僕が来たんです」

と、僕は説明する。

「顧客の我が社に対する営業イメージを劇的に変える。顧客満足度を一気に高め、端末の値段や性能で売るのではなく、八津菱電機のイメージで売るようにするんですよ」

と、僕は説明する。

「お客さんの対面に立つ皆さんと、一緒に僕が行動することによって、多くのソリューションを提案することが出来る。しかも、即座にだ」

と、僕は説明する。

「お客さんは端末だけが欲しいんじゃない。ソルーションも含めて欲しがっています。だから、僕が営業に駐在していれば、いろいろな便宜も図れます」

と、僕は説明する。

「サービスの最短化及び充実化・・・これまでにないパワーアップした営業を八津菱電機として、この3ヶ月間で完成させましょう。その為に僕は来たんです」

と、僕は説明する。

「全国の営業に僕の仲間が飛んでいます。まずはそこで一位になることを考えましょう。もちろん、同業他社をたくさん打ち負かすんです」

と、僕は言う。

「今日から劇的に営業を変えるんです!」

と、僕が言うと、立ったまま黙って聞いていた宇賀神課長は、静かに席に座ります。

「よーし、わかった。あんたの言うことにも一理あるようだ。さすが林さんだ、ここ大阪で使える人間をわざわざ選んだようだな」

と、宇賀神課長は、僕を見据えていいます。

「まあ、あんたの言った説明はわかったが、あんた具体的に弾はあるんだろうな?営業で使える、具体的なアイデアをたくさん持ってきたんだろうな?」

と、宇賀神課長はニヤリとしながら、僕の目の奥底を確認するように言います。

「まさか、丸腰で戦場に乗り込んでくるようなヘマはしねーよな?」

と、宇賀神課長はさらに僕の目を覗き込みます。

「もちろんですよ。僕も叩き上げの「鎌倉から来た男」だ。アイデアはたくさん用意してきました。全部、ここに入っています。まあ、安心してください」

と、僕は頭を指さし、ニコリと笑います。

その僕の表情をずーっとシビアに見ていた宇賀神課長ですが・・・一瞬だけ、ニヤリと笑うと、

「まあ、いいだろう。今日のところは、大目に見ておこう」

と、宇賀神課長は、立ち上がります。

「だがな、あんたが使えないおもちゃだったっら、俺は、すぐに見向きもしなくなるぜ。営業ってのは、そういう厳しいところだ。覚えときな!」

と、宇賀神課長は言い捨てると、

「おい、おめえら、いつまで座ってるんだ。もう営業開始の時間はとっくに過ぎてるんだぞ!早くいけ!」

と一喝し、営業メンバー達は、それを合図に会議室を出て行くのでした。

宇賀神課長は、最後にもう一度僕を睨んでから、鼻で笑うと、少し笑顔になって会議室を出て行くのでした。


「はー・・・」

と、僕も思わずため息をつきます。

「すずきー・・・・お前、相変わらず、すげー度胸だなあ。見なおしたよ。宇賀神さんと一騎打ち出来る人間なんて、この会社にだって、そうそういないぜ」

と、横に座ってくるのは、ギリギリになってから会社に来た白川でした。

「確かにそうだなー。ま、鈴木くんは、窮地に追い詰められれば追い詰められるほど、頭もくるくる回って、行動的になる人間だからな」

と、言ってくれるのは、宗像さん。

「しかし、最初はどうなることかと思ったよ。まあ、部長のところには、林さんから電話があったらしいけど、宇賀神課長にはメール一本だけだったらしいから」

と宗像さん。

「それであんなに荒れてたん?そういうあたり厳しい人だからなー、宇賀神さんは・・・」

と、白川。

「ひどいとばっちりだったな、鈴木。でも、安心したよ。具体的なアイデアもいろいろ用意してきたって言うし・・・」

と、宗像さんが言うと、

「え、宗像さん、ずるいな。あんなの、全部はったりですよ。SEが客先でよくやる手です。それくらい、知ってるじゃないですかー」

と、僕は涼しい顔で、宗像さんに言う。

「え?やっぱり、そうか・・・まあ、そうだろうとは、思ったけど・・・これから大変だぜ、それ・・・」

と、宗像さん。

「大丈夫ですよ。宇賀神課長だって、それには気づいてます。気づいているから、許してくれたんですよ」

と、僕は涼しい顔で言う。

「宇賀神さんが、「だがな、あんたが使えないおもちゃだったっら、俺は、すぐに見向きもしなくなるぜ」って言ってくれたじゃないですか」

と、僕は説明する。

「確かに」「そうだった」

と、宗像さんと白川は言う。

「あれは「今後は行動で示せ」ってことですよ。前口上は、わかった。今度は行動で示せ。それが出来たら認めてやろう。そういう意味だな。あれは」

と、僕が言うと、

「さすがタケルだ。初対面の宇賀神課長の真意まで見ぬくとは、ね・・・」

と、白川は言ってくれる。

「ただひとつ言えることは・・・これから気が抜けないってことですねー」

と、僕が言うと、二人は、

「そうだな」「そうだね」

と、顔を見合わせる。

と、そこへ、宇賀神課長が再登場。

「おい、鈴木。まずは、白川と組んでやってみろ。新しい八津菱電機の営業力ってのを作り上げてみるんだな。まずは俺を納得させろ。わかったな」

と、宇賀神課長は怖い顔で僕を見ながら、どこかやさしげな表情で僕に言ってくれた。

「わかりました。「鎌倉から来た男」は、白川と営業活動を開始させます」

と、僕が言うと、宇賀神課長は、満足そうに部屋から出て行った。


(つづく)


ってな感じですかねー。まあ、遠い昔の話ですが、こんな感じのことがありました。

しかし、懐かしいですね。その場所にいた人間達はもう誰もいない。

その瞬間だけ、その人間達のストーリーになる。

そんなことを思い出させてくれますね。


懐かしい話をするのも、楽しいことですからね。


楽しく生きていきましょう。


ではでは。