私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

クロッシング

2010-04-29 19:30:05 | 映画鑑賞
北朝鮮に住む3人家族。
元サッカー選手だった父親は今は炭鉱で働く。
妻と息子。つつましい生活でも食べていけた。幸せだった。しかしその幸せは妻の病気であっという間に崩れ去る。
妻の薬を手に入れるために中国行きを決意する男。
お父さんの留守の間、お母さんを守りますから・・・と約束を口にする息子。
しかしその約束は守られなかった。母は亡くなり、そして息子は行くあてもなく、あっという間にストリートチルドレンになるのだ。
小さい男の子が一人になっても面倒を見てやるものはいない。「どこか行くあてはあるの?」優しい言葉をかけるのが精一杯なのだ。

餓死者が出た。子どもの浮浪者が沢山いる。
ニュース番組では沢山見た映像だった。
でもこんな風に見せられると本当にはっとさせられる。
社会が助けることを放棄している国。社会が弱い者をどうやって切り捨てていくのかという現実。それをどうすることも出来ない10歳足らずの子どもが、それでも毎日を生きていこうと精一杯なのだ。

父親を尊敬して止まない息子が「申し訳ありませんでした。お母さんを守れませんでした。」と父親に涙を流しながら謝る姿を見ながら、いじらしいという言葉しか思いつかない。

****
GW前の昨日の夜 仕事帰りに見る。
(渋谷の映画館は非常に色っぽい通りにあり、この映画の雰囲気とはまったくもって別世界だった。)
私の隣のカップルの女子はずっと号泣していた。
私も涙こそ流さなかったが、なんとも切なくやりきれない思いだった。

***
映画館のカウンターには、蓮池さんの著書が並べられていたが、この映画そのものは何か政治的なことを声高に語っているわけではない。だからこそ余計に切ないものがある。
どうすることも出来ない現実に涙を流すだけしか出来ないのだ。



半島へ、ふたたび
蓮池 薫
新潮社

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