2019年6月、「逃亡犯条例」に反対するデモが激しくなり、抗議の為の自殺者が相次ぐ香港。仲間同士デモに参加していた若者は、自殺志願者を助けようと仲間同士情報を共有しあい、香港の街中を駆け回る。
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自由を守り香港を守ろうという気持ちは同じでも、デモに参加する若者たちのスタンスは皆それぞれ少しずつ違う。穏健派の女子高生二人組。勇武派と呼ばれる激しい行動も辞さない若い男性二人組。そんな勇武派の恋人が暴走しないように彼と一緒に行動を共にする後方支援の恋人。
社会が激しく動く中、彼らの未来への選択は否が応でも人生を左右するものになる。香港を去り海外に行くことを選択する者、海外に出る選択肢はないから香港に残って香港を守る事を選択する者。安定した社会なら行き来する事になんの障害もないはずなのに、「逃亡犯条例」に反対するデモに揺れる香港は、一つの選択が、その後の人生に大きな違いがある事を若い彼らの前にまざまざと見せつけるのだ。
そんな中、穏健派の女子高生の一人は、デモに参加しても何も変わらない現実と自分の実生活の悩みから、命を絶とうとするメッセージを発して姿を消す。
それを知った勇武派の若い男性は彼女を探し出そうと即席の捜索隊を結成し、彼らは彼女を探そうと香港の街中を駆け巡るのだ。デモに参加するスタンスは様々あっても、「悲観して命を絶つ仲間は助けたい」という一点は一緒だ。そして闇雲に探そうと気持ちばかり焦る若者たちを見守りながら一緒に行動する大人たち。
これから自分の将来を選択する岐路に立つ若者たちが、自分たちの住む町の岐路にも悩み、更にはそれらの選択の中で家族との関係にも悩む。そしてSOSを出した女子高生を助ける為に驚く程の瞬発力を見せる彼ら。
2019年の夏の香港を舞台にしながらも、その若さと熱量が感じられるスピード感は青春映画そのものだ。