1970年12月のクリスマス休暇。ボストンにある全寮制の高校では教師も生徒も皆2週間の休暇を楽しむために学校を離れるのだが、再婚した母の都合で学校に残る生徒と、彼のお目付け役として残る教師そして一人息子をベトナム戦争で亡くした料理長のメアリーだけが、学校に残る事になる。
曲がった事には一言物申すというスタイルを崩す事が出来ない歴史の教師であるハナムは、今は学校の校長である元教え子にさえ煙たがれる堅物。家庭環境からかやや問題行動が多い生徒のアンガスもそんな教師のハナムとひざを突き合わせての休暇に辟易しているのだが、何も起こらない退屈な時間になるはずだった2週間の時間が、3人の関係性に微妙な変化を呼び起こす。
頑なな態度のハナムとアンガスが心の中に抱える思い。息子を亡くした哀しさを表に出す事が出来ないメアリー。それぞれ立場は違っても、フランクな言葉を交わす中で少しずつ相手を想いやる気持ちが生まれてくる様子の温かさ。
嘘を嫌っていたハナムが、若いアンガスの為に見せる教師としての矜持。「歴史とは過去を学ぶだけでなく今を説明すること」とボストンの考古学博物館でアンガスに語ったハナム。彼は若いアンガスに今だけでなく未来にも繋がるバトンを渡してくれたのだ。
温かくも少しほろ苦い2週間のクリスマス休暇。
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オープニングのロゴも映画の舞台である1970年に合わせてクラシックなものになっている。ただ1970年代が懐かしく描かれているだけではない。メアリーの息子はベトナム戦争で亡くなり、素行が問題視されるアンガスもこれ以上問題を起こしたら両親から陸軍士官学校送りと言われている。1970年代がベトナム戦争の痛みと切り離せない時代であることも忘れてはいけないのだろう。
ホールドオーバーズ は残留者という意味との事。